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へっぽこ自転車乗りが、ZWIFTで129km走った結果。

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ZWIFTのキッツいルートのひとつに、「Four Horsemen」があります。

公式さんも「これはキツい。」と一言書いて、説明を放棄するほどのレベル。走行距離は89.3km、獲得標高は2,112mと坂が大好きな方々向けに行きすぎたチューニングがされています。

だがしかし!

そんな「Four Horsemen」を凌駕する、地獄のルートがあるのです。

それは「The Uber Prezel」。走行距離128.2kmで、獲得標高2,384m。バーチャルライドなのに、走行距離が100kmを余裕で突破するという正気を疑う設定です。

The Uber Prezel

WATOPIAの坂という坂を詰め込んだこのルートは、ルート説明のアニメーションを見ているだけで、

うわぁ…

ええぇ…

と語彙力を喪失するほどで、絶望的な気持ちを何度も味わうことうけあい。

そんな「The Uber Prezel」を、へっぽこ自転車乗りが走るとどうなってしまうのか?人体実験の結果を、ご報告いたします。

これはキツい。以上!!!

すみません、筆者は上記以外の感情を喪失しております…。

キツいのイヤでも、ジャージは欲しい。

このところZWIFTを始めてようやく減らせた体重が、順調すぎるにもほどがあるペースでV字回復しまくっています。これは…ヤバイです。

なんですが、体重減少を目指してトレーニングとかワークアウトとか、お願いマッスル的な「キツい思いをするために、キツいことをする」というのは、どうにも性に合いません。

だって向上心とか、欠片も無い意識低い系自転車乗りですもん。自分に負荷をかけるために、こんな地獄の業火の真っただ中に自ら飛び込んで行くようなモチベーションは皆無。絶対に無理です。

2019 L’Etape du Tour de France

なんですが「限定ジャージをアバターに着せてドヤ顔したい!」という、とても残念で下卑た感情の大きさは人一倍。まあ、要するに自転車乗りとして、というかその前に、人としていろいろ最低なのですな。ほかでもない、自分のことですが。

Rapha…またお前らか!

我ながら最低以外のナニモノでもない、どす黒く粘っこい感情を垂れ流していたところに、こんなグループライドイベントの開催情報が飛び込んできました。

「2019 L’Etape du Tour de France」

ジャージをアンロックする条件として、「The Uber Prezel」の完走を求めてくる、とんでもなくえげつないライドです。

その主催は、リア充ジャージブランド(※個人的偏見です)であるところの、Rapha。

…またお前らか!!!

昨年末に「Four Horsemen」を走らせる、地獄のデスライド「L’Etape du Tour Sportive」を主催した前科があるRapha。そしてこんどは、よりによって「The Uber Prezel」かよ!!

というわけで「限定ジャージでドヤ顔したい!」という残念すぎる動機で、死ぬ思いをするのは確定しているのに、ついつい参加ボタンを押してしまいました…。

日曜日、16時27分。ライドの開始を控えたスタート地点には、世界から300名を超えるバーチャルライダーのみなさん達が集結。

2019 L’Etape du Tour de France

こんな悪魔的ルートを走らせるライドイベントの主催者は相当ですが、そんな地獄オブ地獄でしかないライドに参加する方も随分ですよね。

ねえ、みんな、そんなに限定ジャージが欲しいの…!?

これから、どれほどツラい思いを味わうことになるのだろう。やっぱり…止めちゃおうかな、とか思っていたらスタート時間が来てしまいました…。もう、行くしかありません。

2019 L’Etape du Tour de France

走行開始直後から、ガンガン抜かされます。あっという間に後方集団入りです。まあ、先は長い…ですから。絶望的に。

海底トンネル〜EPIC.KOM

海底トンネルの途中にあるSEQUOIA CIRCLEの分岐を左折して、最初に目指すのはEPIC.KOM。ALPE DU ZWIFTに次ぐ距離と高度で壮絶なダメージを食らう、WATOPIAナンバー2の地獄ロードです。ウオーミングアップなしで、いきなり登坂ですか…そうですか…。早くも目の前に浮かぶ、「絶望」の2文字。

EPIC.KOM

でもまぁ、走り始めたばかりですから、脚力の余裕は僅かにあります。徹底的にハードに頑張らないよう、「インナーロー固定」そのうえ「極低ケイデンス維持」を遵守。

脚のライフを温存に温存を重ねて登坂する「耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶ走法」によって、「苦しい時間を過ごすことを嫌々我慢する」だけで登坂は可能です。

そりゃ思いっきり時間かかりますけどね。

もちろん順位は400人中、後ろから指折り数えられるレベル。

そして世界で最もいらないボーナスであるところの「Bonus Climb」は、やっぱり登らされてしまいます。うわ、インナーローでも、斜度17%はキツすぎ…。残しておきたい脚力が、ごっそり持っていかれてしまいます。

EPIC.KOM

涙目になって、なんとかTOWER CLIMBの登頂が完了。つ、疲れた…。

這々の体で登坂を終えると、次は待ちかねていたご褒美タイムの下りです。

イヤーッフゥーー!!! 溜め込んだ位置エネルギーだけで進む下りは最っ高ー!!…って、あれ? もう終わり?

いつもいつも上りは永遠にも近い時間が流れるのに、どうして下りは一瞬にして過ぎ去ってしまうのだろう…。不条理すぎる…。

JUNGLE CIRCUIT〜VOLCANO.KOM

さて、EPIC.KOMの次は、JUNGLE CIRCUITを普段の逆回りで1週します。

JUNGLE CIRCUIT〜VOLCANO.KOM

スタート/フィニッシュのバナーまで下った後は、3〜4%の坂を延々と登らされます。グイッと踏み込んでスピードを出してしまいたいところですが、ここで頑張ってしまったらルート設計をした人の思う壺です。危ない危ない。これっぽっちも、頑張りませんよ?

この辺りは平坦でこそないものの、キッツイ斜度ではないのでダラダラと走っていれば無理なくクリアは可能です。

順調に一周して、レベル10で解放されるゲートのところまで戻ってこれました。

左折してMARINAの先にある、地味に嫌な1%の斜度が続くエリアを経由してITALIAN VILLASを通過。お次は、VOLCANO.KOMです。

JUNGLE CIRCUIT〜VOLCANO.KOM

VOLCANO.KOMは全体に斜度がユル目。ゆっくり回していれば、なんとか進む斜度なのが実にありがたいですね。

が、ここでやらかしてしまいました…。

VOLCANO.KOMの山頂直前、並走していたライダーさんがアタックをかけてきたのです。ここの通過タイムなんて何にも影響しないので、「行ってらっしゃーい」と見送ればいいだけ。

それなのに…それなのに、思わず対抗してしまいました。

やらせはせん!やらせはせんぞぉおおお!!!

0.01秒差でなんとか先行しましたが、これ明らかに意味なく脚力を消費しただけですよね?後悔しまくるも、遅きに失するだけです。

自分、アホすぎる…。わかってましたけど。

Fuego Flats〜ZWIFT.KOM(Reverse)~Fuego Flats

VOLCANO.KOMを下ったら、ITALIAN VILLASと海底トンネルを経由して、Fuego Flatsに入ります。

ようやく訪れた、安寧の平坦コース。出力同じぐらいのライダーさん達との集団が形成されたので、乗せてもらうことにします。ほどなくして平坦コースは終了しますが、集団のまま次に向かいます。

Fuego Flats〜ZWIFT.KOM(Reverse)~Fuego Flats

ZWIFT.KOMの逆回りです。ここは斜度のキツい区間って思いのほか短くて、KOMセグメントではあるものの、ロングスプリント的な性格のコースです。

山頂を通過したらダラーっと下って、再びFuego Flatsへ。安寧の平坦コース…なんですが、さすがにここまで100km近い距離を休憩なしで走り続けています。そう。どれだけ頑張らずに走行したとしても、脚のライフは気づくとゼロ。さすがに疲れが隠せなくなってきました。

平坦区間が終わって少し坂を登るところに入って、あまりの疲労にペダルから力を緩めた瞬間のことです。いままでトレインを組んで走っていた皆さんに、サクッと置き去りにされました。

うわーーーーん!みんなぁああああ!!

Fuego Flats〜ZWIFT.KOM(Reverse)~Fuego Flats

アッという間に先行されて、みるみるうちに差が広がります。もう、合流は無理。

そして、後方も誰もいない状態。ぼっち確定。

とはいえ、あとはALPE DU ZWIFTの登坂を残すだけです。あと少し…あと少しで終わりが来る…と、思いながらたどり着いたSEQUOIA CIRCLE。左に曲がればALPE DU ZWIFTですが、右方向に曲がらされました。

そうか…。遠回りしてからのALPE DU ZWIFTか…。

Fuego Flats〜ZWIFT.KOM(Reverse)~Fuego Flats

  • 集団から置き去り
  • 明らかにゴールと反対の方向に曲がる

このダブル攻撃に、心がボッキリと折れました。

THE ESSES〜ALPE DU ZWIFT

もはや、走行意欲は限りなくゼロ。ペダルを回すというよりも、ペダルの上に脚を置き続けるだけのマシーンと化しています。

THE ESSES〜ALPE DU ZWIFT

そして、まったく回復できないまま、ALPE DU ZWIFTに突入します。

乾いた雑巾よりも枯渇した脚力。脳がどれだけ出力アップの信号を送っても、脚はそのとおりに作動してくれません。

完全無欠の売り切れ状態。

もはやペダリングですらありません。ギリギリの状態でペダルの回転を止めないように、ただ脚を上下させるだけの作業です。

THE ESSES〜ALPE DU ZWIFT

斜度がきつくなるところをダンシングでクリアしようとしても、力が入りません。

ただでさえ長く、キツいALPE DU ZWIFT。それが、いつもの倍以上の長さに感じます。たった5メートルが、果てしなく遠い。全然前に進んでくれません。

はやく…はやく終わってくれ…もう嫌だ…もう嫌だ…もう嫌だ…と、負の感情だけをグルグルと渦巻かせながら、超超スローな登坂を続けます。

そして22時30分、ついに、ようやくゴールにたどり着きました。

THE ESSES〜ALPE DU ZWIFT

ゴールのあとは、ご飯です。

走り出してから、およそ6時間。お手洗いに1度立った以外は、ずーーーーーーーっっとペダル回しっぱなしでした。

最終順位は、406人中182位。トップの方からは、155分の遅れです。早すぎにもほどがある…!

2019 L’Etape du Tour de France

パンパンになった脚を引きずって、速攻でお風呂に飛び込み汗を流します。運動したあとのお風呂タイムって、もう最高!

そしてふと鏡を見ると、自分、明らかにやつれています。「The Uber Prezel」おそるべし。

もう23時過ぎですが、ようやく今日の夕ご飯になりました。

コーラ美味っしいいいいいい!!!
瞬く間に空になるペットボトル。

炊きたて白米うっまああいい!!!
炊飯器から消える米。

それにしても、これだけ頑張ったのに体重が減ったり脚力が向上したりする気配が微塵もないのは、なぜなんでしょうかねぇ…?

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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