「ミニ例のポンプカーボン」ことOtureカーボンファイバー製携帯ポンプを試す

例のポンプ、はもはや説明の必要がないでしょう。とは言ってもご存知ない方のために簡単に説明すると、昨年春頃から爆発的な人気を博している、とある中華製携帯ポンプのことです。非常に少ない力で高圧まで空気を入れられるのが特徴です。

例のポンプ

cbn Oture 携帯ポンプ

この優秀な携帯ポンプは次の様々なブランド名で販売されていますが、どれも構造は同一であり製造元も同じではないかと言われています。

  • Oture
  • LANDCAST
  • Blackbird
  • Iron Jia’s
  • PROSTAR

その後この「例のポンプ」には「ミニ例のポンプ」と呼ばれる小型版が出ました。全長が短いためポンピング回数こそ増えるもののやはり最後まで少ない力で高圧まで空気を入れられると人気です。

さらに今年の春にはその「ミニ例のポンプ」のカーボン版が出ました。「ミニ例のポンプ」の構造はそのままに筐体にカーボンを採用することでさらなる軽量化を図ったモデルです。

ミニ例のポンプカーボン

cbn Oture 携帯ポンプ カーボン

本記事ではこの「ミニ例のポンプカーボン」の実力と使い勝手にあらためて迫ってみたいと思います。

とは言っても「ミニ例のポンプと例のポンプ」の実力比較は既にネット上に山ほど情報があるようなので、本稿では伝統的な携帯ポンプのひとつである「Lezyne Pressure Drive S」と比較してみます。

「ミニ例のポンプカーボン」を試す

「ミニ例のポンプカーボン」を使い、普段5気圧で運用しているチューブレスレディタイヤ、Mavic Yksion Pro UST 700x25Cに空気を入れた感想を書いてみます。

なお実験はエアをリリースしたあとタイヤをもむなどしてなるべくチューブ内の空気が空になった状態でポンピングを開始。ポンピング100回・200回・300回時点での空気圧をパナレーサーの空気圧ゲージで測定しました。

ミニ例のポンプカーボンとパナレーサーの空気圧ゲージ

その結果です。

  • ポンピング100回時点での空気圧は2気圧
  • ポンピング200回時点での空気圧は3.2気圧
  • ポンピング300回時点での空気圧は4.4気圧
  • 250回を超えたあたりからやや抵抗を感じはじめた
  • ヘッドにはねじ切りがされており、作業中に外れる心配はない。ただねじ切りのないバルブでは空気が漏れて入らなかった
  • 商品は届いた時点でパッケージの厚紙にオイルが垂れておりべたついていた
  • 使用前に筐体をきれいに拭ったが、作業中にシャフトへオイルが少し漏れてくるので素手だと少し気になる
  • しかしカーボン筐体は特に滑ることもなく、ポンピングはしやすい
  • ヘッドにはいい感じの凹みがあり、支える手の指を添えられるのが良い
  • 力むことなく空気を入れられるのは確か
  • 筐体は最後まで熱を持つことはなかった
  • ただしポンピング回数が多いためヘッド部を支える左手がやがて疲れてくる
  • パッケージの取扱説明は非常にわかりづらい(仏式に変換するために内部パーツを組み替える必要はなく、ロックレバーも存在しない)

Lezyne Pressure Drive S

次に比較対象として「Lezyne Pressure Drive S」で同じYksion Pro UST 700x25Cに空気を入れてみます。この個体は10年前に購入したもので、現在はロゴデザインが少し違っていますが公称重量が現在でも変わっていないため現行製品とスペックは同一と思われます。

Lezyne Pressure Drive Sとパナレーサーの空気圧ゲージ

  • ポンピング50回目以降に抵抗を感じはじめた(ミニ例のポンプカーボンの250回目以降の抵抗に相当)
  • ポンピング100回の時点で筐体が熱を持ちはじめた
  • ポンピング回数が少ないので左手は非常にラクである(ホース式のためヘッドを押さえる必要さえない)
  • ポンピング100〜150回目はかなりキツかった
  • 5気圧で運用しているチューブレスタイヤのため150回でポンピングを終了。その時点で4.4気圧
  • 同じ4.4気圧に達するまでのポンピング回数は「ミニ例のポンプカーボン」のちょうど半分で済んだことになる
  • ポンピング回数は劇的に少なくて済むが、必要になる力は「ミニ例のポンプカーボン」と比べるとはるかに大きい

ポンピング回数と空気圧の比較

ここで「ミニ例のポンプカーボン」と「Lezyne Pressure Drive S」のポンピング回数とその結果得られた空気圧を表にして比較してみます。

ミニ例のポンプカーボン Lezyne Pressure Drive S
100回 2気圧 3.4気圧
150回 n/a 4.4気圧
200回 3.2気圧 n/a
300回 4.4気圧 n/a

先にも書きましたが同じ空気圧を得るために必要な力は「ミニ例のポンプカーボン」のほうが圧倒的に少ないのですが、「Lezyne Pressure Drive S」ではポンピング回数が半分で済みました。

ではどちらが使いやすいのか? それは最後のまとめで考察してみます。

重量・全長・ネジ切り・価格の比較

「例のポンプ」と「ミニ例のポンプカーボン」

次に重量と全長、ヘッドのネジ切りの有無、実勢価格の比較です(参考情報として初代「例のポンプ」も含めました)。

重量(実測) 全長 ネジ切り 実勢価格
(参考)例のポンプ(BLACKBIRD) 107g 200mm No ¥2,490
ミニ例のポンプカーボン 78g 178mm Yes ¥2,480
Lezyne Pressure Drive S 90g 183mm Yes ¥5,443

Lezyne Pressure Drive Sは、私が10年前に購入した時は¥3,980でした。現在は1,500円近く値上がりしておりさすがに割高な感じがします。ただホースが内蔵されているところが良く、そのわりに全体が軽量に仕上がっているところは高く評価できると思います。

Lezyne Pressure Drive S

また「ミニ例のポンプカーボン」は上でも触れましたがネジ切りのないバルブでは空気が漏れて使えませんでした。Lezyne Pressure Drive Sもネジ切りバルブ用ですがうまくやればネジ切りなしバルブでもギリギリ使えました。

ネジ切りのないバルブを愛用されている方は「初代例のポンプ」にしておいたほうが無難かもしれません。

なお「ミニ例のポンプカーボン」とLezyne Pressure Drive SはともにPWTのツールボトルにラクに収納できます(「例のポンプ」も斜めにすればギリで入りますが片側をほぼ占領します)。

まとめ

例のポンプ・ミニ例のポンプカーボン・Lezyne Pressure Drive S

さて今回2つの携帯ポンプを使い比べてみた感想をまとめます。

ミニ例のポンプカーボン

ポンピング回数は多くなりますが、疲労度の少なさはやはり特筆に値すると思います。ただし回数が多くなればなるほどヘッドを押さえるほうの手指が疲れてくることと、初期状態でオイルが染み出しているのが少し気になるところ。

本製品は定期的なメンテナンス(潤滑油の注入)を前提しているのですが、そこは欠点といえば欠点。

ちなみに筆者の「例のポンプ」(初代の大きいほう)は自宅での使用実験以外では使っていないのですが、現在ヘッド固定レバーが全く効かなくなっています(初期は問題なし)。

「例のポンプシリーズ」はメンテナンスを怠った結果いざ使おうとした時に動作しない、という不安はあります。これは圧倒的な性能とのトレードオフ。

もうひとつの長所としては、高圧の状態から空気を継ぎ足す場合でも必要な力はそれほど大きくないのでこまめな空気の注入にも便利に使えそうなところ(宿泊を伴うライドなど)。

Lezyne Pressure Drive S

必要なポンピング回数が少なく、バルブへの装着も筐体内に収納する付属チューブを使うのでその意味では非常にラク。ラクな姿勢でポンピングを続けることが可能。

しかし50回を入れたあたりからの抵抗は結構なもので、高圧を入れる場合腕力は確実に必要になってきます。腕力に自信がある人ならおすすめできますが、「例のポンプ」シリーズを知ってしまうと正直キツいものがあります。

特に真夏の炎天下でパンクした場合など、高圧を入れる作業は相当な体力を消耗することが予想されます。既に5気圧程度入っている状態からの空気継ぎ足しも相当力を使います。

ただ大きい長所としては他に「完全メンテナンスフリー」であるところ。

我が家のPressure Drive Sなんと10年の長きにわたりノーメンテです。一切何もしていません。それだけ原始的な構造なのでしょうが、気がつくと使えなくなっている、という心配がありません。

こういう従来型の携帯ポンプはツーリングなどで確実に動作するものを求めている人にとってはやはりまだまだ価値があると思いました。

注:上のリンクで紹介している「Oture 80g 300psi」の製品はディスコンになったらしく、現在飛び先は仕様が変わった別の商品になっているようです。本記事で紹介した製品とはスペックが異なるのでご注意ください