サイクリング

伊豆大島一周サイクリング 癒やしを求めて返り討ち!

5.0

東京から直線距離にしてわずか120km、竹芝桟橋からジェット船で1時間40分で行ける自然豊かな離島・伊豆大島。静岡県の熱海からは46km、わずか45分で行けてしまう火山島。

元町港

2019年9月下旬、この美しい島を自転車で1周しました。本記事ではその模様をお伝えします。

大島一周道路へ

東京・竹芝桟橋を朝8時に出港、大島の元町港には9時40分頃に着きました。波止場を出て自転車を組み立て、10時少しすぎに早速走り出します。コンビニはないと聞いていたので、最初に見かけた自動販売機で水を3本買いました。緊急用の食料としてinバーを4本携行しています。

まずは元町港から反時計回りに大島をめぐることにします。「大島一周道路」がすぐ近くにあるのでそこに入ります。

大島一周道路

ほどなくして「御神火(ごじんか)スカイライン」との分岐に差し掛かります。これは別記事(写真下にリンクあり)でも書きましたが、この時は通行止めになっていました。

大島一周道路

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2021年6月現在、この御神火スカイラインはめでたく通行止めが解除されています!

走り出してすぐに思ったのは、「大島一周道路、わりとアップダウンがあるな!」ということ。下りでは放っておくと50km/hを超えてしまうような箇所もざらにありました(クルマの制限速度は40km/hなのでそれを超えないようにしましょう)。

自前の小径車を持ってきたらしいカップルを追い抜きましたが、女性の方は元町港のすぐ先の4%くらいの長い坂道ですでに自転車を押し歩いていました。

あの女性が筆島の先に行かなかったことを祈るばかりです…!(その理由は後ほど)。もし行ってしまったら… 彼女は自転車をやめてしまうかもしれない!

大島一周道路

大島一周道路はきれいな海が見渡せる箇所もあれば、こんなふうに鬱蒼とした木々に覆われた箇所もあります。道路の舗装状態は非常に良く、クルマの方も自転車に優しい運転をしてくれるのが印象的。1泊2日の滞在中、1度もクラクションを鳴らされませんでした。島民の方々の旅行者への気遣いには感謝しかありません。

大島一周道路

これが有名な地層切断面(バームクーヘン)だ!

いきなり名所中の名所があらわれました。通称「バームクーヘン」として知られる地層切断面(千波地層切断面、大島町野増)です。

地層切断面(バームクーヘン)

元町港から波浮に向かう島一周道路沿いにある地層切断面で、高さ30m・長さ800mにわたって溶岩層が交互に重なっています。 2万年前から数百回に及ぶ三原山の噴火によって火山灰が幾層にも重なってできた地層で、一層一層異なる時代の火山弾や火山灰で形成されています。

伊豆諸島 大島のおすすめ観光スポット|船・フェリーの旅|東海汽船より

すっげー、なんだこりゃ!! インスタグラマーならお菓子のバームクーヘンと一緒にセルフィー撮らないといけない場所です。

地層切断面(バームクーヘン)

反対側には椿油関連製品の名産地・利島(としま)も見えていて、道路の左も右も素晴らしい景色です。

利島

長さ800m。ここは10分くらいのんびりしたいところです。

地層切断面(バームクーヘン)

歩道脇にはハイビスカスの花が。ちなみに大島と言えば利島同様にツバキが有名ですが、ツバキの旬は1〜3月。

地層切断面(バームクーヘン)

波浮港を散策する

地層切断面から2kmを過ぎたあたりで「波浮港(はぶみなと)まで5.1km」の表示があったので、バームクーヘンから波浮港までは約7kmになります。

波浮港

波浮港に行くには、大島一周道路から一旦離れる必要があります。情緒溢れるとてもきれいな港だったので、これは行ったほうが良いです。

波浮港

港が見えてきました。もともとは湖だったらしいのですが、1800年頃に秋廣平六という方(千葉県出身)が主導して港として完成させました。大島の歴史を語る上で欠かせない重要な港だそうです。

波浮港

「波浮の港」という歌の歌詞を刻んだ石碑があります(作詞:野口雨情 作曲:中山晋平)。

「波浮の港」の碑

波浮港最古の船舶信号機だそうです。

波浮港最古の船舶信号機

いい感じの家がたくさん並んでいます。このあたりには「島京梵天」という有名なたいやき屋さんや、「鵜飼商店」というコロッケで有名なお店があります。大島における有名なB級グルメスポットです。この時、鵜飼商店の前を通ったのですが、実はそのコロッケが名物であることを知らずにスルー!! 次は絶対に食う!

波浮港

大島一周道路に戻ると、「波浮港見晴台」がありました。

波浮港見晴台

きれいですね。あの岬の向こう側もさきほど少し走ってみました。

波浮港見晴台

時間があればあそこでもう少しのんびりしたかった…

波浮港

これが有名な筆島だ!

先に進むと、これまた有名な筆島(ふでしま)にやってきました。筆島は火山の名残であり、無人島です。

筆島

筆島(ふでしま)は、東京都大島町に属する小さな無人島。海に突き出た高さ30mほどの岩であり、その名のとおり筆先のような形をしている。伊豆大島の南東の海岸から、100mほどの沖に位置する。

筆島は、火山島である伊豆大島ができる以前、240万年から数十万年前に活動していた筆島火山の火道が侵食に耐え残った岩頸と呼ばれる地形である。対岸の伊豆大島の海食崖には筆島火山の岩石が露出し、岩脈が数多く見られる。

Wikipediaより

あのポツンとした姿がたまりません。

筆島

右手側に見えているのは「ジュリアおたあの十字架」。「ジュリアおたあ」さんは安土桃山時代に朝鮮から連れてこられた女性で、キリシタンであったため迫害され、新島・神津島・大島などの伊豆諸島に何度も島流しされたのだそうです。

ジュリアおたあの十字架

筆島からの立派なヒルクライム…聞いてないよ!

さて、筆島を出発すると… 坂です。しかも立派な坂ですwww 

筆島からの立派なヒルクライム

いや、激坂ではないのです。たしか10%以上のところはなかったんじゃないかな。

筆島からの立派なヒルクライム

でもね、これ立派なヒルクライムですよww 私はこの翌日に三原山ヒルクライムをするつもりだったので、この日はのんびり大島を一周して、まず島の概要を大雑把に把握し、大自然に癒やされよう… などと考えていたのです。

筆島からの立派なヒルクライム

いや、癒やされることは癒やされるゥゥッ!! ただ期待していた癒やしはこういうものではなかった… もっとこう、ポタリングみたいなのんびりとしたサイクリングをイメージしていた… これ奥多摩の前半みたいなもんじゃないかw

でも、これはすごく良かった。乗りごたえたっぷり。島一周はフラットなコースであろう、と思いこんでいたところに、ちゃんとした山コース。楽しみが2倍! 疲労も2倍!

伊豆大島、走り甲斐があります。のんびりリゾートポタリング気分でやってきたら返り討ちに合う!

島の東側のこの山道、あと動物の気配がものすごいです。上からゴケッ、ゴケッ、という謎の鳴き声が聞こえるので見上げると、野生のニワトリが崖の斜面を歩いていたり、キツネがジャンプして逃げていったり、リスがチョロチョロ〜と道路脇を走ったり。枝をバサバサッと渡っていく黒い影も観ました(サルの仲間かもしれない)。

筆島からの立派なヒルクライム

ガードレールの下でものすごく太った立派な猫が日向ぼっこしていたり。植生も熱帯とまでは行かなくとも、温かい地域に生えていそうな木々を多く見かけました。

裏砂漠入口〜大島公園

大島公園に至る手前に、裏砂漠への入り口がありました。ここは本当に特別な場所だったので、別記事を書きました。写真下のリンクから是非お読みください。

裏砂漠への入り口

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伊豆大島一周サイクリング中、島の東部の「筆島」と「大島公園」のちょうど中間地点くらいに「裏砂漠」への入口がありました。ここは一部が自転車で走れると聞いていたので、WTB Byway TCS 650bx47cというロードプラスタイヤをはかせた...

Stravaを見るとこの裏砂漠入口が筆島からのヒルクライムのピーク付近になっているようです。筆島が元町港を出発して波浮港で寄り道したあとの23kmくらいの地点。上の写真の道の行き止まりあたりが標高431m。

裏砂漠入口の標高

ヒルクライムももうすぐ終わりです。いやー、裏砂漠でも遊んだので、しんどかった。筆島から大島公園までは15kmのヒルクライムですよ。

大島一周道路

この日、はじめてのちゃんとした食事が大島公園の「海のふるさと村」で食べたこのラーメンでした。島海苔がたくさん入っています。大島の醤油ラーメン、いわゆる中華そばはこのスタイルのものが多いようです。

大島公園「海のふるさと村」のラーメン

大島では「べっこう寿司」や「くさや」、アシタバ(大島ではアシタバを「アシタボ」と呼びます)の天ぷらなどいろいろな地元料理を食べました。どれもうまかった。しかし今回の滞在中、いちばんうまかったのはこの「海のふるさと村の600円のラーメン」です。次に来る時もこのラーメンを予定に組み入れます。

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泉津から岡田港方面へ

島の北部を泉津から西へ、岡田(おかた)港方面へ向かいます。岡田港も東海汽船のジェット船や大型船の発着港になることがありますが、大島一周道路からは離れるので港自体はとりあえずスルーします(大島一周道路と岡田港のあいだにはかなりの標高差があり、激坂が待っています)。

先日の台風15号での被害でしょうか、道路や電線の工事をしている箇所が多くありました。

泉津〜岡田

泉津あたりで短いトンネルが2〜3ありました。

泉津〜岡田

泉津橋からの眺め。泉津や岡田でもゆっくりしたいところですが、日没の時間帯にとある場所を走りたいのでやむなくパス。

泉津橋からの眺め

元町港方面へ

元町港が近くなってきました。大島にコンビニはありませんが、元町では大きめのスーパーを数件見かけました。

LIFE TOWN やすとく

東京都大島支庁。大島、利島、新島、式根島、神津島の5島を管轄しています。立派な建物ですね。

東京都大島支庁

出発点の元町港が見えてきました。

元町港

港船客待合所でドリンクと軽食で少しだけ休憩。大島一周自体は終わりましたが、まだこれから走るところがあるのです。

元町港

サンセットパームラインで夕陽を浴びる

元町港から北に約5〜6kmほど伸びている「サンセットパームライン」に向かいます。その名の通り、ヤシの木が点在する、夕陽の映える道です。車道・歩道ともに舗装の状態は良く、走りやすいです。

サンセットパームライン

いい感じに陽が傾いてきました(※上と下の写真は元町港方面を振り返って撮影しています)。

サンセットパームライン

より海に近い、赤色の道があります。そちらは痛みが激しく、ロードバイクや小径車では走りにくいかもしれません。しかし私は650Bx47Cのロードプラスタイヤをはかせたグラベルロードなので平気でした。

下は赤禿(あかっぱげ)と呼ばれる名所です。

赤禿(あかっぱげ)

赤禿(あかっぱげ)

今から3400年前の水蒸気爆発で出来た側火山です。火口近くに赤色のスコリアが厚く積もりました。赤い色のスコリアは溶岩に含まれている鉄分が高温でゆっくりと燃焼し酸化した証です。沈む夕陽は一服の絵画のようです。

This volcanic vent was created almost 3,400 years ago by a steam explosion that left a thick accumulation of red scoria in the area around the crater. Red scoria is evidence that iron, which was included in the lava, gradually burned at high temperatures and oxidized. The sunsets here are like paintings that revive the soul.

(現地の看板より)

※スコリア…火山噴出物の1種

適度なアップダウンのある、見晴らしの良いいい道です。ここはやはり走っておいて良かったです。

サンセットパームライン

この開放感、たまりません。画角180度の8mm魚眼レンズが活躍します。

サンセットパームライン

もうすぐ日没です。この日のサイクリングでの計画らしい計画と言えば、日没のこの時間帯にこの場所にいること、くらいだったのですが、うまく行きました。

サンセットパームライン

黄昏時の元町港へ

元町港に戻ります。夕陽がきれいです。今日は走ったなぁ… 筆島からの思わぬヒルクライムあり、裏砂漠のオフロードありで結構体力を持っていかれました。

元町港

トワイライト、写真が映えるマジックアワーです。

元町港

元町港、きれいです。早朝やこの時間帯に港を散歩するのもきっと気持ちが良いだろうな…!

元町港

また来たい… また来るよ!

この日の行程と走行距離

この日の行程を地図で示すとこんな感じです。大島一周道路自体は46.6kmなのですが、波浮港に寄り道したり裏砂漠で遊んだり、最後にサンセットパームラインを走ったので、総走行距離自体は63.68kmとなりました。しかも峠込みなので、ライドはかなりの充実感がありました。

大島一周地図

大島一周サイクリングを終えて

走り終えて思ったのは、大島はジェット船を利用して日帰りで遊ぶこともできますが、1泊2日でもとても遊び尽くせない感じがしました。この翌日は三原山サイクリングと火口のお鉢めぐりをしたのですが、途中で見かけたいい感じの脇道に入るとか、港町の路地をゆっくり散策する、という時間がありませんでした。

サイクリングに限って言うと、走りごたえ、あります! 大島一周道路だけでもアップダウンが多く、Stravaで見ると獲得高度1,060mです。温暖な南国リゾートに癒やしの平地サイクリングを求めてやってくると返り討ちに合うことうけあいです(笑)

でも走り終えたら、やっぱりいい癒やしが待っていました。東京に戻ってから数日経ちますが、まだ旅の余韻に浸っています。戻りたい…

大島を走るのであれば宿泊を強く推奨します。可能なら2泊がベスト! 単に走るだけなら1日で島一周も三原山も登れてしまいますが、やはり時間に余裕を持ってじっくりと観光したい土地でありました。私も次回は2泊くらいしたいなと思っています。

今回の伊豆大島サイクリングでは関連記事がいくつかあります。下にリンクを置いておきますので、行ってみたい方は是非あわせてお読みいただけると幸いです。

追記: この日、筆者は反時計回りに伊豆大島を一周しました。しかしその後何度か伊豆大島をサイクリングして知ったのは、時計回りのほうが坂道はラクだということです。風向きによっても変わりますが、絶対的な斜度は反時計回りのほうがきついのでご訪問を計画されている方はそのあたりも考慮されてみて下さい
著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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