ブロンプトンのクランクを交換したら、「1段分走りが軽くなる」って本当なのかな?

いかにブロンプトンが自転車として普通の走行性能を持っているとはいえ、ロードバイクとの間には、越えられない性能の壁があります。

普通の脚力をお持ちの自転車乗りのみなさんからすると「そこまで大きな差なの? お前バカなの? 死ぬの?」という感じなのかもしれません。

だがしかし!

こちとら脚のへっぽこ加減にだけは絶大な自信を誇る、押しも押されぬヘタレなのです。平坦もダメ、坂もダメ、スプリントもダメ、ロングもダメ…。唯一、下り坂だけで楽しさを感じられる、最底辺を這いつくばる自転車乗りにほかなりません。

Brompton CHPT3 V2

みなさんが1%の斜度で感じる脚への重みは、自分の体感では数倍以上に相当するでしょう。それだけにブロンプトンとロードバイクを比べて感じる走行性能の差も、はるかに巨大なものになるのです。

だから、小径車の魔改造を得意とする荻窪のとある専門ショップ(これだけで「あの店か…」とわかってしまう方は廃人と認定)のショップブログに

1段分、走りが軽くなる

と書かれたチューンナップメニューが紹介されていて

このパーツが生産中止で最終入荷!

とか書かれてしまっていたら、通帳に印字された赤い数字が増えていく一方なのに、後先考えずに予約電話を入れてしまっても無理はない!と、いうものではないでしょうか。

Brompton CHPT3 V2

そう。やむを得ないのです!仕方が無いのです!光の一族からの呪いで制限がかけられているとしか思えない、低スペックにもほどがある脚力と走行スキル。そんな「持たざる者」である自分が、この過酷すぎる運命に抗う選択肢は「機材の性能で補う」ことだけしかないのですから!!

つまり、これは衝動買いなどでは決してなく、大宇宙が示す円環の理に導かれた帰趨的な…。すみません、やめます。

すみません、やってしまいました。

そんなわけで、ブロンプトンは「ほぼ無改造で乗るのが正解である」というのをわかっていながら、こんなことになってしまいました。あ、でもロードバイク用としてはとても一般的な部品に換装しただけなので、これ実質ノーマルだと断言しても差し支え無いですよね?

●今回のやってもーたリスト

パーツ やってもーた前 やってもーた後
クランク ブロンプトン純正 シマノ105(FC-5703)
BB ブロンプトン純正 シマノDura-Ace(BB-R9100)
ブレーキシュー ブロンプトン純正 シマノR55C4

※「ブレーキはカートリッジ交換で!」と口走ったところ、「CHPT3 V2のフネならシューだけの交換で大丈夫」との店員さんアドバイスにより、シューだけ交換。

▼ノーマルクランク

Brompton CHPT3 V2のノーマルクランク

▼105クランク(FC-5703)

Bromptonと105クランク(FC-5703)

うーむ、ロードのクランクを見慣れた目でブロンプトンのノーマルクランクを改めて見直すと、やっぱり「か細い」という印象を受けざるを得ません。

それに対して、105クランクはノーマルクランクに比べて、明らかにガッチリした感じです 。

105クランク(FC-5703)

「漕いでいる時のクランク自体の無駄なたわみがなくなり、その分推進力(スピード)が増します」と、ショップのブログには書かれていましたが、確かにそんな感じのする見栄えではあります。

交換の効果を確認したい。どうやって?

だがしかし、やはり肝心なのは「実際の走行性能は言うほど変わるのか?」という点でしょう。嫁さんが銀行口座の残高確認をしたあと、赤い数字が大幅に増加していることについてガン詰めされたときに言い訳するためにも、キッチリ交換効果を確認しておきたいところです。

お手軽な検証の仕方としては「なるべくコンディションを揃えたうえで、同じコースを走ってみてタイムを比較する」という人体実験の実施が、真っ先に思い浮かびます。

で、いちばんお手頃に比較実験をするには、どうすればいいでしょうか?

やっぱり…逝くしかないのか。あの地獄に…。

人体実験で、クランク交換の効果を確認してみよう。

ここは秦野市…
作戦地区名
エリア812(ヤ ビ ツ)

最前線中の最前線!
地獄の激坂
ヤビツ峠!!
生きて平坦路を踏める運は
すべて自転車の
神まかせ!!

おれたちゃ、神さまと
手をきって、
地獄の悪魔の
手をとった…

命知らずの登坂部隊(エトランジェ)!!

…というわけで、再び秦野駅まで輪行してヤビツ峠に行ってみました。

「クランクを交換したら、登坂がちょっとラクになるのでは?」そんな期待を密かに抱いて名古木の交差点を過ぎた直後、その幻想はイマジンブレイカーを使われたレベル5能力者のように、あっさりぶち壊されてしまいました。

脚がモゲル…ツライ…。やっぱり坂は最低です…。ブロンプトンでガシガシ登坂できちゃう方は、大腿四頭筋の筋繊維をオラに分けてください…。

▼どうして…どうしてこうなった…。

結局のところ「へっぽこな脚力」という前提条件が変わらない限り、いくら機材をグレードアップしたところで坂は思い切りツラい。そんな情け容赦のない現実を、目の当たりにさせられただけでした(号泣)。

坂は嫌だ…坂は嫌だよ…。

なんですが!

ノーマルクランクのときは、ずっと最軽ギアの「1」「-」で登坂していたのに、今回は1段上の「1」「+」で走れた距離が思いのほか長かった印象。

また前回は、蓑毛の登坂のほぼ全域でダンシングを強いられました。それが今回は、最後のバス停手前の左カーブ付近を除いて、シッティングのまま超えられています。

さらにStravaのセグメント通過タイムを前後比較すると、こんな感じ。

Stravaセグメント通過タイムの前後比較

換装前と換装後で、約6分の差が付いています。ちなみに「前回は三味線弾いてた」ということは、絶対に無いです。常に瀕死なので(ちなみに、ロードでこれと同じぐらいのタイムだったこともたくさんあります…泣)。

ただの「脚のコンディションの差」だけなのでは?という可能性は、自分自身でも捨てきれないところ。とはいえ、さすがに「約6分差(しかも登坂で)」というのは、誤差とは言い切りづらいタイム差ではあります。

まとめ

「クランク(とBB)を交換したら、本当に1段分走りが軽くなるのか?」

という疑問を晴らすために、ヤビツ峠で比較テストをしてみましたが、

  • 蓑毛の坂を、最終局面になるまでダンシングなしで登れた。
  • 途中工程で「1」「+」で走れた距離が長くなった。
  • Stravaのセグメント通過タイムが約6分短縮した。

という結果を得られました。

サンプル数「1」ではありますが「1段分軽くなった」と言い切るのに、個人的には十分なエビデンスが揃ったと考えます(異論は認めまくります)。

105クランク(FC-5703)

そのサンプル数じゃ意味ねーだろ!というのは日本海溝より深く理解しておりますが、精緻な検証を可能にするだけのデータを揃えるのは、素人以下のヘタレには無理…無理です…。

それにですね、これ以上「たくさんデータ取得して比較する」という方面に突っ走っていくと「ロードと同じ箱根超えのルートを走って比較しろ!」とか、生命維持に明らかな危険が及ぶ方向へ話が進みかねません。

そして最も触れられたくない「機材の性能を上げるより、脚のほうを鍛え直さないとダメなんじゃねーの?」という真実が改めて露呈したりするので、「幻想かもしれないけど、走りが1段分軽くなったよ!やったねたえちゃん!」というレベルに留めておくのが幸せの秘訣でしょう。

そうそう、このFC-5703クランクは完売で、生産終了につき再入荷予定なしとのこと。ですが、ROTORの「ALDHU 24」クランクとかのメニューもあるようですよ?

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