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ヘッドセットの統一表記システム・SHISの読み方

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さまざまな規格が乱立するヘッドセット(ヘッドパーツ)。自力での交換や新規インストール時にどれが自分に必要な規格の製品なのか迷う方も多いはず。

ヘッドセットの統一表記システム・SHISの読み方

本記事では様々な規格のヘッドセットの統一表記システムである「SHIS (S.H.I.S.)」の読み方と、あわせてヘッドパーツの種類について解説します。

SHIS (Standard Headset Identification System)とは

SHISとは”Standard Headset Identification* System”(=標準的ヘッドセット識別システム)の頭文字から取った言葉で、メーカー間で異なっているヘッドセット規格の呼称やサイズ情報を同じルールにもとづいて表記しようというシステムです。

(*IdentificationのかわりにInformartionとしている海外サイトもあります)

メーカー・海外通販サイト・代理店などの製品ページにはこのSHIS表記が添えられていることがあり、理解しておくと自分に必要な製品を判別できるので便利な場合があります。

SHIS表記の例

以下はとある代表的なヘッドセットのSHIS表記です。これが何を意味しているかを見ていきましょう。

 

Top: ZS44/28.6

 

Bottom: EC44/30

 

まず上段は上ワンのことです(「ワン」ではない形状のヘッドセットもありますが…)。英語では”Top”や”Upper Stack”(アッパースタック)と表記されます。

下段は同様に英語では”Bottom”や”Lower Stack”(ロワースタック)と表記されます(※Stack = 堆積、積み上がったもの、の意)。

なお表記はこんなふうに横に並ぶことが多いです。順番は大体上から下です。

 

ZS44/28.6 – EC44/30

 

アッパースタックの読み方

ヘッドチューブの上側で使うヘッドセットのSHIS表記は次の順番で並んでいます。

 

ZS44/28.6

 

  • 最初の2つのアルファベット:ヘッドセット・タイプのコード
  • 続く2つの数字:ヘッドチューブ内径
  • スラッシュ(パイプの場合もある)の次の数字:フォークコラム外径(クランプ径)

ヘッドセット・タイプのコードは3つあります。この3つがそれぞれどんなものかは後で解説しますが、まずこの3つがあるということだけここでは覚えましょう。

  • EC (External Cup)…エクスターナル・カップ
  • ZS (Zero Stack)…ゼロスタック
  • IS (Integrated)…インテグレーテッド

次にヘッドチューブ内径をあわらす「44」という数字ですが、これは何かの正確な数字を示すのではなく、あるレンジを示すコードのようなものです。例えば44の場合は、カップ外径44.1mm, ヘッドチューブ内径43.90-43.95。

スラッシュの後の2つの数字、フォークコラム外径はわかりやすいと思います。28.6mm = 1 1/8インチのいわゆるオーバーサイズフォークコラムです。

なおスレッド式コラムの場合、スレッド外径の数字のあとにスレッドインチ表記が後に続く場合があります(例:ZS44/28.6-26tpi) ※tpi = thread per inchの略。

ロワースタックの読み方

ロワースタックの読み方はアッパースタックのそれと少しだけ異なります。スラッシュの前の前半は同じです。最初の2文字はヘッドセット・コード、次の2桁の数字はヘッドチューブ内径。

 

EC44/30

 

違うのはスラッシュの後の2桁の数字です。これはクラウンレース内径の数字です。

このクラウンレース内径の数字も正確なものではなく、一種のコードです。上の「30」の場合を例にすると、これは「フォークシート外径が30.1mm・クラウンレース内径30mm」に対応することを意味します。

なおクラウンレースを使用しないインテグレーテッド・レースの場合はここに数字はやってきません。

おさらい

ここでおさらいしましょう。上で例に挙げたSHIS表記のヘッドセットは次のように解読できます。

  • アッパースタックのZS44/28.6:ゼロスタックと呼ばれるタイプのヘッドセットで、ヘッドチューブ内径が大まかに「44mm」と呼ばれるもの。フォークコラムは28.6mm = 1 1/8インチ、いわゆるオーバーサイズに対応
  • ロワースタックのEC44/30:エクスターナル・カップと呼ばれるタイプのヘッドセットで、ヘッドチューブ内径が大まかに「44mm」と呼ばれるもの。フォークのクラウンレース内径が30mmのものに対応

ヘッドセットのタイプ

上の項でヘッドセット・コードとしてEC, ZS, ISの3つが登場しました。現在一般的に使用されるヘッドセットはこの3タイプのいずれかに該当します。それぞれ見ていきます。

EC (External Cup)

ECはExternal Cup, エクスターナル・カップ・タイプのこと。伝統的な圧入型ヘッドセットです。ベアリングレースはヘッドチューブの外側に来ます。スレッド式・スレッドレス式どちらの場合もあります。

クロモリのようなスチールバイクで使われることが多いタイプです。圧入型、ということから想像できるように、カーボンフレームで使われることはまずありません。

ZS (Zero Stack)

ZSはZero Stack, ゼロスタックタイプのこと。スタック(堆積)がゼロ、ということからもわかるようにヘッドセットそれ自体の高さがゼロ、あるいはほとんどないタイプです。ベアリングはヘッドチューブ内に収められ、ヘッドチューブ上面からやや下、またはツライチになります。キャップはヘッドチューブの上面または下面のフチを支点にして止まります。

ゼロスタックは別名「インターナル・ヘッドセット」とも言います。これはベアリングがヘッドチューブの内側(internal)に乗せられるタイプだからです。

ゼロスタックにはさらに「セミ・インテグレーテッド」という別名もあります。このあたりがややこしいですが、最後にまた説明します。

IS (Integrated System)

ISはIntegrated System, インテグレーテッド・システムのこと。これはこのIS規格専用のフレームを必要とします。

ベアリングはヘッドチューブ内の特別に整形された箇所に収まります。そのベアリング保持部(カップ)はフレームの一部。カートリッジ式ベアリングがその「カップ」に収まります。

ベアリングは凸状の形状をしており、角度が付いています。

ベアリングの角度には36度と45度が存在していますが、36度のフレームはもう製造されていません。

なおベアリングの上にはダストカバーがあるのみです。

いくつかの表記例

最初に紹介した例以外にも2つのSHIS表記例を見ていきましょう。

例1 ZS44/28.6 – ZS56/40

 

Top: ZS44/28.6

 

Bottom: ZS56/40

 

上下でヘッドチューブ内径が異なっているのでヘッドチューブがテーパードであることがわかります。

例2 ZS49/28.6 – EC49/40

 

Top: ZS49/28.6

 

Bottom: EC49/40

 

上はゼロスタック。下は圧入式のカップであることがわかります。さらにヘッドチューブ内径は同じですが、クラウンレースの大きさを考えるとテーパードフォークであることがわかります。

備考:スタックハイトについて

SHIS表記にはヘッドセップのキャップ・カップのスタックハイト情報が付記されていることもあります。ゼロスタックの場合はキャップ部分、エクスターナルカップの場合は外に飛び出したカップ部分の長さの情報です。

ZS44のさまざまな別名

ゼロスタック(ZS)で、なおかつフォークコラムがオーバサイズ(1 1/8″)に対応するヘッドセットはメーカーが次のようなさまざまな名前でブランディングしています。

  • 1-1/8″ internal headset
  • 1-1/8″ Orbit Z (FSA)
  • 1-1/8″ InSet, low-stack (Chris King)
  • 1-1/8″ ZeroStack (Cane Creek)
  • Logic Zero Press Fit 1-1/8″ (Ritchey)
  • Flat44 for 1-1/8″ semi-integrated (Reset Racing)
  • Zero Superlogic (Ritchey)
  • Hidden Cup Headset (Campagnolo)

これらはSHIS表記ではどれも「ZS44」となります。なかなか便利なシステムですよね(というか、ユーザーとしてはZS44に統一してほしいところです)。

備考1:インターナルとインテグレーテッドの違い

最後にインターナル(Internal)とインテグレーテッド(Integrated)の違いについて一言。響きが似ている単語なので混乱してしまうことがあると思うのであらためてまとめます。

  • Internal = 内側にある・内側にベアリングが隠れる = ゼロスタック
  • Integrated = ベアリングカップがフレームに統合されている

備考2:SHISに賛同しているメーカー

この便利なSHISという表記システムは様々なメーカーが共同で確立したもので、創設時のブランドは以下。

  • Acros
  • Cane Creek
  • Hope
  • Race Face
  • Reset
  • Ritchey
  • Syncros

そしてこの表記を支持しているブランドは次の通り。

  • FRM
  • Strummer
  • Tune

Chris KingやFSAといった大手ブランドが入っていないのが残念なところです。

備考3:有益な関連リンク

SHISに関するより詳細な情報のリンクいくつかご紹介します(いずれも英語)。最初の”Cane Creek Headset Fit Finder”では一部車種別にそのフレームに合ったSHIS情報を検索できます。

参考 Cane Creek Headset Fit Finder
参考 WHY S.H.I.S.? – Cane Creek
参考 HEADSET STANDARDS – Park Tool
参考 STANDARDIZED HEADSET IDENTIFICATION SYSTEM – Park Tool

 

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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