日常生活で累進レンズ(多焦点レンズ)のメガネやコンタクトレンズを主に使っているサイクリストは、ライド中も同じタイプのメガネ・コンタクト、またはそのように度入り加工したサングラスを使っているのでしょうか。それとも「遠くだけ見えれば良い」という考えから、単焦点レンズを選択しているのでしょうか。気になっていたので読者アンケートを実施してみました。
この記事を書くに至った理由
視力矯正にはそもそも無縁、という方にとっては「累進レンズって何?」「それをサイクリングでそのまま使うと何が問題なの?」という疑問が湧くかもしれません。累進レンズの仕組みや特徴については、ここで詳しく書くよりも、そもそも私がこの記事を書くに至った経緯を書いたほうが多分イメージしやすいと思います。
サイクリストである私のアイウェア環境は、長い年月をかけて概ね次のように遷移してきました。
- はじめは何のアイウェアも使わずにサイクリングしていた
- まもなくサイクリングではホコリ・虫などの異物、風や紫外線から目を守ることが必要なのだと理解し、サングラスを使いはじめた
- サングラスには環境に応じて色の濃さが変わる「調光レンズ」や、光線の反射を減らす「偏光レンズ」などのタイプがあることを知り、いろいろ試しもした(※今回の記事ではスコープ外)
- やがて近視が進み、日常生活用に作った近視用メガネ(単焦点レンズ)でサイクリングする機会が増えた。しかしサングラスも使いたい
- メガネの上にかけられる「オーバーサングラス」というものがあることを知り、それと組み合わせることが増えた
- 目の調子が良い時は、メガネなしでも問題なくサイクリングできる時期も長かった(サングラスのみ)
- 近視がさらに進み、サイクリングでもメガネを常用したほうが快適であると感じることが多くなった。単焦点レンズの近視用メガネは、視界のクオリティが素晴らしい
- やがて日常生活で、手元の細かい文字・スマホや文庫本もよく見えなくなってきた。これを老眼という
- サイクリングで使っている近視用メガネで、地図やサイコンくらいの距離にあるものも詳細に見たいと思った。遠近両用レンズ、累進レンズ、多焦点レンズ(progressive / multifocal)などと言うらしい。アシストレンズという言葉もあるようだ
- メガネ屋さんで相談し、サイクリングで中〜遠景がよく見える、かつレンズの下部エリアに視線を移動させると地形図や文庫本も読めるようなレンズを仮に組んでもらった。すると、これは慣れるのが非常に難しいものだと感じた
- また、累進レンズ用のメガネはそもそもレンズに縦の長さがあったほうが良く、そうなると愛用しているオーバーサングラスの下にうまく入らない
- とりあえず日常生活の老眼対処用に、中近の累進レンズ(文庫本〜パソコン画面くらいまでの距離をカバー。近々寄り)を作ってもらうことにした。このメガネでは屋外活動不可
- サイクリングでは現在もこれまで通り、近視用の単焦点メガネ+オーバーサングラスを主に使っている。活動中は、手元の文字を長時間快適に読めなくても構わないので、いまのところこれでも困ることはない。地図を読むときは(停車して)メガネを上にずらすおじさん動作で対応する
- 単焦点レンズは、累進レンズのような視界の左右の歪みがない。手元を見る、という方向をバッサリ諦めるなら、これでも良いのではないか(不便だけれど高性能)
- しかしひとつのメガネ(またはコンタクト・度入りサングラス)で、手元もよく見られたら便利だなー。みんなどうしてるんだろう? 普段の累進レンズのようなものをそのままサイクリングで使っている人は、どのくらいいるのだろう? 累進レンズも、歪みが少ない高性能なものもあるらしい…
こんな感じです。
アンケートを実施してみた
そこで読者の皆様にアンケートへのご参加をお願いしました。質問と選択肢は次のとおり。
日常生活で遠近両用(またはその他の累進・多焦点レンズ)メガネ・コンタクトを使われているサイクリストの方にご質問。ライド中に使うのは?
- 累進・多焦点レンズ(遠近両用など)
- 単焦点レンズ(近視のみ矯正など)
- ライド時にメガネ・コンタクトは使わない
下がアンケート結果です。最多回答は、日常生活で累進レンズを使うことがあってもサイクリングでは単焦点、という方が58.5%で6割近く。現在の私もこのセグメントでした。一方で累進レンズを使われている方も22.7%いらっしゃるので、やろうとすれば不可能ではないことがわかります。慣れる、あとは品質の良いレンズを使うのでしょうか(ツァイスなどの高級品があるらしい)。
一方で、サイクリング中なら視力矯正はなくても大丈夫、という方も2割弱程度いると考えられます。スポーツサイクリングのスピードは速度域が高めということもありますし、対象の細部にフォーカスをあわせることよりも、何があり、どのように動いているのかを理解・認識できればそれで良い、ということもあると思います。私も近視が軽度だった頃はこうでした(現在でもメガネを忘れた時でも大きく困ることはないレベル)。
筆者はいまのところアウトドアでは単焦点メガネだが…
累進レンズはアウトドア活動でも便利なのか。それとも使いにくいのか。調節範囲の広さは人によって様々で、乱視あり・なしでも違ってくるので、一概には言えないと思います。しかし累進レンズでも問題なくサイクリングしている方もいることを知り、私もいつか多焦点メガネを一本あらためて検討したいと思いました。コンタクトも、度入りサングラスも良さそうですよね。
サイクリング中は、サイコンの数字にはそこまで集中していないので単焦点レンズでも問題ないのですが、画面の大きいモデルのほうがありがたいと思うようにはなってきました。数字を大きく表示できるモデルなども良さそうですね。
▼ 私がメガネと同時併用している主なオーバーサングラスはALPINA OVERVIEW。いまはすごく気に入っていますが、いつかこのシステムから脱却する日も来るのだろうか…