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ライド中の脚の痙攣には2つの異なる原因がある ひとつは電解質不足、もうひとつは?

ロングライドやヒルクライムイベント、レースなどで脚が攣った! という方は少なくないと思います。痙攣(けいれん)、こむらがえりなどです。これについては「電解質(エレクトロライト)不足が原因だよ。塩を採れ」というアドバイスがごく一般的なものと思われますが、「電解質不足=痙攣の原因」ではないこともあるようです。

road race

Photo by Pixabay

はじめての200kmで脚が攣った!

まず海外掲示板でこんな議論を見かけました。

出典 Muscle cramp on longer cycles(普段より長いサイクリングで筋肉が痙攣した)

以下、スレ主さんによる質問です。

Q: 週末に、はじめての200kmイベントを完走しました。最後の50kmで両方のハムストリングスと、大腿四頭筋も痙攣しました。ペースは超速いわけでも、遅いわけでもありませんでしたし、出走前にはよく食べていましたし、走行中は補給し、水分・塩分も維持しました。とても暖かい日ではなかったです。

私は45歳男性で、フィットネスレベルは良く、定期的にサイクリングしており、週末は断食100kmをやったり、ポラライズド・トレーニングもやっています。何かの記録を破ったりすることはないものの、自転車では概して良い脚を持っていると思います。もっと気温が高い時に、150/170kmのスピンをやったこともあります。

皆さんの経験では、痙攣を引き起こすのはただの普通の疲労だと思いますか(例えば、ちょっと頑張りすぎたなど)? それとも私には何か足りていないものがあるのでしょうか? こういう長距離サイクリングをもっとやっていけば、痙攣への耐性は上がるのでしょうか?

これに対し、197いいねがついているコメントがこちら。これはスレ主さんに対してだけでなく「電解質不足だよ」という他の方々からのコメントに対する返答にもなっています。

A: サイクリングにおける最も大きい誤解のひとつは、電解質やハイドレーション不足が痙攣の真の原因である、というものです。本当は何が起こっているかというと、身体が筋肉や器官をダメージから守るため、神経学的な反応を起こしているのです。痙攣している時は、もうこれは続けられないと身体が言っているのです。もちろん、ハイドレーション不足、電解質不足は痙攣の原因のひとつではあります。(しかし)筋肉や代謝系がそのエフォートレベルまで訓練されていないだけのことが多いです。

もしそれがあなたにとっての最大のライドのひとつで、最も多くのキロジュールを出力したものだったなら、そのタイプのエフォートを行うための十分なトレーニングができていなかった可能性が高いと思います

少しわかりにくいかもしれませんが、ハードな運動で痙攣する場合、発汗による電解質不足も原因のひとつになりうるものの、運動強度や負荷が自分の限界を越えた場合、電解質が足りていたとしても筋肉は痙攣する、というものです。

2種類の異なるタイプの痙攣がある

上の方のコメントについては複数の方から「リサーチに基づいた正確なコメントですね」という意見がありました。しかしその「リサーチ」がスレッド内では紹介されていなかったので(なんとなくみんな読んだことがある有名なものらしい)、自分で調べてみたところ、下の論文を発見しました。恐らくこれではないかと思います。

出典 Muscle Cramps during Exercise-Is It Fatigue or Electrolyte Deficit? : Current Sports Medicine Reports(運動中の筋痙攣は疲労か、それとも電解質不足か?)

この論文の概要を抄訳してみました。学術論文なのでかなり読みにくいところがありますが、大まかには伝わると思います。

運動中の骨格筋痙攣は、フィットネスレベルが非常に高いアスリートにおいてもよく見られる症状です。また、経験的エビデンスが増えるにつれ、運動に関連する筋痙攣には2つの異なった一般的なカテゴリーがあることがますます明らかになってきています。

骨格筋への過負荷と疲労は、オーバーワークした筋繊維における局所的な筋痙攣を引き起こします。これは受動的ストレッチやマッサージによって、または運動強度や負荷の変更によって効果的に対処できます。

一方、汗中からのナトリウム損失を相殺するだけの十分な量のナトリウムが食事から採れていない場合、広範な発汗とそれに由来する全身の交換性ナトリウムの甚大な損失は、間質液質の収縮と、より広範な骨格筋痙攣を引き起こします。これは筋肉への負荷や疲労が最小限だったり、ゼロだったりする時も起こります。

神経筋接合部が過剰興奮状態になっている兆候はまず、活動の停止中に線維束性筋収縮として現れ、それはやがてより重い、力を失わせるような筋痙攣に至ります。

この症状を訴えるアスリートは「塩っぽい汗」をかく人であっても、低張性発汗と血管内体積が減ることから、しばしば正常な、またはいくぶん高めの血清電解質レベルを提示することが顕著です。

しかしながら、ナトリウムの経口・静脈注射摂取による水分とナトリウムバランスの回復と維持は、広範な発汗とナトリウム欠乏が引き起こす運動性筋痙攣の解消と回避にとって、実績のある効果的な戦略です。

つまり、限界まで追い込まないようなライドでも、大量に発汗すればナトリウム不足になって痙攣する。そしてその場合なら、電解質チャージによってある程度の予防・回復ができることは実証されている。

しかし「オーバーワークによる局所的な筋痙攣」は、電解質不足とは発生機序が違う。これは身体が「もう限界。これ以上やると壊れる。休め。」と言っている状態で、これを解消するには、現場では脚を止めた状態でのストレッチやマッサージを行う(電解質不足も絡んでいる場合は、このタイプの痙攣を悪化させるので電解質チャージも効果があるらしい)。

と、私は解釈しました。

長期的にはトレーニング量を増やし、より高い負荷に耐えられる身体を作るしかない、ということだと思います。電解質が不足していない状態で200km走って痙攣しないようにするためには、200kmを何度も走ってそれに慣れるしかない、あるいは300km走る練習をする、というところでしょうか。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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