アメリカのドナルド・トランプ大統領は8月1日、中国製品への10%の追加関税の発動についてツイートしました。このまま米中間の外交交渉がうまく行かなければ、自転車関連製品としては9月1日以降、米国に輸入される中国製造のヘルメットやライトにもこの関税が適用されることになりそうです。
出典 Trump to impose 10% tariff on remaining Chinese goods
中国政府がレアアースの規制強化を示唆
Bicycle Retailerは5月に「中国がレアアースの規制強化を示唆、E-BIKEの価格と流通に影響を与える恐れあり」という記事を出していました。下がその記事ですが、このまま米中貿易戦争が続くのであれば中国政府はレアアース規制に踏み切るかもしれない、と環球時報の編集長、フー・シージン(胡锡进)のツイートを引用していました。
出典 China hints at magnet restrictions that would affect e-bike prices and availability
これが問題のツイート。
Based on what I know, China is seriously considering restricting rare earth exports to the US. China may also take other countermeasures in the future.
— Hu Xijin 胡锡进 (@HuXijin_GT) May 28, 2019
私が知っていることをベースにして言うと、中国は米国へのレアアースの輸出規制を真剣に検討している。中国は将来、他にも対抗措置を取るかもしれない。
それで、レアアースの米国への輸出が規制されると、自転車業界で懸念されるのはまずE-BIKEらしいです。というのもE-BIKEのモーターで使われているネオジム磁石が影響を受けるから、ということのようです。
輸出規制以外に、レアアースの出荷量自体を中国政府が規制すればその値段は跳ね上がり、良質なモーターを搭載したE-BIKEは価格も高騰し、生産台数も少なくなる、というのがBicycle Retailerの上記記事の大体の内容です。
米国へ輸出される中国製E-BIKEは昨年夏すでに25%の関税を課されていて、EUもE-BIKEにはアンチ・ダンピング関税措置を取っているのでヨーロッパの多くのメーカーが中国外への工場移転を強いられているようです。
しかし仮に多くのメーカーが中国国外でE-BIKEやE-BIKEのモーターを生産したとしても、今度はネオジム磁石の価格自体が高騰してしまいE-BIKEはやはり高くなる、というシナリオが待っているのかもしれません。
昨年2018年に採掘されたレアアースの80%が中国産だそうです。
E-BIKE以外でもお世話になるネオジム磁石
ここからは余談です。
ネオジム磁石はE-BIKEに限らず、ロードバイクなどのスポーツサイクル乗りの方も使っていると思います。有名な使用法としては、ペダル軸の裏側にまるいネオジム磁石を貼ってケイデンスセンサーのマグネットがわりにする、というのがありますよね。amazonなどで売っている汎用品を流用できます。
1枚1gのネオジム磁石を2枚重ねたものをクリップの箱の中に入れると… おおっ、すごいw 何回か試してみたのですが、平均で40本くらいのクリップを保持できました。強力ですね。
しかしCATEYEのサイコンに付属するスピードセンサー用のマグネットも負けていません。このマグネットは磁力のないネジ部分も含めてちょうど2gなので、比較条件が同じではありませんが、何回か試してみたところ平均で30本ほどのクリップを持ち上げられました。
CATEYEのマグネット、「ネオジム磁石」と銘打たれている商品といい勝負ですね。ただ、素材が何でできているかは不明です。磁石には最も強力とされるネオジム磁石以外にも、フェライト磁石やアルニコ磁石などがあるそうです。
サイコンのセンサー類とスポークマグネットの距離が遠かったり、ケイデンスセンサー用のマグネットがうまく反応しない時は超強力なネオジム磁石を使うとうまく反応してくれる場合があります。ペダル軸裏にくっつけるだけなので、簡単便利です(ただ筆者は1度走行中になくしたことがありますw)。
ペダル軸の裏に付ける場合、直径は13mm程度、厚みは3mm以上のものが個人的にはちょうどいいと思いますが、クリアランスによって最適なサイズが変わってくると思うので買う前に必要になりそうな大きさを測っておきましょう。