Zwiftのおもしろさは現実の忠実な再現にこだわりすぎていないところ

日本全国で、というか世界的に大変な猛暑が続いており、筆者が暮らす東京でも既に35度以上の猛暑日や熱帯夜があらわれはじめました。

緯度の高い北海道でさえ今年はこの暑さから免除されてはいないらしく、断熱性が高くエアコンのない住居が多い同地では扇風機が飛ぶように売れているとも聞きます。

暑さよりも湿度がこたえる

サイクリストとしては梅雨が開けてようやく「よっしゃー夏だー、乗るぞ! 乗りまくるぞ!!」と意気込んだはいいものの、とにかく湿度の高さがこたえます。

気温自体は高くてもなんとかなるものです。中東で灼熱の砂漠地帯を走るサイクルロードレースが実施されているのも、湿度がここまで高くはないからです。以前、気温40度近くのカリフォルニアでロード乗りを見たこともあります。カラッとしているからなんとかなるのでしょう。

暑さは大体なんとかなります。でも蒸し暑いのは無理。高い湿度は無理。汗がうまく蒸発してくれず、放熱できません。結果、熱中症になります。気温35度、湿度80%といった日は、いくら天気が良くてもサイクリングを楽しめる環境ではないでしょう。

それでもこの時期に外で乗りたい場合はこんな工夫が必要になってきます。

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心身の健康を求めてサイクリングに出かけても、病気になって帰ってくるなら本末転倒です。

インドア・サイクリングのありがたみ

個人的なことですが、7月になってからスマートトレーナーを購入し、バーチャルサイクリングゲームの「Zwift」をはじめました。家の中で自転車に乗るという、いわゆるインドア・サイクリングです。

ローラー台は過去にタイヤドライブの固定式のもの、3本ローラー、フライホイール式のものと一通り使ったことがありますが、競技志向ではない私には結局、退屈この上ないものでした。どれもすべて処分して、もうローラー台(トレーナー)の類を買うことはないだろう、と確信していました。

しかしCBN BlogでのなどかずさんのZwift関連記事を読むにつれ、むくむくと興味が。そして7月の梅雨の時期はZwiftで遊んでみようか、と思いWahoo Kickrを購入しました(なぜこの製品を選んだかについては別記事を書く予定です。今のところ満足していますが、Tacx Neo等の他社製品が向いている人もいると思います)。

Wahoo Kickr Smart

そうして始めたZwiftは予想以上に面白く、梅雨の時期はおかげで健康的に乗り切ることができました。そして「梅雨があけたら実走三昧だ!」と思っていたのですが、雨が終わったかと思えば今度は高温多湿地獄が待ち構えていた、というわけです。

8月になったらZwiftは当分お休みかな、いう予想は裏切られ、今でも毎日30分〜90分ほど乗っています。昨年の夏も猛暑でしたが、この時期はたまに夜ライドをするだけ。体力は落ちていくことはあっても向上することはありませんでした。

現実の模倣に無頓着な未来都市ニューヨーク

New York in Zwift

Zwiftをはじめとするバーチャル・サイクリングについてはずっと懐疑的な気持ちを持っていました。というのも「現実の模倣をしたところで現実を超えられるわけがない」に決まっているからです。

しかし実際にやってみると、インドアサイクリングを楽しいものにする様々な工夫が凝らされているので、飽きずに続けられています。

個人的にZwiftでいちばんおもしろいく感じているのは、「現実の模倣にこだわりすぎていない」ところです。

たとえばZwiftには”Watopia(ワトピア)”という架空のワールド、島があります。これは「南国の楽園」という設定らしいのですが、この島の山を登っていると”Willkommen”というドイツ語の看板が現れ(英語のWelcomeに相当)、西ヨーロッパの山岳地帯でよく見るような尖った屋根の住宅街に出たりします。

これはハワイを走っていたらアルザス地方の村が現れた、という感じの、現実ではありえない体験です。

Watopiaには他にも現実ではありえない「長く透明な海底トンネル」もあり、そこでは仲良く連れ立って泳ぐイルカや巨大なクジラなどを見ることもできます。こういう完全なファンタジー、世界観はZwiftの大きい付加価値になっていると思います。

ニューヨークもおもしろい。Zwiftにおけるニューヨークは、現実のニューヨークをベースにしてはいるものの、コースによっては近未来SF小説のような風景が広がっているのです。

ニューヨークなら山はないだろう。平地だろう。軽く走ってみるか…

という気持ちで走り出すと、なぜか空中ハイウェイに導かれ、斜度18%が出たりします。そして路面は透明になっていて、直下を懸垂型のモノレールが走っていたりするのです。そして自動車が空をヒュンヒュン飛んでいます。

New York in Zwift

Zwiftが大きい成功を収めつつある理由は、こんなふうに「現実の忠実な再現」だけにはこだわらず(一方で路面のヒビなどの描写はすごくリアル)、「おもしろければそれでいいだろ?」というクリエイティブな発想でつくられているからではないかと思います。

ライド体験に説得力を与えるためのリアリティの追求は、それはそれでやる。でもそれだけやっていても結局、アウトドアサイクリングの魅力に勝てるわけがない。だからバーチャルでしかできないことをやってみよう、という発想があるのではないでしょうか。

Zwiftの開発チームでアーティスティック・ディレクター的な立場にある方の仕事は、きっとやりがいのある面白い仕事なんじゃないか、と思わされます。

インドアサイクリングの今後

Zwiftをはじめとするバーチャルサイクリングを楽しむ人口は、ここ数年の気候トレンドを考えると増加し続けるように思います。冬は厳冬。夏は灼熱。屋外でのサイクリングが最高に気持ち良い春と秋も、ここ数年は妙に短くなってきているような気がするのは私だけでしょうか。

風も、振動も、新鮮な空気もある最高のサイクリング体験を求めて屋外に出ることをやめることは、勿論ありません。ただ、それが可能な限られた日以外にインドアサイクリングをやっておくと、何もしていないよりも、いざという日にはやはり調子良く走れることがわかりました。

狭山湖堤防

Zwiftが競技志向者向けのプラットフォームであるのは間違いないですが、先にも書いたように観光的な要素、エンターテイメント的な要素も少なくないので、サイクリングに必要な基礎体力を飽きずに日々向上させられるのが良いです。

私のような非競技志向の人間、最高に天気が良い日に風景や、自然がもたらす肌感覚を味わうことを主目的とするサイクリストにも楽しめるのか、すぐに飽きてしまうのではないか、と思ったのですが、今のところは良いアクティビティを開始した、と感じています。

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