既に大きいニュースになっていますが、Garmin社のウェブサービス及び社内システムがハッカーによる攻撃被害に合っているらしく、Garmin Connectや同社のカスタマーサービス機能、台湾工場における生産機能の一部が完全に停止してしまっているようです。
Garminからの公式のコミュニケーションは以下。同社ウェブサイト及びTwitterとFacebookで次のように発信しています。インスタでの発信はありません。
We are currently experiencing an outage that affects Garmin Connect, and as a result, the Garmin Connect website and mobile app are down at this time. (1/2)
— Garmin (@Garmin) July 23, 2020
現在Garmin Connectに影響を与える障害が発生中です。その結果、Garmin Connect及びモバイルアプリは現在停止中です。この障害は私達のコールセンターにも影響を与えていて、現在電話に出ることもメールを受信することも、オンラインチャットをすることもできません。この問題を可能な限り早く解決すべく取り組んでいます。ご不便をおかけして申し訳ありません。
これ以外の情報はいまのところ一切発信されておらず、Garminユーザーは怒り心頭なのは勿論のこと、今回の事象はただ事ではないのではないか、データは元通りになるのだろうかという不安の声も広がっています。
東京オリンピックの元々の日程を狙ったハッキングか
2020年7月25日現在、障害の原因についてGarminは公式メッセージをまだ発表していませんが、「ランサムウェア」によって社内システムの多くが利用不可になっているという内部関係者によるリーク情報があるそうです。
様々なファイルがハッカーによって暗号化されて利用不可になってしまい、その解読鍵が欲しければ身代金(ランサム)を支払え、というタイプのハッキングです。
真相はまだ不明ですが、大規模な障害であるにもかかわらず発生から2日ほど経過しても復旧の予兆やGarminからの続報がないことから、同社がかなり困難な事態に陥っているのは間違いないようです。
また、今回の障害が発生したのは東京2020オリンピックが本来開始するはずだった7月22日頃と言われており、かなり以前から時限式のコンピューターウィルスがGarmin社のシステムに仕掛けられていて、それがこのタイミングで発動した、という憶測もあります。
仮に現在東京オリンピックが開催中だった場合、Garmin Connectが使用不能になることによるアスリートへの影響は甚大なものがあったでしょうから、Garmin社は解読鍵を入手するために必要な大金を否が応でも支払わざるをえない状況に追い込まれるだろう、というハッカー側の目論見があったのでしょうか。
海外の反応など
海外掲示板Redditから:
- 今日は休息日なんだよ!
- なぜ彼らがこれほどまでにウェブサービスに依存するのか理解できない。解析機能は別として、インターネットを介さずにデータをローカルで同期できるようにするべきだ。ネット接続がないとワークアウトさえ見られないのだから、ずっと問題だった。一時的にでもローカルデバイスにデータをキャッシュしてほしい
- 職業体験の子供がサーバーのケーブルを間違って切っちゃったのかな(→日本で言う「掃除のおばちゃん」は欧米では「work experience kid」になるようです)
- 復旧まで少なくともあと数日はかかるだろう。問題なく復旧はするだろうが、どのくらいのデータが失われることになるのかが問題だ
- データが復旧しないんじゃないかって心配している人はいますか? 私は他のどこにもデータを保存していません。10年間の履歴が失われるとしたら残念なことです
Twitterから:
How on earth am I to let people who, I don't like or even care about know i've gone for a walk today and that I'm better than them?! #FirstWorldProblems
— Stu Sly (@picturesbystu) July 23, 2020
いったいどうすれば私が好きでない人々や気にもかけていない人々に、私が今日散歩に行ったことを、そして彼らよりもうまく散歩したことを伝えれば良いというのですか?
このツイートについている#FirstWorldProblemsというタグは「先進国における贅沢な悩み」を揶揄するものですが、今回のGarminの障害でアクティビティ・データがないと生活が成り立たない、と訴えている人は相当数に上ります。
睡眠時間が管理できないじゃないか、という方、買ったばかりのGarminのスマートウォッチが使えないじゃないか、という方以外にも、レースやイベントへの参加条件としてログを提出する必要があるのにそれができなくて困っている、という方も見受けられました。
Garmin Connectが障害中でもライドデータを見たい場合
GarminのウェブサービスがダウンしていてもEdgeシリーズなどのライドデータをStravaなどで閲覧したい場合は、
- EdgeなどのGPSサイコンをUSBケーブルでコンピュータと接続し、USBドライブとして認識させる
- 「.fit」という拡張子のファイルの中から自分が見たい日付のものを探す
- Stravaのウェブサイトにアクセスしてログインすると右上に「+」マークがあるのでそこから「アクティビティをアップロード」を選ぶ(下の画像参照)
以上の手順でStravaにデータをアップすることができます。
Stravaからのメッセージ
今回のGarminの障害の影響で使えなくなっている機能などについて、StravaがTwitterでメッセージを出しているので以下で紹介しておきます。
Garmin’s outage is preventing Garmin activities from syncing automatically, and connections with Strava Routes, Live Segments and Beacon are unavailable as well. We’ll update you after we learn more, and until then, here are some workarounds 1/4
— Strava (@Strava) July 25, 2020
Garminの障害の結果、Garminアクティビティは自動的に同期できなくなっています。またStrava Routes, Live SegmentsとBeaconも同様に利用できません。詳細が分かり次第アップデートしますが、その時までに次の対策が可能です。
自分のアクティビティ(.fitファイルと呼ばれます)をGarminのフォルダから次の方法で直接Stravaにアップロードできます。https://support.strava.com/hc/en-us/articles/360046805811
LiveTrackはGarminの障害の一部なので落ちています、ですからLiveTrackをBeaconに接続して外にいる時に位置情報を共有することはできません。それでもスマホでアクティビティを記録してStravaアプリを使えばBeaconを使うことができます。
残念ながらGarminのその他の機能、Garmin RoutesとStrava Routesとの同期やStrava Live Segmentsへのデータ・アップデートは障害が復旧するまで使用できません。この障害についてのより詳細な情報と暫定的な対処法はこちらを参考にして下さい:https://support.strava.com/hc/en-us/articles/360046805811
Garmin製スマートウォッチの一部には購入後、Garmin Connectと接続しないと基本機能が使えないものもあるようです。また同社はGPS製品のリーディングカンパニーであるだけに、航空分野への影響も出ているようです。早期の復旧を期待したいですね。
(続報記事はこちら↓)