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サイクルモード2019の謎 「撮影禁止」は誰のため?

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サイクルモード2019に行ってきたのですが、ちょっと驚いたことがあります。入場券を切ってもらった後にこんな立て看板を見かけたからです。

サイクルモード2019

撮影禁止

えっ!?

現場の人は何も知らない

どうもサイクルモードは数年前から写真撮影禁止だったらしい、という話もありますが、私自身がこれに気付いたのは今年がはじめてのことです。

それで驚いてしまったので、チケットのもぎりのお姉さんに聞いてみました。

あの、写真撮ってはいけないんでしょうか…?

するとお姉さん:

ええとですね、会場の全体を階段の上から撮るのは構いません、しかし出展ブースだけを撮るのはダメです、それでもブースの方にOKがもらえるのであれば大丈夫です

とのこと。

ちょっと意味がわかりません。目的と、意図がよくわからない。そこで入場直後に会場案内パンフレットを配っているお姉さんにも聞いてみました。

あの、今日は写真を撮ってはいけないんでしょうか?

するとお姉さん:

え…!? あの、ちょっと確認します…(すみません、何のことかわかりません、という雰囲気)

ここで私が余計なことを言ってしまいます。

いや、そこに「撮影禁止」という看板があったので、本当に撮影禁止なのかと思って…

するとお姉さん:

あ、そういうことでしたら、撮影は禁止となっております、はい。

なるほど、どうも会場スタッフの方全員がこの事情を知っているわけではなさそうです。

私はエスカレーターで1Fに降りました。すると、確かに例年に比べてカメラを持っている人が非常に少ない印象を受けました。Canon EOS 7Dとか1D系のような巨大なカメラを持って歩いている人が全く見当たりません。

ちょっと不安になったので、ホールにいるサイクルモードの赤いジャンパーを着たお姉さんにあらためて聞いてみました。

すみません、今日は会場内の写真を撮ってはいけないんですか?

するとお姉さん、満面の笑みで:

いえ、大丈夫ですよーw

なんだよ、どっちなんだよw

一応念には念を入れて、少し離れた場所を歩いていたスタッフのお姉さんにも同じ質問をしてみました。すると:

あ、全然問題ないですww

一体何なんだ、誰を信用したらいいんだw

そしてよく観察すると、各ブースでカメラやスマホで例年のようにパシャパシャ写真を撮っている人は少なくありません。

法律の世界には「施設管理権」という言葉があり、たとえば公道に面したデパートの「外側」を撮ることを禁じることはそのデパートの所有者にもできないのですが(撮られたくなかったら建物を布で覆い隠せ、という話です)、建物の「内部」の撮影を禁じることはできます。

幕張メッセの場合、イベントのために会場を貸し切っているサイクルモード実行委員会がこの「施設管理権」を「行使しうる」ことは法的に十分合理的なものと思われるので、入り口に「撮影禁止」という看板があったら基本的に撮影してはいけないものと思われますが、私は今回、ブログ記事で紹介したいおもしろいものについては各ブースの許可を撮った上でいろいろと写真を撮ってきました。それは後日記事にする予定でいます。

だがしかし…

撮影禁止は何のため?

だがしかし、サイクルモードが写真撮影を禁止するとしたら、一体何のためなのか、どうもよくわからないところがあります。

肖像権の問題?

すぐに思いつくのは、肖像権の問題です。たとえば私のような一般人が撮った写真に他の一般来場者の顔が特定可能な感じで写っていて、それを記事に掲載するなら、サイクルモード実行委員会に苦情が入る可能性は想定できます。

するとサイクルモード実行委員会的には、「いや、うちは撮影を禁止している。文句があったらそのブログに言ってくれ」という説明がしやすくなるでしょう。あの「撮影禁止」の看板があれば。

コンテンツビジネスの保護?

もうひとつの可能性として思い当たったのは、サイクルモードというのは「コンテンツ」であり、そのコンテンツを独占的に配信したい利害関係者が存在している可能性です。

たとえば私がサイクルモードの会場にいた時、人気のある自転車YouTuberの「けんたさん」がトークショーをしていました。恐らく、けんたさんが所属しているFRAMEという会社がその模様を動画に収めていて、それを後日YouTubeで配信するのなら、一般入場者がそのトークショーの様子を撮影してYouTubeにアップしてしまうと、利害関係上の問題が発生するのは容易に想像ができます。

そういう「出展者の保護」というものもあるのかな、と推測しました。本当のところはわかりませんけどね。

サイクルモード全体にとって好手か悪手か

でもこれは今後のサイクルモードにとって好手なのでしょうか、悪手なのでしょうか。

肖像権の問題は確かにあります。出展者が自転車のコンテンツ・ビジネスを行っている企業であれば、その企業の利益を保護するために「撮影禁止」にするのもうなずけます。

しかしあの「撮影禁止」の看板を目にして、実際に「写真を撮るのをやめた、TwitterのようなSNSに流すのをやめた、ブログに書くのもやめた」という声が非常に多いことを、帰りの電車の中で知りました。

個人的には、これはデメリットのほうが多いんじゃないかと思いました。

私はどのブースでも撮影を断られたことは一度もありませんでしたが、「サイクルモードは撮影禁止!」というSNS上の書き込みを見て萎縮してしまい、自分が「これはいいね!」と思ったものを拡散するのを「自粛」してしまった人は相当数いるように思います。

ちょっと面白いものを見かけたとしても、それが世の中に伝わらなくなった。これは普通に考えると出展者にとっても損なことではないかと思うのですが、どうなんでしょう。

高いお金を払ってブースを出したのに、SNSでの拡散効果を得られない。なら来年また出展しよう、と思うでしょうか?

勿論、出展者の大部分が「クローズドな環境で行われるイベントにしてくれ、SNSやブログなどに写真が流出しないようにしてほしい」とサイクルモード実行委員会に申し出ていたら話は別ですが、どうもそういう話は調べても出てきませんし、そもそもサイクルモードの公式サイトにも「写真や動画の撮影禁止」という文言は全く見当たらないのです。

会場ではじめてそれを見かけて、面喰らうことになります。

写真を撮るのじゃなく、試乗しろ、という声も聞こえてきそうです。でも、私が乗りたかった自転車のブランドは、残念ながら出展していなかったのでした…

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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