サイクルモードは入場者数をV字回復させるために何をすればよいのか

年々規模縮小が続くサイクルモード。出展ブランドがどんどん減ってきてつまらなくなってきた! という声が多く聞かれます。Twitterでアンケートを取ってみても「すっごい楽しかったよ〜、良かったよ〜!」という人は少ないです。

でも文句ばっかり言っててもしょうがない。サイクルモードはつまらなくなった、というのはもう何年も前から言われ続けていることではあります。サイクルモードの中の人もきっと困っているに違いない。

というわけでこの記事では「サイクルモードは入場者数をV字回復させるために何をすればよいのか」という前向きなトーンで考察してみたいと思います。

そもそも需要はある?

その前にそもそもの話なのですが「サイクルモードに需要はあるのか?」という話です。もうなくてもいいんじゃないこんなの、という失望と諦めが入り混じった声もよく聞かれます。

個人的には、これはやっぱりあったほうがいいと思うんですよ。だって楽しいじゃないですか。年に1度、普段は見られないような自転車やパーツや新製品が集まって試乗したり手に取ったり「これがあの新製品か〜!」ってキャーキャーしたいじゃないですか。お祭りじゃないですか。

Ceramic Speed

えっ「普段は見られないような自転車やパーツや新製品が集まっていない」?

そ、そうなんですよね… そのあたりも含めて考えていきましょう。

ビッグブランドを呼び戻す

まずビッグブランドを呼び戻すのが大事なのは間違いないでしょう。今年、キャノンデールはTopstone Carbonを展示してはいましたが、同社にはキャノンデール・ジャパンという立派な日本法人があって普段から試乗会のようなものをあちこちでやっているので、サイクルモードに力を入れてはいませんよね。

日本法人がありながらサイクルモードに力を入れていた例外的なブランドはピナレロ。やはりツール・ド・フランスで勝ち続けている大メーカーだからお金もあるでしょうし、こういう追い風の時は「最高のロードバイクブランド」のイメージをより強固なものにするためにも広告宣伝費は惜しまないのが正解でしょう。

しかし同じ日本法人があるジャイアントやスペシャライズドのようなブランドは今年出展していません。どちらも日本に直営店があって試乗会などを頻繁にやっている。サイクルモードであえて試乗してもらわなくても間に合っている、ということなのでしょう。トレックの姿もありません…

それでもサイクルモードでの展示・試乗体験に宣伝効果自体はあると思うんですよね。ではなぜ出展しないかというと、端的に言って「費用対効果が悪い」という判断があるからでしょう。このあたり、親会社が外資系のところはかなりシビアです。

サイクルモードの台所事情は全然知りませんが、ビッグブランドには出展料を下げてでも参加してもらったほうがいいんじゃないでしょうか。というかもう「無料でもいいので出展して下さい」くらいの勢いで呼び戻したほうが良いのではないか。

すると当然、お金を払って出展している小さいブースには不公平感が出るでしょうから現実的ではないかもしれませんが、いずれにしても「費用対効果が悪い」と思われている原因を取り除いて、またコルナゴにも噴水を立ててもらう必要があるでしょう。

サイクルモード2008年で展示されていたコルナゴの豪華噴水オブジェ

サイクルモード2008年で展示されていたコルナゴの豪華噴水オブジェ

あとビッグブランド以外にも話題の新製品を直近で出したメーカー・ブランドには積極的に声をかけて参加をお願いするくらいのことをしたほうがいいんじゃないか(やってるのかもしれないけど)。

私は今年、Tern BYBとかROTOR 1×13とか触ってみたかったし、FUJIとかJAMISのバイクも乗ってみたかった… Cervelo Asperoも乗ってみたかった… でもなかったなぁ(ありましたっけ?)

試乗の待ち時間を改善する

今年のサイクルモード関連ツイートを眺めていて思ったのは、試乗の待ち時間が長かったという話が多いこと。これは今年に限ったことではないですし、人気ブランドの人気モデルに長蛇の列ができるのは避けられないことですが、サイクルモードというのはエンターテイメントの要素が強いのだから、待ち時間を減らす工夫は必要だし、待っているあいだに退屈せずに過ごせるような仕組みも必要でしょう。

これは会場運営側もそうですし、ブランドのブース毎にも工夫できると思います。待機列のそばでおもしろいイベントをやるとか、コーヒーサーバーを置いておくのも良いんじゃないでしょうか(試乗待ちしているあいだにトイレに行きたくなっちゃうか)。

形骸化したイベントをやめる

実行委員会主催の各種イベントの形骸化も目立ちます。どのイベントが人気があるのか、あるいはないのかをアンケートを取ったりして調査した上でリニューアルすると良いんじゃないでしょうか。

これは個人的な感想ですが、第◯代自転車名人授賞式、のようなイベントは誰得なんだろう、という気持ちはあります(あれを楽しみにしている、という方がいたらすみません)。

人気のあるイベントを強化する

調査した上で人気がなさそうなイベントは廃止するなり改良するなりした上で、人気のあるイベントはさらに強化するのも必要でしょう。

これも異論はあると思いますが、個人的には栗村修さんのトークなんかめっちゃ面白いんですよ。私が会場を訪れた時はちょうど初山翔さんとトークしていました。栗村さんのトークショーはたくさんあっていいなと思ったんですが、思ったよりも人が入っていなかった印象があります。

その時同時にFRAMEのブースで人気YouTuberけんたさんのトークショーもやっていて、これは時間帯ずらしたほうが良いんじゃないかと思いました。

まぁこういうのは完全に制御しきれない問題だとは思うのですが、できあがったテンプレート的な枠組みの中に毎年同じコンテンツを流しこんでいく、という「工夫のない運営」が目立つのは否めません。

来場者数のV字回復を目指すのであれば頭を捻り、何か違うことをやるか、同じことを違うふうにやるかする必要があるでしょう。「同じことを同じようにやる」のは、自転車ブームで追い風の時はそれで良かったのかもしれませんが、もう通用しないでしょう。

料金は?

入場料は、当日券で見ると2008年は1200円だったのが2019年では1700円に値上がりしています。これはもう物価が上がっているので仕方ないと思いますし、個人的には映画1回分のような値段なのでこれ自体は高いとは思いません。

しかしサイクルモードには多くの人が電車で往復2時間とか3時間かけてやってくるわけです(自転車で自走してくる人もいるけど)。というか昔は北海道や大阪や九州から楽しみにやってくる人もたくさんいたでしょう。

今回私はお昼くらいに入場して、閉場する午後6時までフルに楽しむぞ〜! と考えていたのですが、しかし、じっくり見て回っても2〜3時間で終わってしまいました。そして映画と同じくらいのエンターテイメント体験をできたかというと、残念ながら…

試乗しないのか、という話もありますが、私が乗るつもりで楽しみにしていた自転車はまったくなかったんです…

ナビゲーションを改善する

会場のナビゲーションも改善の必要があるように思います。まずパンフレット。今年もらった会場パンフレットではブランドの逆引きができず、目当てのブースがどこにあるのか探すのにとても時間がかかりました。これも逆引きできるほどの数のブランドは参加していない、という事情があるかもしれませんが、来場者フレンドリーなものではありません。

会場内でも「ここから先は地方自治体のブース」とか「このエリアはパーツ系ブース」とか、大まかな案内板があるとありがたいです。

フードコートを充実させる

サイクルモードのフードコートはあまり評判がよろしくありません。どういう基準で出店できるのか不明ですが、決しておいしいわけではないのに毎年出店できているお店もあるのが謎です。

サイクルモードのフードコート

入り口のそばにはコンビニのデイリーヤマザキがありますし、会場を出れば遠くにレストラン街もあります。

でも先にも書いたようにサイクルモードはエンターテイメント・ショーの側面があると思うんですね。食事も含めて会場内のゲストがより楽しめるような工夫をもっとするのも大事なことではないでしょうか。

自転車YouTuberに事前に取材を依頼しておく

今年は謎の「撮影禁止」立て札が話題になったサイクルモードですが、仮に「ネットには情報は流れないので実際に足を運んでください!」という理由であれが置かれていたとしたら、これはどう考えても逆効果でしょう。

サイクルモード2019に行ってきたのですが、ちょっと驚いたことがあります。入場券を切ってもらった後にこんな立て看板を見かけたからです。 ...

むしろ初日からネットに情報が拡散することで「面白そうだ、行ってみよう」と思わせる方向のほうが良いでしょう。

情報を保護する方向ではなく、拡散させる方向のほうが良いと思います。人気自転車YouTuberに事前に打診してGoProを身体に付けて会場を練り歩いて実況してもらうとか、どんどんTwitterに情報をアップしてもらうとかしたほうが効果的だと思うんですが、どうでしょう。

サイクルモードとしてのブランドを確立させる

最後に「サイクルモードのブランド」をあらためて確立させることが何より大事だろう、と思います。

ちょっと偉そうな意見になってしまうのですが、「サイクルモードって何だろう? そこに行けばどんな体験を確実にできるのだろうか?」と考えた時に、思い浮かぶものが現在はほとんどないのです。

たとえば「ユーロバイク」というブランドには「世界最大の自転車見本市であり、現在のスポーツサイクルの現状に確実に触れられる」という約束があります(そのユーロバイクも規模縮小が続いていますが…)。

ユーロバイク

ユーロバイクにて(筆者撮影)

台北のサイクルショーは、若干微妙ですが「世界最大の自転車関連製品マニュファクチャリングの現場で、玉石混交であるものの新奇で珍奇なアイデア商品が展示されている」という期待を抱かせるブランド性があります。

台北インターナショナルサイクルショー

台北インターナショナルサイクルショーにて(筆者撮影)

では「サイクルモード」は? サイクルモードはこれからスポーツ自転車を楽しみたい初心者に、あるいはコアな自転車ファンに何を約束してくれるのか。私達のどんな期待に応えてくれるのか。

別の言い方をすると「コアバリュー」ですが(ヴィジョンという言い方でも良いですが)、この記事で考察してきた「こんなことをやったらいいのではないか」という全ての項目は、この「コアバリュー」から逆算できるように思います。逆にそういうコアバリューをうまく定義できない限り、今後も縮小の一途を辿ってしまうのではないでしょうか。

来年のサイクルモード2020には、何か新しい工夫が施されていることを期待したいと思います。お金よりも、アイデアと工夫で改善できることが多数あるのではないでしょうか。

追記:読者からの提案

この記事を読んでいただいた読者の皆様からも様々な提案が生まれていたので、主だったものをご紹介します。

まとめると、

  • 物販に力を入れる
  • 開催期間を短くする
  • ブースの出展料を下げる
  • 商談会を兼ねると良い
  • CP+やキッザニア等他のイベントとコラボする
  • 開催時期を秋の行楽シーズンからずらす
  • 高校生以下を無料にする
  • 会いに行けるアイドルがいるといい
  • 中古フリーマーケットを同時開催する
  • サイクルモードZwift大会を開催する
  • コンタドールとカンチェラーラをアンバサダーにする

などのご意見がありました。

物販をしてほしい、というリクエストは特に多かったですね。また、最近は秋が短くなってきている感じもあり、開催日をライドに格好の休日ではなく厳冬期にずらすなどしてはどうか、という提案も。

見本市は伝統的に新製品が発売されるタイミングの秋、というのがどの業界でも多いので難しいところもあるかもしれませんが(新車もこのタイミングで注文をかけないとまずい、という事情もありそうですがそもそも新モデルを展示していないんじゃ…という話も)、これも含めて来年は少しでも改善されているといいですね。

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