自転車のレースやイベントに限らずスポーツ全般で「DNS」や「DNF」という略語がよく使用されます。どういう意味でしょうか。
DNS (Did Not Start, Do Not Start)
DNSは”Did Not Start”または”Do Not Start”の略で、スタートしなかった、スタートしない、という意味です。
最初のDは”Did”なのか、それとも”Do”なのか。どちらが正しいのか。という話題が先日上ったのですが、これはどちらも正しい、どちらかが間違っているわけではない、と言って良いと思います。
“Did Not Start”は「スタートしなかった」。”Do Not Start”は「スタートしない」。という時制の違いがあるのみで、その日のレースやイベントがはじまる前に「今日はDNSします」と自分で言うのなら、そのDNSは”Do Not Start”の略語と言えるでしょう。
レースやイベントが終わった後に、「今日はDNSでした」。と言うなら、そのDNSは”Did Not Start”という意味になるでしょう。レース開催者がリザルトに記すDNSも同様です。
DNF (Did Not Finish, Do Not Finish)
DNFも同様で、これから棄権するのであればそのDNFは”Do Not Finish”(完走しない)で、過去のことについて言及するのであれば”Did Not Finish”(完走しなかった)。どちらかが間違っている、とは言えないでしょう。
ただいろいろ調べてみたところ、日本のインターネットでは”Do Not Start”, “Do Not Finish”の略として紹介しているサイトがどちらかというと多い印象を受けました。
DSQ, DQ (Disqualified)
ついでにレースで使われるもうひとつの略語を見てみます。”DSQ”や”DQ”というものがあります。これは”Disqualified”の略で、「資格を失う」=すなわち「失格」のことです。
Tempers fraying in the final week of @LeTour! Why was Tony Martin trying to run Luke Rowe off the road? pic.twitter.com/RcZ7djXOhN
— GlobalCyclingNetwork (@gcntweet) July 24, 2019
今年2019年のツール・ド・フランス第17ステージではルーク・ロウ、トニー・マルティンがレース中に喧嘩してしまい、2人ともDSQになってしまったのは記憶に新しいところです。
Abondon, Non partant, Hors course
次に略語ではありませんが、ツール・ド・フランスのようなフランス語圏のレースを見ていると画面に”Abondon”(アボンドン)という文字を見かけることがあると思います。これは仏語で”棄権”の意。結果的にはDNFと同義になります。
レース終了後はDNF選手の中にはDSQやAbondonの選手も含まれることになります。
DNSはフランス語では”Non partant”(ノン・パルタン、「出走せず」。英語の”Not starting”に相当)と表記され、DSQ(失格)は”Hors course”(オール・クルス、「レース外」。英語の”Excluded from race, out of race”に相当)と表記されます。ツール・ド・フランスのリザルト表でよく見かける表現です。