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タイヤのクリアランスについての考え方:限界まで太いタイヤを入れるとどんな問題が発生する?

スポーツサイクル界では近年、太めのタイヤが人気です。ロードバイクでも28mm以上のチューブレスが主流になっている印象があり、グラベルバイクではフレーム側の対応クリアランスが700×45は当たり前、最新製品なら700×50くらいには対応してほしいね、などという意見を目にすることもあります。

IRC TIRE BOKEN PLUS TUBELESS READY 650X47B

そうした事情も手伝ってのことなのか、海外掲示板では「クリアランスがこれくらいしかないんですけど、乗っても大丈夫でしょうか?」という質問投稿を見かける機会も増えたように思います。タイヤとチェーンステイの間隔が2mmくらいのギリギリな写真が添えられていることも。

クリアランスが狭すぎる時のリスク

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タイヤとフレーム(またはフォーク)間のクリアランスが極端に少ない時、どんなリスクが考えられるでしょうか。思いつくままに列挙してみると…

  • 泥が中心の道(マディ・コンディション)を走る時、泥が詰まって走行不能になることがある(取り除けば良いものの、めちゃくちゃ大変なことがあります。取り除いても先の道が同じ状態だったり…)
  • 大きめの石・礫・異物がはさまってホイールがロックすることがある
  • ホイールが振れてしまった時、タイヤがチェーンステイやフォークブレードなどに接触してしまう

などがあると思います。

他にも海外掲示板で、ブランドはニットーだったかホンジョだったか忘れてしまいましたが、日本製の軽量薄型マッドガード(フェンダー)とタイヤのあいだに、やはり大きめの石か小枝のような硬いものが入りこんで、それがフェンダーを押し上げてしまい、その勢いでフェンダー末端が内側に巻き込まれて破局的に破壊した写真を見たことがあります。

↓ こういうタイプのフェンダーです

サイクリングロードのような整備された舗装路をロードバイクで走るのであれば、あまり神経質に捉えなくとも良いことかもしれません。しかしオフロードをよく走る方であれば、大きい陥没穴にハマってしまってホイールが振れ、タイヤがフレームに擦ってしまうとか、思いがけない異物を巻き込んでしまうなどのリスクがあることを理解した上で運用する必要があるでしょう。

グラベルライドを多くするような方は、メーカーによる公式クリアランス値よりも太いタイヤが入りそうな場合でも、極端に攻めすぎないほうが良いかもしれないですね(つい試したくなるんですけどね!)。

ちなみにこの記事を書くことになったきっかけがあります。先日、シングルスピードバイクのチェーン交換をしていました。適切なチェーン長・チェーンテンション(クランクを回した時の抵抗感)を探りながら作業していたのですが、スライドエンドをちょうど良い位置に調整していたら、いつのまにかタイヤがチェーンステイに接触。ホイールが少し横振れしていたせいもあります。

シングルスピードバイクのスライドエンド

接触しないようにスライドエンドを後方にずらしていくと、今度はチェーンテンションが高くなりすぎてしまう。ならばとチェーンを一コマ分長くすると、今度はチェーンがダルダルになってしまう。ちょうど良いところが見つからない…等、シングルスピードバイクでもクリアランスに余裕がないと調整で苦労することを悟ったのでした(半コマ・ハーフリンクというものが売られているので、それで解決するのですけれども)。ただ、これは少し稀な悩みかもしれませんね。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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