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近年のサイクルモードを上から目線でレビューしてみる

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サイクルモードは、毎年11月上旬の3連休に千葉・幕張メッセで開催される「日本最大のスポーツバイクイベント(主催者HPより)」です。

私は2016年以降毎年通っているファンですが、18年から展示場が縮小されたこともあり、近年はネガティブに語られることも増えてきた感があります。

Cycle Mode International 2019

上から目線

本稿では個々のブースの展示品情報や試乗車レビューではなく、他のサイクルイベント等との比較、割り切った楽しみ方、「サイクルモードはオワコンなのか?」といった点について上から(俯瞰した)目線で語ってみたいと思います。

いつからサイクルモードが撮影禁止だと思っていた?(要するに禁止ではない)

いきなり横道にそれますが、今年のサイクルモードでは「撮影禁止」の看板が出ていたらしく、物議をかもしたようです。CBN Blogにも既に記事があります。

サイクルモード2019の謎 「撮影禁止」は誰のため?
サイクルモード2019に行ってきたのですが、ちょっと驚いたことがあります。入場券を切ってもらった後にこんな立て看板を見かけたからです。 撮影禁止 えっ!? 現場の人は何も知らない どうもサイクルモードは数年...

私は1日目正午~と3日目11時~に来場しましたが、看板を見かけませんでした。既に撤去されていたのかもしれません。

しかし不可解な事態ではあるので、主催者事務局の一般用問い合わせ窓口に電話すると

  1. 撮影不可ではない。ただブースによっては不可もある
  2. ステージ(トークショーなど)も、禁止というアナウンスがなければOK
  3. 撮影禁止の札は去年以前出したことはある。今年は使用予定はなかったが、使う場合に備え置いといたら「ダメなんだ」との受け止めが広がった

とのこと。

3については、去年まで全面撮影不可だったという文脈ではありませんでした。たぶん撮影禁止の著名人でも出るときに一時的に使ったのではないかと(推察です)。

書面で回答を得たわけじゃないので「絶対正しい情報」とは自分では言えませんが、そもそも看板自体がなくなっていた以上、「禁止ではない」と受け止める方が自然だと思います。来年以降に影響があると困るので、多くの人に広まってほしいです。私は撮るのはあまり興味ないですが、観るのは好きなので。

ちっちゃくなっちゃった!

いつからそうだったのかは分かりませんが、サイクルモードって2017年まではメッセの1~4ホールでした。それが18年からは9~11ホールに。体感的には3分の2くらいのスペースに縮小。

試乗コースの長さはそんなに変わってないと思われるのが救いですが、狭くなったので入場料も下がった…わけではない(はず)。狭くなってもなお「日本最大」と称せる域にはあると思いますが、「昔よりつまらなくなった」と言われるとなかなか反論しがたいのも確かです。

スぺシャライズド、サーベロ、Argon 18など一線級のブランドが出展しなくなりましたし、ファクターは展示のみに。すぐ乗れる枠として貴重だったルイガノやコーダーブルームも消滅。カンパやスラム仕様の試乗車がほとんどなくなったのも残念です。ただ後述しますが、「ロードの」試乗にこだわるのでなければ、今でも十分楽しめます。

ノベルティは、以前はドリンクボトルやパンク修理キット(タイヤレバー2本つき)、サコッシュなど実用性や金額的価値のあるものでしたが、最近は誰でももらえる範囲のものでいうとステッカー、キーホルダー、よくてタオルってところです。

まあ、ちょっと前までが大盤振る舞いすぎたという気もします。17年のピナレロなんて、がんばって並びさえすればクリス・フルームが目の前でサインしたポスターを一円も出さずにもらえましたからね。

Cycle Mode International 2019

今年の戦利品(パンフ、カタログ除く)。ノベルティは地味ながら、「5%オフ」「3カ月無料」といったチケットがお得感。

あまり欲をかきすぎないことだな!

サイクルモードで一番人気のコンテンツは試乗でしょう。ピナレロ・ドグマやデローザ・プロトスのような雲上バイクのほか、キャニオン、Chapter 2、ヨネックスといった、試乗機会の少ないブランドも大人気です。

しかし、順番待ちの列はディズニーランドの如し。特にヨネックスは試乗車数が少ない上に整理券制なので、「他の何を捨ててでもこれだけは乗る!」という覚悟がないとジ・エンドです。それでも午前10時過ぎに行って乗れるの3,4時間後とか、11時前には「本日は受付終了」とかざらですが。

ちなみにルックやキャノンデールは東京・神宮外苑で毎年春開催の「プレミアムバイクインプレッション」(雑誌「バイシクルクラブ」主催)、キャニオンやヨネックスはメーカーが各地で不定期開催している試乗会に行った方が、待ち時間は大幅に短くて済みます。

話はそれますが、メジャー(巻き尺)を持参していくと、フレームセット販売しかない試乗車に付いているステムやハンドルの各部長さが測れるので、後々購入を検討する際のデータ集めにおすすめです。

個人的には有名メーカーにこだわらず、小さい工房のチタンバイクやミニベロのようなニッチをノータイムで乗りまくる方が楽しいかと。近年は中国・台湾系のE-BIKEの出展・試乗車が大幅に増えてきましたし、これらもサクサク乗れます。(主にMTBやミニベロですが、「スポーツバイクイベント」なのにママチャリの出品も数点あるのがご愛敬)。

サイクルモード以外では試乗はおろか実車を見る機会すらないバイクと触れ合えることにどれだけ魅力を感じるかが、サイクルモードの評価の分かれ目という気がします。

Cycle Mode International 2019

のんさんを大画面で見られるのはベスビーだけ(?)

ブレグジットとブロンプトン価格の行方

試乗以外のコンテンツでは、メーカー(または販売代理店)の「中の人」と話せるのも楽しみです。

「ブレグジット(イギリスのEU離脱)でブロンプトンが値上がる可能性は?」と直球をぶつけたら「あります!」ときっぱり言われて逆にびっくり。しかも数千円とかのレベルじゃない恐れもあるとか…。一方、「インドネシアで最近馬鹿売れしてる(by日経新聞)から、スケールメリットで既存モデルが値下がりする可能性は?」と聞いたら「ないです!」と断言されました。世の中甘くない。。

シマノでは、GRXのフロントシングルクランクとロード系リアディレイラーの互換性について「変速性能的には最善の組み合わせではないが、実用レベルでは十分」との見解を拝聴。ネットではあれこれ言われてるけど実際どうなの?という疑問をぶつける貴重なチャンスです。

なお、「デュラエースは来年出るんですか?」という問いには「分かりません!」「前回(のデュラ)は夏に発表されましたが、いつも夏に情報が出ると決まってるわけでもありません!!」だそうです。

レザインではCO2ボンベやタンク付フロアポンプでチューブレスタイヤを膨らますのを初体験。こういうのって、ネットでどれだけ情報を集めても、実際に自分がやってみないことには判断の決定打がないんで助かります。自分はチューブレスに手を出すならボンベ&タンク付きポンプ必須だなと感じました。

メーカー以外では「サイクルツーリズムをPRする自治体」「サプリ・ドリンク系」「(ガールズ)競輪」「ビンテージパーツワゴン市」が近年の常連です。今年はプロテインメーカーの特設リング&覆面レスラー(社長らしい)、美女2人が秋にしては露出高めのウェアで沖縄でのライドイベントを売り込んでいたブースが印象に残りました。

Cycle Mode International 2019

息子にジャイアントスイング後、疲労で座り込むレスラーさん


 
Cycle Mode International 2019

ある意味会場で一番の眼福

メシとレースとステージ

サイクルモードの一番のウイークポイントって「メシ」ではないかなというのが私の本音です。場内で食べるなら数台しかないキッチンカーしか選択肢がなく、再入場はできても周辺の飲食店まで歩くのは距離的にめんどくさい。

この点、10~11月にさいたま市で開かれる「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」は「食フェスか?」ってくらいに屋台が充実しており、しかも安いです。特に酒の充実ぶりが半端ないので、私は電車で行っています。

サイクルモードでもレースは行われますが、毎回のようにグランツールの勝者が来る「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」の後だと小粒感が否めない…って、バルベルデやサガンやフルームが走るのと比べるのは酷ですけどね。そもそもレースのコンセプトが違うわけで。

ステージはなかなか凝ってます。いろんな自治体がサイクルモードにブースを出して旅行客の呼び込みに精を出す中、「緊急提言 サイクリングイベント乱立時代~地方が求める本当のサイクルツーリズムとは」なんて、かなり攻めてるテーマではないでしょうか(私は行き損ねましたが)。

他にも「ブノワ・ベトゥ、日本ナショナルチーム単距離ヘッドコーチが語る、表彰台への想い」から「レイヤー集まれ!自転車コスプレ大会開催」まで、硬派~軟派なコンテンツを揃えており、企画者の熱意を感じます。

サイクルモードがこの先生き残るには

初めに述べたとおり、規模縮小で見所が減ったのは否めません。しかし入場料は前売り1300円、当日1700円で、映画と同程度。今でも2~3時間は余裕で過ごせる内容がありますから割高とは思えません。

サイクルモードをロードのフレーム性能で例えるなら、「オールラウンド系」でしょうか。試乗、ステージ、展示、物販と、個々の要素ではそれらに特化したイベントには敵いませんが、全てにおいて70~80点を取れるスペックがあります(メシは………orz)。

一人で行っても/仲間と行っても/自転車に興味ゼロの彼氏彼女を巻き込んでも、それなりに楽しめる安心感は貴重。盗難防止のため出入りを完全チェックする駐輪場の鉄壁ディフェンスも好感度高いです(ちなみにメッセ近くのイオンはロードがよく盗まれますのでご注意)。

Cycle Mode International 2019

これならあなたのドグマも安心!

混雑ぶりをみるに、入場者数がそこまでガクッと減ったという感じはしません。ではなぜ低迷傾向なのか推察するに

  1. メーカーにとって日本市場の重要性が薄れている(=モノが売れない)
  2. 実行委員会の核を成すテレビ東京、テレビ大阪や協賛団体の予算が減ってる?

ってところですかね(所詮は素人の当て推量ですのでご容赦を)。
今は3日間開催ですが、このままで行くと5年後10年後には2日開催→1日開催となってゆくゆくは…という懸念もぬぐえません。

ここから巻き返すにはどうすればいいか。私の発想力では

  • 出展してるメーカーの製品を買ったら、「サイクルモードで気に入って買いました」と代理店やメーカーにメールしたり、SNSでアピール
  • テレ東のアニメをたくさん見る
  • 会いに行けるロードバイクアイドルグループ(ただし会える場所は獲得標高1000メートル級の峠)の結成

ぐらいしか浮かびません。メーカーのみなさん、末永くサイクルモードをよろしく!

著者
KPA

永遠のソロライダー。脚と財布に無理はさせないのがポリシー。スポーツバイク歴はベテランを自称するが、その大半をクロス、ミニベロ、フラットバーロードが占める(ロードを持ってないとは言ってない)。今年ブルベ(200km)を完走。

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