自転車をはじめたばかりの自分が「あの時、これを知っていたらなぁ」と思うことを3つ挙げるとしたら何ですか? というテーマの議論を海外掲示板で見かけました。「何年も経った今だから言える、過去の自分へのアドバイス」が数多く寄せられています。個人的に目に付いたものをピックアップし、いくつかのカテゴリーに分けてご紹介します。
出典 3 things you wished you knew when you started cycling? – Reddit
Tips全般
- 良いバイクフィッティングは良い自転車パーツよりも重要である
- 買う前にフィッティングしてもらうこと(または少なくとも自分に合ったサイズについて理解しておくこと)
- 自転車のフィッティングと良いサドル(たくさん試すこと)にすぐにお金を使いなさい
- ドロップハンドルは全然怖いものではないということ
- 早めに変速、頻繁に変速すること。現代の変速システムは必要な時に簡単に変速できるのだから、使おう!
- 走行距離や走行時間を目標にするのではなく、楽しみのために乗ること
- ライドに携帯する水や食料は時に保険にすぎないが、どちらも毎回多めに持っていくこと
- 日焼け止めを必ず塗ること。必ず、必ず、必ず
最初の自転車の購入時にはとにかくフィッティングが大切であり、そこにお金を払うのは良い投資である、という声がかなり多いです。良いスポーツバイク専門店では、身体各部の寸法測定は勿論、身体の柔軟性を診てくれたり、運動経験や自転車に求める楽しみ方をヒヤリングした上で適正サイズを考えてくれたりするので、初心者には確かにおすすめです。
他にはハンガーノックで痛い目に合った方が多いのか、ライドしながら食べるのを忘れないこと、水を含めて補給は早めに頻繁に、という意見も目立ちました。
トレーニング・走力強化に関連すること
- より多くの坂道を登ること。そうすれば良い自転車乗りになる
- もう走れなくなるまで走ること。しかしそれ以上走ってはいけない
- もう走れなくなるまで走ること。その後もう1マイル走ること
- 体幹は非常に重要だ
- 首や背中を痛めないように体幹の強化に取り組むこと
- サイクリングで大切なのは脚の筋肉だけではない。腕・肩・足・首の筋肉はどれも発達する。どれだけ快適に乗っていられるかは、良い体幹があるかどうかにかかっている
- 結果よりもプロセスを重要視するとより大きい喜びが得られる
- Stravaは俺を鬱にした
「走力」の強化についても様々な意見があって面白いですね。正反対の意見であっても、どちらも正しく思えるものがあります。体幹強化の重要性を指摘するコメントが目立ちます。
最後の「Stravaは俺を鬱にした」は、類似の内容を海外のSNSで最近よく目にします。Strava自体がSNS化するにつれ、承認欲求を満たすためのプラットフォームにもなりつつあることが原因です。スポーツにおいて目標を設定するのは必須ですが、他人と自分を比較するのは不幸のはじまりでもあります。比較するとしたら、対象は常に過去の自分であるべきでしょう。
自転車とパーツの選び方
- 自転車のブランドは重要ではない。全てがきっちりメンテナンスされている限りは
- はじめてのちゃんとした自転車に1500ドル費やすことを恐れてはいけない。300ドルの自転車と1500ドルの自転車の違いは、1500ドルの自転車と7500ドルの自転車の違いよりはるかに大きい
- 100ドルの自転車と500ドルの自転車との差は巨大だ
500ドルの自転車と2000ドルの自転車の差もかなり大きい
2000ドルの自転車と4000ドルの自転車の差はかなり小さい - 4000ドルの自転車から8000ドルの自転車に乗り換えても、超軽量レースコンポーネントがかなり壊れやすいので、実際は損をする
- 安物のギア(パーツや用品)を買ってはいけない。ミドルレンジかそれ以上のものを使うと体験が改善される
- 買える範囲で最高品質のものを買うことだ。とりあえず使っておこうと考えてしまう安物がたくさんあるが、最終的にはもう少し奮発しておくべきだったと思う時が来る
1〜3万円の自転車と15万円の自転車の差は大きいが、15万円の自転車と75万円の自転車の差はそこまでではない、というのも頷けそうな話。日本でも最初のロードバイクは15万円あれば非常に良いものが手に入るでしょう。しかしこの15万円は、自転車デビュー当時の私にも相当な大金に思えたのを覚えています。
ウェアに関すること
- 高品質なウェアはやはり良いものだが、結局のところ摩耗はする(特にジャケットのジッパーで)
- 寒い日は、少し寒く感じられる程度の重ね着にすること。身体が活性化しはじめたら完璧な温度になる
- 冬服は良いものを着なさい
- ビブはレーパンよりも良い。良いビブを買うことだ
- 自転車用シューズは足がしびれるほどきついものであってはいけない
- MTB・グラベル用シューズははるかに快適で歩きやすい
ウェアについても高価すぎるものや安価すぎるものでなく、そこそこ良いものからはじめたら良いという声、またレーパンよりもビブを推す声が多く見られます。私自身も最初にビブを着た時は快適で驚きました(それまでは何故か着るのがちょっと恥ずかしく思っていた記憶があります。しかし何故そう思ったのか今では思い出せません)。
とはいえ最初から「正解」ばかりを選択するのは簡単なことではありませんね。その時は最適解と信じていたものも、後になってベターな選択肢が他にあったことに気付くこともしばしばです。
読者の皆様も「あの頃の自分に言ってやりたい」と思われることがありましたら、是非Twitterなどでご共有下さい。
読者の皆様から
この記事に皆様からコメントいただきましたので一部をご紹介します(ありがとうございます!)。
- 金は機材じゃなく交通費にかけて輪行しまくった方が楽しい
- 105にしておくべきだった(最初9速のSORAだった)
- スタンドはいらなかった(普通に重く使っていたのは最初の1ヶ月だった)
- ライトは充電式のものにしておけ(ボタン電池式の安いやつ使ってたら夜全く見えなかった)
- ディスクブレーキ車のマウント形式を調べておくこと
- クイックリリースかスルーアクスルか確認しておくこと
- ブレーキが安いサードパーティ製になっていないか確認すること
- 「シマノ105採用!」って書いてあっても、一部テクトロだったりするから、ブレーキ、クランク、FD/RD、スプロケの型番にまで、ぜんぶ目を通して比較するんだ!!
- 軽さはほどほどでいい・剛性はほどほどでいい・空力はほどほどでいい
- 減量目的で乗り始める人は、最初の1年が勝負!以降は乗り慣れちゃって減らなくなる
- 自転車ジャージは快適なものだ
- ヒルクライムは辛いけど登り終えると楽しい
- 冬の防寒装備はしっかりする事(寒波きてる時に薄着で無理して両膝壊した)
- 一時間に一度は止まって景色を良く観ること。大抵の色々痛いのはこれで解決する
- 自転車パーツは現物合わせ
どれも「確かに!」と思わせるものがありますね。人によっては「SORAでも十分だぞ」や「スタンドはあったほうが良かったぞ」という逆の意見もあるかもしれませんね。「105完成車」を買おうとしている俺、それは「リアディレイラーだけ105で残りは無印」だということに気付くんだ!というのも懐かしい「あるある」ですね。