アルテグラ RD-R8000の最大の欠点を解消する

天下のシマノ様にケチをつけるとは何事だ、とお叱りを受けてしまいそうではありますが、私が使っているリアディレイラー、Shimano Ultegra RD-R8000についてはひとつだけ大きい不満があります。

それはインデックス調整するためのバレルアジャスター(シマノ用語では「ケーブル調整ボルト」)です。

RD-R8000 唯一にして最大の欠点

RD-R8000の唯一にして最大の欠点。それはこいつです。このバレルアジャスター。

RD-R8000のバレルアジャスター

ワイヤーにテンションを与えるためにゆるめたり、逆にテンションを弱めるために締めこんだりするネジですが、RD-R8000ではこのネジを操作する時に外側のカバーをまず上に引っ張り上げる必要があります。

RD-R8000のバレルアジャスター

しかし、引っ張り上げるだけでいいかというと、そうでもありません。引っ張り上げた時に、下の写真で示しているように、「溝に爪が噛む位置」に来ていないと、引っ張り上げても無駄なのです。

RD-R8000のバレルアジャスター

その場合何が起きるかというと、いくら外側のプラスティックカバーを回しても空転するだけで、ディレイラーは一切何も調整できていない、という信じられない事象が発生します。しかも、手の感覚だけではボルトがちゃんと回ってくれているのかどうか、知覚できません。

おっかしいなー、バレルアジャスター回してるのにケージが全然動かないぞ…

と思ったら、まずこれが原因です。

最近、路上でいくら調整しても何も変わらないことがよくあったためストレスに感じていました。そこで仕組みを観察してみたら、あまり良いパーツではないように思ったのでした。

最新のデュラエースのリアディレイラーも同じらしい

そしてこの奇妙なバレルアジャスターは、RD-R8000以外にもDura-Ace RD-R9100や105 RD-R7000にも同じタイプが付いているらしい。それらは私は持っていないのですが、カタログを見るとどうもそれっぽい。

私が持っているUltegra RXのリアディレイラーも同じアジャスター。ハイエンドは現在すべてこのタイプなのかも。あと105 RD-R7000はまた独自のパーツのように見えます。

さらにTwitterで教えていただいたのですが、GRXもこのタイプでやはり使いにくいようです。

下はRD-R8000の新型バレルアジャスターの爪がちゃんと噛んでいるところ。この爪が噛んでくれる溝が浅くて、滑りやすいです。非常に使いにくい。昔はこんな仕組みではなかったはずだ。シマノは一体何を考えてこれを導入したのか…

RD-R8000のバレルアジャスター

RD-6800のパーツを移植して解決する

これでは変速調整がはかどらないので、問題を解決することにしました。

解決はズバリ、旧型のバレルアジャスターを移植すること。一世代前のアルテグラ、6800系のリアディレイラーRD-6800のバレルアジャスターを買ってきました(パーツ名はアウターアジャスターボルトと言うらしい)。下の写真がそれです。

RD-6800のバレルアジャスター

もう嵌合部がぜんぜん違うんですよ。左下はRD-R8000ですが、ほんのわずかな、そして浅い溝が4ヶ所。そのうちの1ヶ所だけと噛み合わせます。空転しやすい。右下はRD-6800。こちらも溝は4つあるのですが、4つとも常時、噛み合っています。絶対に空転しません。もう性能差は明らかです。

RD-R8000とRD-6800のバレルアジャスターの比較

この2つのパーツ、タニタのキッチンスケールで重量を計るとRD-R8000のアジャスターが3gと4gのあいだを行ったり来たりします。RD-6800のパーツは4g。新型のほうが0.5g〜1g弱軽いようです。素材もプラスティックだし、軽量化したかったんでしょうか。爪に火を灯す努力というのはこういうことなのか…

だがしかし、快適な調整作業のためには1gどころか3g, 5g増えても構いません。というわけでRD-6800のパーツを移植。バネが吹っ飛ばないように気をつけつつ、RD-R8000にねじこんでいきます。可能な限り奥まで入れて、最後にちょっとだけ戻します。

RD-6800のアジャスターをRD-R8000に移植

あとはアウターケーブルを入れて、ディレイラーがトップの状態でインナーワイヤーを手でピンと張って留めます。

RD-6800のアジャスターをRD-R8000に移植

するとワイヤーのテンションはまだ弱いので、トップから2段目にはなかなか上がりません。そこでこの旧RD-6800のバレルアジャスターを反時計方向に回します。ボルトを緩めます。するとアウターケーブルが収縮して、インナーワイヤーにテンションがみなぎります。

おお〜、感動! 当たり前のことですが、ボルトを回す動きにあわせてテンションがリニアに変わってくれます。これは快適。

旧型のアジャスターは確実に動作する

このRD-6800のアジャスターも、回す時は外側の黒い樹脂を少し持ち上げる必要があるところは変わりません。ただ、溝が噛み合っているかどうなど気にする必要はないし、ボルトが本当に回転しているかどうかを目で確かめる必要がありません。確実に動作します。

ああ、やっぱりこうでなきゃ。目を閉じて右手でクランクを回しつつ、左手でバレルアジャスターをクク…と回す。チェーンの移動具合に耳を済ます。

なんでこんな簡単なことが難しくなったんだろう。RD-R8000、変速性能は何の不満もないですが、このバレルアジャスターだけは改悪と言わざるをえません。

と、調べてみると日本ではこれについて文句を言っている方はあまり多くはない印象を受けました。しかし英語で検索すると、私と同じ不満を持っている人、結構いました。RD-R8000のアジャスター、かなり不人気です。そしてRD-6800やティアグラのような下位グレードのアジャスターに交換している人が多い。

R8000, R9100のリアディレイラーでどうもこのアジャスターが回しにくいな、回しても回らない… という方は試してみてはどうでしょうか。

シマノのスモールパーツが充実したショップなら置いてあると思いますが、一応ネットでも売っているようです。300〜400円くらいです。

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RD-R8000のアジャスター、何か良いところがあるのでしょうか。0.5〜1gほど軽いことの他に。

追記

Twitterでご提供いただいた情報によると、RD-R8000の最新ロットではこの「空転問題」に対応したマイナーチェンジがなされているらしく、内部のプラスティックパーツの爪が1つから複数個に増えているそうです。

通販では新旧ロットが混在していると思うので選択的に対策品を買うのは難しいかもしれませんが、その場合はショップで相談するのも手ですね。情報ありがとうございました。

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