惑星の極東に位置するとある島国。
世界中の剛脚さんたちが住むバーチャル世界に
一人の中年がいた。
名前は、nadokazu(などかず)。
現在はCBNで下働き中である。
ある日、屋外でのサイクリング中でも
ZWIFTのレベルを上げることができる、
陸(おか)ズイフターの存在を知る。
稀代の貧脚中年が今日もバーチャル世界を
最大出力12Wで駆け回る。
というわけで、本日の駄文はこちら!
レベル100のズイフターになって、ドヤ顔したい!
ZWIFTには「レベル」という指標があります。走行距離に応じて与えられるXP(経験値)を獲得することによって上昇し、ルートが解放されたり専用のゲーム内アイテムがもらえたりするのは皆様ご存知のとおりです。
ZWIFTをしばらく続けていれば、そこそこのレベルには勝手に上がってルートは解放されます。それにゲーム内アイテムをもらったところで、アバターの見栄え以外は大して変わらない感じ。ぶっちゃけ、ZWIFTのレベルって意味あるの?と、思わなくもありません。
ですが、そんなZWIFTのレベルを「上げたい!カンスト(最大レベルに到達すること)させたい!!」と、自分は切に願っています。
だって現実世界では、社会の片隅で這いつくばる底辺市民ですもの。せめてバーチャルの世界では、周囲にマウントを取れるポジションに立ちたいのです。いいじゃないですか、少しだけ夢を見たって!
安西先生…レベルをカンストさせて、ZWIFTでドヤ顔がしたいです…。
光速で遠ざかるゴールポスト!最大レベルが大幅引き上げ!!
最低にもほどがある下卑た動機で今日もレベル上げに勤しんでいますが、執筆時点の最大レベルは100です。これ、私がZWIFTを始めた頃は最大50だったんですよね。
それが、2022年9月に50から60に上昇。
【アップデート1.29】
– レベル上限が50から60に(お待たせしました!)
– ワークアウト選択画面の変更
– ハンドサイクルの実装
– CADEX TTの実装
– ライドオン・ボムが全ユーザ対象に利用可能にhttps://t.co/5FB6VglBdi pic.twitter.com/ciMMArwDml— Zwift Japan (@GoZwiftJP) September 15, 2022
そして2023年には、いきなり100まで引き上げられました。しかも「あと少しだけレベルを上げればカンストだ…頑張ろう!」というタイミングで!!
艱難辛苦の果てにようやく近づいてきたゴールポストを、運営が笑いながら遥か彼方に持ち去って行く。そんな経験を2回もさせられて、血も涙も涸れ果てました。
「覚えてろZWIFT…地べたを這い泥水をすすってでもレベルを上げてやる…」
レベル上げの小技は、いろいろある。だがしかし!
結論から申し上げます。ZWIFTのレベル上げに最も効果的なのは、「地道に距離を走ること」です。
- XPボーナスがもらえるイベントに参加しまくる。
- 毎週走って、ストリークのXPボーナスを取り逃さない。
などなどの小技はありますが、レベルアップ条件を満たす量のXPを獲得するには不足もいいところ。
結局は「長い距離を走る」しか、レベルアップの道はありません。確実なのは、普段からの不断の努力だけ。この世の中に「一発逆転」も「おいしい話」も、ありはしないのです。
だからこそ、ペダルを回す全ての時間をZWIFTのレベル上げに費やして、少しでも多くのXPを獲得したい。そうなると
「サイクリングで屋外を走る時間もレベル上げに使おう!」
という結論に思い至るのは、もはや必然と言えるでしょう。
まぁ、こんなの誰でも思いつくことです。新幹線のアイスにウイスキーをかけるぐらい、新規性ゼロの行為。たぶん、ググれば誰かやってるでしょう。
そのうえ「労多くして功少なし」という結果になるであろうことが、試す前から濃厚に漂っています。
だけど!
「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」
と、かの本田宗一郎も言っています。
そりゃ失敗しても崩壊しないだけの生活基盤があれば、そうも言えるけどねぇ…と、敗北者である自分は思ってしまうわけですが、まぁやってみないと見えてこないモノはありますよね。
実際に、サイクリングしながらZWIFTしてみた。
というわけで実際に「屋外ZWIFT」にチャレンジしてみました。まずは、必要な機材です。
(1)パワーメーター
ZWIFTにはパワー値のソースとなる、パワーメーターが必要になります。「お前みたいなへっぽこには、豚に真珠も程がある!」というご指摘はごもっともなのですが、実は「残存脚力のマネジメント」にもパワーメーターが極めて有効。
むしろ「ゆるポタ野郎だからこそ、パワーメーターをポチる価値があるのだ!」と断言していいぐらいです。それにパワメがあると、ケイデンスセンサーが不要になるのも地味にありがたいですよねー。
自分は厳密な精度を求めたりしないので、片側計測で充分。4iiii製の、左クランク一体型パワーメーターを愛用しています。
べ、別にこの記事を書くのにかこつけて、輪行で酷使しているTyrell FX用にパワメを新しくポチったりしていませんからね? この画像だって、ただの箱と単なるR8000アルテグラ左クランクの写真ですから!
(2)心拍センサー
心拍センサーは、XOSSの腕バンド式が気に入ってます。胸周りが圧迫されないので、実に快適。これでUSB-C対応だったらなぁー。
スマートフォンと接続するので、Bluetooth対応であることは絶必。ですがBluetoothのみ対応のモデルだと「サイコンとの接続どーすんの?」という問題が発生しちゃうので、ANT+/Bluetooth両対応モデルを推奨。
(3)モバイルバッテリー
走行中は、ZWIFTを「フォアグラウンドで起動しっぱなし」にします。画面の輝度を最低レベルにしても、バッテリー消費は莫大です。スマホがバッテリー切れになったら、ZWIFTのレベル上げはそこで終了。いつもと同じ、ただのサイクリングになってしまいます。
なるべく大容量のモバイルバッテリーを用意して、スマホが長時間連続稼働できるようにしておきましょう。
(4)スマートフォンホルダー
バックポケットやフロントバッグの中など「取り出さないと見えない場所」にスマートフォンを入れておくと「いつの間にかスリープしていてアバター動いてなかった!」とか「気付いたらバッテリーが切れていた」という事態の発生に、気付くことができません。
ホルダーに固定して、常にチラ見して動作状況を確認できるようにしておけば、せっかく走った距離を無駄にする悲劇が防げます。
(5)インターネットに接続可能、かつZWIFTが動作するスペックを有するスマートフォン
お使いのスマートフォンが動作条件を満たしているかは、ZWIFTのサポートページを参照。
ちなみに手持ちの古いiPhoneでZWIFTが動くか試してみた結果、iPhone7 Plusでは割と普通に動作しました。
システム要件を満たしていないことを承知でiPhone6とiPhone4Sでも試してみましたが、アプリのインストール自体を拒否されます。そりゃそうですよね。
あとZWIFT動作中の通信量は、公式のFAQによると「約55MB/時」だそうです。契約中の通信プランを確認して、通信量増加の影響を確認しておきましょう。
りんりんロードを、WATOPIAに変えろ!
2023年12月30日、上野駅6時4分発の常磐線に乗車して土浦駅に向かいました。駅ナカのタリーズで気温が2度から3度に上がるのを待って、つくば霞ヶ浦りんりんロードの筑波鉄道ルートにおりたたぶ出動!
サイクルコンピュータと各種センサーの接続が完了したら、スマホアプリのZWIFTを起動してセンサーをペアリングしていきます。特に不具合なども無く、スムーズに接続完了。
XPの獲得に影響するのは距離だけで、獲得標高は関係なし。登坂ありのルートだと、ゆるゆる走っているときに「出力が足りなくて前に進めず、実走距離をドブに捨てる」というケースもありそう。
となると実走をパワーソースにして最も距離(=XP)を稼げるのは、最強の平坦ルート「Tempus Fugit」だと言えるでしょう。いつもの画面でいつものようにルートを選択して、走行開始です。
しばらく走って画面をチラ見すると、ふだん自宅でZWIFTしているのと同じ様にアバターがバーチャル世界を走行しています。どうやら、うまくいってるみたいです。
約85kmのサイクリング中に、ZWIFTし続けた結果!
どこまでも平坦が続き、路面状態が良く、車も進入してこない。そして、間近にそびえ立つ筑波山。相変わらず、素晴らしいコンディションのりんりんロードは最高です。この道、本当に大好き。
土浦駅から岩瀬駅まで走って、そのまま折り返し。土浦まで戻ったら、Festive 500(主宰はRapha。12月24日から31日までの8日間で、計500km走破を目指すという頭のおか…チャレンジングなライドイベント)の積み残し分を数キロ追加で走ってライド終了です。サイコンで記録された走行距離は、約85kmになりました。
ZWIFTのほうのアクティビティログを見てみると、走行距離77.8km。下り坂や停車などでペダルを止めている時間は出力0Wになるため、アバターは停止してしまいます。実走距離との誤差が出るのは、仕方のないところ。まぁ半分とかになったりはしてないですし、この程度なら何の問題もありません。
というわけで、りんりんロードのゆるポタを楽しみながら、ZWIFTでもXPをバッチリ獲得できました。実験としては、もう「大成功!」と言っていいでしょう。
「計画通り…!」思わず口元が緩みます。
ひとつだけ想定外があったとすると、後輪のパンクに見舞われたこと。Tyrell FXは購入から10年以上使い倒していますが、2023年までパンクの経験はありませんでした。
それなのに!2023年に入ってからというもの
- サイクルボールつくいちの最中
- サイクルボールビワイチの最中
- どこかにビューーン!で長野ライドの最中
- りんりんロードで実走ZWIFTの実験中
と実に多くのパンクが発生しています。最初のパンクは7月1日で最後が12月30日なので、半年のうちに4回の高頻度。おいまじか…。
ひとつだけ救いだったのは、いずれのケースでも2023年の個人的神機材グランプリで間違いなくトップ3にランクインする「電動ポンプ」を携行していたこと。ポンピングの苦労なし!劇的な低負荷で、復旧できています。
なんですが、パンクの神様いくらなんでも降臨しすぎでない…?
気付いたことや注意点など
ZWIFTアプリはフォアグラウンドで常時起動。
フォアグラウンドで動作しているアプリをZWIFT以外に切り替えたり、スマホがスリープしたりするとZWIFTのアバターは停止します(少なくとも自分の環境では)。実走行の負荷がXPに反映されなくなって、費やした脚力が水の泡です。
走行中のスマホ注視は、もちろん厳禁。なので信号停車時などにアプリがバックグラウンドに切り替わったり、スマホがスリープしたりしてないか適宜チェックするようにしましょう。
Stravaを使っている場合は、ZWIFTを先に終了させる。
Stravaでは同じ時間に実施した屋外サイクリングとバーチャルライドを、一緒に登録することができません。走り終えたらまずは、ZWIFTを終了させてデータを自動アップロード。Stravaに登録されたZWIFTのアクティビティを削除してから、サイコンの実走データをアップロードするという手順を踏みます。
ちょっと手数が増えますが、コレを面倒くさがるとサイコンの走行データを自動連携した時にエラーが出て、解決にさらなる手間と時間のかかる不幸な事態を招きます。
規約上の問題とか、あったりしない?
実は密かに気になっていたのですが、これってスマートトレーナーやローラー台の負荷ユニットのような負荷装置として「実際の路面」を使っているだけの行為です。脚にペダリング負荷がバッチリかかっていて、それをパワーメーターで計測して送信しています。ソフトウェア的にも、ハードウェア的にも誤魔化しは一切ありません。
ZWIFTの利用規約を斜め読みした限りではパワーソースの制限条項も見当たらないので、怒られ案件にはならない…はず。
唯一、ネガがあるとすれば「スマホの画面ばかり注視すると危険」という点ですが、そんなん「見なきゃいいだけ」ですよね。ぼっちで走った限りでは、特段の問題点があるとは思えませんでした。
まとめ
極寒シーズンである今は、ぬくぬく暖かな部屋の中に閉じ籠もってペダルを回す日々こそ至高。外に出て走らなければ、ASSOSの「EQUIPE RS WNTR JACKET S9 TARGA(税込9万9000円)」を買う必要だって無くなります。実質、約10万円を手にするのと同じなのです!
やはりZWIFT…ZWIFTはすべてを解決する…!
だがしかし!
あと3カ月もすれば季節は春。新緑が芽吹き、桜が咲き誇り、渋峠の冬期封鎖も解除されて、自転車のベストシーズンがやってきます。
そんな季節に部屋の中に閉じ籠もってZWIFTだけしていたら、X(旧Twitter)に流れてくる楽しげなサイクリング写真が羨ましすぎて、心が砕けてしまうでしょう。
そんなとき!
実走しながらZWIFTすれば、サイクリングとレベル上げを同時に叶えられます。ZWIFT運営による、無慈悲な最大レベル上昇に涙している自転車乗りの皆様!屋外サイクリングを楽しみながらZWIFTのレベル上げをする「陸ズイフター」になりましょう!!
え?パワメが無い? それは仕方がないですねぇ。この際だからパワーメーター、ポチっちゃいませんか?(悪魔の囁き)