Tips & How-toウェア関連

「素人ロングライドで、雨具をどうする?」無駄に頭をひねった結果。

お初にお目にかかります。お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデn…すみません!すみません! 手動駄文人間サービス、nadokazuです。動作に多少の支障あるも、任務の遂行は可能。

楽しいサイクリングを瞬時に地獄と化す、自転車乗りにとって最凶の宿敵。それは、大気中の水蒸気が冷却されて水滴となり、地表に降り注ぐ事象。

ひとことで言うと「雨」です。

「少しでも雨が降りそうなら、絶対に走らない!」というのは、へたれサイクリストの自分にとって少佐のご命令に相当する最優先遵守事項です。

だがしかし!

天気に「絶対」は無いのです。ガッツリ晴れ予報が出ていても、雨雲レーダーの表示が完全クリア状態でも、時間経過や地形変化(山岳部を通過するなど)とともに雨に降られる可能性は、我々の背後にひたひたと迫り来やがります。

「じゃあ、雨具を携行して走ればいいじゃない!」

と普通は考えるのですが、それはイヤどすえ!!!

だって素人だから!へっぽこだから!サイクリングの荷物は、1グラムでも軽く!1平方ミリメートルでも少なく!! そうしないと、自分の貧弱な脚はゴール前に力尽きるのです!!(じゃあ、その巨大なカメラ持って行くのやめろよ。というツッコミ不可)

と、いうわけで、本稿は素人的ロングライドにおいて「雨具どうしよ…」と、ウダウダ悩んだ結果を書き連ねております。

「素人ロングライドで、雨具をどうする?」無駄に頭をひねった結果。

「面倒くさがってないで雨具持ってけよ!」と、皆様をイラッとさせる以外の中身はございませんので、躊躇うことなくブラウザの戻るボタンを押下いただけますと幸いです。

自転車雨具と「雨降るかも」

「飛行機から人型に変形するロボット」の実戦配備は今や公然の秘密ですが、そんなバリアブルファイターの「戦闘機形態時における腕パーツ」って、これ以上ない完全無欠のデッドウエイトですよね。

人型のときは間違いなく必要になるけれど、飛行機のときは重量と空気抵抗で無駄どころか、むしろマイナスになるだけの存在。

これって、自転車における「雨具」と実によく似ているなぁ…と思うのです。

だってそうでしょう?普通に考えたら、雨予報があった段階でサイクリングは取りやめになります。雨具に出番が与えられるのは「走っている時に運悪く雨に降られる」という、かなり限定されたシーンだけです。それに、もし雨が降ってきたとしても「コンビニに退避してやり過ごす」などの回避策は、思いのほか簡単にとれたりします。

「限られた機会に」「雨が降ってきて」「待避場所がない」という3つの偶然が重ならなければ、雨具はバッグから取り出される機会すらありません。

やっぱり「自転車用の携行雨具」って、ただの余計な重量物。バリアブルファイターの戦闘機形態時の腕パーツ同様「イラナイ子」に、ほかならないのではないでしょうか?

▼VFシリーズは19が至高。異論は認めます。

VF-19エクスカリバー

「雨具が、良き自転車道具になりますように」

考えてみると、雨具を携行するのってデメリットばかりが本当に目立ちます。

デメリットその1:でかい

どんなにコンパクトな製品を選んでも、ジャケットとアンダー込みだとポケッタブルサイズには絶対収まりません。フル装備で携行しようと思ったら、最低でもオルトリーブMクラスの「大きなサドルバッグ」をはじめとする巨大なストレージが必須になってしまいます。

雨具さえなければ、走行に必要な装備一式は容量1.0L程度の「ふつうのサドルバッグ」があれば、あとはツールボトル+バックポケットで概ね収まるでしょう。そんな装備の快適性を、雨具は一瞬にして奪い去ります。雨具許すまじ。

デメリットその2:おもい

防水性を担保する必要があるからか、レインウェアって普通の自転車服に比べて明らかに重いです。本稿執筆時に所有している雨具一式の重量を測ってみましたが、合計で500gをゆうにオーバーしていました。oh……。もし車両本体の重量を500g軽量化しようとしたら、スーパー高額な軽量パーツをこれでもかと装着しなければならないというのに…!

デメリットその3:たかい

自分はmont-bellのシリーズで一式揃えましたが、それはもうたいへんな額の出費を余儀なくされています。機材の体積や重量の少なさに価格が思いっきり反比例していくのは自転車機材の常なので、それは仕方がないことなのかもしれません。でもでも、やっぱり雨具は高い!私の財布は「決意の光」のAC終了時クラスの大ダメージを喰らって、もうライブ失敗寸前です…。

▼カートの総計がやべーことに。

モンベルのカートの総計がやべーことに。

「重量を増やすだけの雨具を携行するのか?」

1:デカくて 2:重くて 3:しかもお高い。という、3大デメリットを擁するレインウェア。そうなると「雨具なんて持ってかない!」という選択肢だって、俄然現実味を増してきます。

だって雨に降られたところで、受ける被害は「ズブ濡れになる」だけでしかありません。夏場であれば、雨がやんだら速乾性のウェアはサクッと乾いてしまいます。そもそも晴天時だって、ウェアは汗でハナっからビショ濡れです。

仮にどうしても雨具が必要になったとしても、コンビニやドラッグストアがあれば、安レインウェア一式を現地調達することだって難しくない。

「雨に濡れる可能性が0じゃない」という程度の、ちょろいリスクを許容する。たったそれだけで、500g以上も軽い装備で走行できることが間違いなく絶対に実現度100%の確定事項となります。

「せっかくだから、俺は雨具装備なしでライドに出かけるぜ!」

という選択、全然アリですよね?

「雨に濡れたシューズは ずっと濡れている」

なので私、ずっと雨具を持たずにサイクリングに出かけていました。大枚はたいて購入したmont-bellのレインウェア一式を携行したのは、購入してからの2年間でたったの1度だけ。やっぱりわざわざ雨具を携行するなんて、不合理以外のナニモノでもない!

…と、思っていました。去年の夏までは。

横浜から直江津まで、素人的CtoCを敢行したときのこと。ゴールまで残り20kmという辺りで、思いっきり降ってきたんですよ。ゲリラ豪雨。eTapのRDが変速しないというメカトラ抱えた状態で、全身ズブ濡れ。これ、なんていう罰ゲームですか!?

幸いなことに残り5kmを切った辺りで、天候は急回復。ウソみたいな快晴になって、ウェアはサクッと乾いてしまいました。速乾素材すっげぇー!!

とはいえ雨水が染み込みまくったシューズだけは、ずっと濡れたまま。輪行帰宅して家に帰るまで、ペダルを回したり歩いたりするたびに、ニチャア…と水がしみ出してきて不快な思いをしまくりました。

どれだけ怠惰な自分でも、こんな痛い目に遭うとズブ濡れリスクの恐ろしさを否応なしに学習させられます。それによく考えると、これって夏の昼間だったからよかったようなものの、秋口の夜間に山間部とかで同じ目に遭ってしまったらどうでしょう?割とマジな生命の危機に、ノンストップ直行便。掛け値無しにヤバい事態を、普通に招きかねません。

たとえ無駄になっても、それなりの距離を走るなら「雨具を携行する」以外に選択肢はないのです。…無念!

「鶴見川の雨雲の下で」

そうなると、考えなければいけないのは「どれだけ荷物を減らしてラクをしつつ、雨に濡れるリスクを回避するか」という、せめぎ合い。

回らない頭をひねった末に

  1. レインジャケットだけを携行(最小減の荷物増)
  2. サイクルポンチョだけを携行(ボトル1本分程度の荷物増)
  3. 雨具をフル装備で携行する(結構な荷物増)

という、3つプランを検証してみました。

1:レインジャケットだけを携行する

ウインドブレーカーとの差し替えで携行すれば追加ストレージは不要で、無駄な荷物感もほぼ0レベルに低下させられます。しかもmont-bellの「U.L.サイクル レインジャケット」なら、バックポケットに格納できるサイズ(6×6×13)で約161g。最小の携行負荷で走るなら、コレでしょう。

なんですが、当然のように下半身の防御力は皆無です。そりゃそうですよね。「ジャケットだけ」なんですから。もはや、一時しのぎすらできません。レインウェアを着用したくなるほどの雨に降られたら、レーパン中間部分以下の下半身全体がズブ濡れ確定です。

基本は晴天で、霧雨程度があるかも?ぐらいの低い雨天遭遇リスク時限定、という感じですが、それならウインドブレーカーで普通にしのげちゃいます。

…ダメじゃん!!

2:サイクルポンチョだけを携行する

レインジャケットだけだと、ガードされていない下半身はビショ濡れ。それなら、身体全体をガードする構造になっている雨具にすればいいじゃない!

という極めて短絡的な動機から、パールイズミのポンチョを購入しました。

パールイズミのサイクルポンチョ

バッグから取り出したら上から被ってベルトをとめるだけで、お手軽&スピーディに危機管理フォ…じゃなくて、雨天フォームへの変身が可能です。

だがしかし!

ポンチョの対雨天戦闘力は、決して高くありません。

特にその構造上、下半身が弱点すぎるほどに弱点です。なにしろ、下部はほぼオープン。跳ね上げられた雨水は、そのまま脚を直撃してきます。膝から下は結構濡れて、靴下も30分でしっとりレベル。豪雨の中を長時間突っ走ったりしたら、厳しいことになるでしょう。

それと、大きいのが風の影響。横風の恐怖と向かい風の苦行レベルは、もう爆上がりです。

ただし!

「ジャケットだけ」とは、天と地ほどの。5凸のフェス限URと、通常Rほどのレベル差があります。ジャケットだけだと降った雨のすべてが下半身直撃ですが、ポンチョがあれば下半身を濡らすのは跳ね上がった雨だけに留まります。

さらに!

パールイズミのサイクルポンチョは、前輪が跳ね上げた水滴をガードできる仕組みになっています。下部がガラ空きというポンチョの構造的な弱点を、かなりのレベルで克服できていると言っていいでしょう。パールイズミの開発陣には、スタンディングで拍手を送りたいです。

パールイズミ「サイクルポンチョ」の使い方

3:雨具をフル装備で携行する

「バーサライト サイクルジャケット」「スーパーストレッチ サイクルレイン パンツ」「サイクル レインシューズカバー」「Outdry サイクルグローブ」。それは2年前に血を吐く出費に耐えて揃えた、mont-bellの雨具フルセット。購入してからずっと、雨の中を実走したことはありませんでしたが、記事を書くからには人体実験が不可欠です。

モンベルの雨具フルセット

というわけで、雨が降りしきる鶴見川サイクリングロードに突撃してきました。ああ…新同未使用品だった装備が、明らかな中古品になっていく…。

それはさておき「雨具フル装備の実力がナンボ高くても、雨は不快に決まってる!!」という先入観を極限まで高めて走り出したのですが、しばらく走ってトンでもない事実を目の当たりにしました。

それなりに雨が降っているのに、濡れているのは口元だけ。あとはアタマの天辺からつま先まで、まったく浸水の気配が見られません。レインウェアに包まれた身体は、全身スープゥードゥラァァーイ!

雨の中で走っていることを、全然感じないのです。いやマジで。ブレーキの効きがガタ落ちするのと視界が劣悪になるのを我慢するだけで、このまま何時間でも走り続けてしまえるんじゃないかと思えてしまいました(※個人の感想です)。

もはや、「快適」と言えちゃうレベルの走行感。特に足元がドライな状態でキープされている点が、雨天走行時のウザさ低減に大きく貢献している気がします。

mont-bellの本気性能、ごいごいすーです。べらぼうに高額ですが、費用対効果がありまくりであることを認めざるを得ません。

「最高の快適性を求めたところで、雨が降ったら結局諦めになる。だったら多少の雨天性能低下は許容して、通常走行時の快適性を良くした方がトータルでの満足感は高まるはず」

とか思ってましたが、その圧倒的雨天性能の前に、即堕ち&完堕ちしました。ちゃんと雨対策しようと思ったら、どれだけ荷物が増えようが雨具フルセット持って行くしか無いです!!

さあみんな! お札を握りしめて、mont-bellに向かって走るんだ!!

「雨降るかも」と自転車雨具

というわけで、読者モデルをやってる部外者のお姉さんにも敗北するレベルの残念な脳による思考と、人体実験の結果をふまえた結論です。

素人がロングライドに持っていくなら、パールイズミのサイクルポンチョ!

いや、その、確かにmont-bellフルセットの対雨天性能は、最高オブ最高。なんですが「持ち歩く荷物の数がドカッと増える」「装備一式のサイズがボトル1本分には到底収まらない」という2つのネガが、個人的な許容範囲を完璧に超えてしまいます。

パールイズミのポンチョなら、持ち運び時はボトル1本程度のサイズに収まります。そして「1アイテムだけでいい」という特徴は、「持って出るのを忘れる」「使った後に無くす」などといった、自分のようなポンコツ自転車乗りが冒しがちなリスクを最小化できます。

そして、サイクルポンチョの特筆すべきメリットは「脚の回しやすさ」。そりゃそうですよね。下半身には、普段のウェア以外のものは何もないんですから。豪雨の中を延々走り続けるのは無理だとしても、通り雨を無難にやり過ごすぐらいは全然できちゃう実力が確実にあります。

あとは、そのサイクルポンチョをどうやって携行するか、という点ですがサドルバッグへの収納には否定的です。

ボトル1本分程度の体積しかない、サイクルポンチョ。オルトリーブMクラスのサイズ感があれば、収納は余裕でしょう。なんですが、防水性のためか500g程度とサイズの割に質量が大きめです。そうなると高い重心位置に重量物がきてしまい、ペダリングに伴うフラつきが大きくなりがち。とくに登坂ありのコースを走ってしまうと、ただでさえ少ない脚力を余計に吸い取られまくります。

そこで!

個人的には「APIDURAのダウンチューブバッグ」が激推しなのです。

「ダウンチューブ下」は、重めのものを収納するベストポジション。何しろ、重心をこれ以上下げようがない位置です。実際に200km程度(坂あり)を走ってみましたが、走行中にストレージの存在を意識することはほぼありませんでした。

さらに!フレームに密着して一体化するうえ、一部はチェーンリングに隠れます。大容量のストレージが追加されているにもかかわらず、フレームのシルエットを崩す感が極小です(少なくともサドルバッグよりは全然)。これはポイント大ですよ!…え?どうでもいい??

▼APIDURAのダウンチューブバッグ装着例。

APIDURAのダウンチューブバッグ装着例

▼mont-bellのレインジャケットとレインパンツも余裕で収納。ただし、この状態だとダウンチューブ下には収まらない(フレームバッグとしては利用可能)。

APIDURAのダウンチューブバッグはmont-bellのレインジャケットとレインパンツも余裕で収納

「きっと”雨”を知る日が来るのだろう」

さてさて、ここまでダラダラ書いてきたことを、雑にまとめると

  1. レインジャケットだけ持ってくのは、ウインドブレーカーと大して変わらない。
  2. サイクルポンチョは、ボトル1本分程度のコンパクトサイズで「ジャケットだけ」とは比較にならない雨天性能。とはいえ、完全ガードには程遠いレベルだし、風の影響も受けまくる。
  3. 雨具フルセットは雨天性能が最高だけど、お値段も最高。さらに持って走るには、点数の多さと嵩張るというネガが大きい。

…ということになります。

そうなると携行する負荷を最小限に留めつつ、それなりの雨天リスク対応をして素人的なロングライドに出かけるのであれば、

パールイズミのサイクルポンチョを、APIDURAのダウンチューブバッグに収納して走る

この組み合わせこそが、素人が雨対策をして走る時の最適解!というのが、素人的な結論です。

…アッハイ、異論はもちろん認めます。というか、むしろ異論反論objectionぜひいただきたいです。もし素人の知らない「ポンチョよりも劇的なラクさ携行できて」「mont-bell雨具フル装備と同等以上の雨天性能」というソリューションがあるのなら、私もう手のひらを瞬時に引っくり返す意欲満々でございますので。

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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