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よみもの

自転車のドライブトレインパーツはなぜ右側にあるの?【乗馬・イギリス・工業事情】

先日、車道でDUCATIのオートバイが隣にやってきました。その時チェーンが左側にあるのに気付き、「おー自転車と逆だ。さすが外車…」と思ったのですが、いや待てよ。オートバイは左側にチェーンがあることが多いような…?

チェーン、クランク、カセットスプロケット、ディレイラーといった自転車のドライブトレインはほぼ全てが右側にインストールされています。これは何故なのだろうと調べたら、海外掲示板Redditで同じような疑問が投稿されていました。

他の人と自転車の話をするたびに聞いているのですが、ドライブトレインが左側にある自転車がないのは私には奇妙に思えます。大体、スレッド(ネジ切り)の問題だろうということになるのですが、本当にそうなのでしょうか?

出典 Why, in the history of bicycles, are the chain and sprockets always on the right side of the bike?

乗馬と右ネジとイギリスと

この問いに対し次のようなコメントが寄せられています。

  • 馬に乗る時は左から乗る習慣があるからそのせいだよ。自転車に左から乗る時に駆動系が右側にあればパンツは汚れないし、キックスタンドは左側に来るからね
  • 騎兵隊は馬に左から乗っていた
  • これについてビンディングペダルのTipsがある。外す時に必ず左足にすると、右脚はチェーンの汚れがつかないぞ
  • え〜、俺は、右から自転車にまたがるけど!
  • パーツの大部分が右ネジだからだ。駆動系が左側にあったら、スレッド式のスプロケットは外れてしまう
  • 安全型自転車(Safety Bicycle, 現代の自転車の原点)はイギリスの発明で、彼らは道の左側を走る。ドライブトレインが右側にあれば道路脇のゴミとか植物から守られるからだと聞いたことがある
  • BMXでは左ドライブのバイクに乗ることがある。グラインドする側の反対側に駆動系があれば、レッジやレールにぶつかった時に壊れない

しかし、このRedditのスレッド以外にも多くのサイトを検索したのですが、最終的な「正解」にはたどり着けませんでした。しかしこの中にいくつか正解かもしれない理由はありそうです(黄色マーカーで示した部分です)。

トラックバイクには左側にチェーンがあるモデルも

ところですべての自転車の駆動系が右側にあるかというと、実はそんなこともなく、トラックバイクの世界ではかつてFeltが左側に駆動系のあるモデルを発表しています。Felt以外にもLook R96もやはり駆動系が左側です。

Feltの左ドライブのトラックバイク

Feltの左ドライブのトラックバイク © Felt

Feltは実験の結果、

  • 左回りのベロドロームであれば駆動系が左側にあったほうがエアロダイナミクス的により良い結果になる
  • このほうがバイクの重心がコーナリング時に内側に来るので良い

という理由からこのモデルを開発したと説明しています。

自転車はクランク、オートバイはマフラーが「顔」?

しかしオートバイではチェーンが左側にあるモデルが多いようです(全てではありません。冒頭で紹介したDUCATIにしても古いモデルの写真を見ると右側にチェーンがあるモデルがたくさんヒットしました)。

それでいながら、オートバイのオーナーさんもサイクリスト同様「愛車の写真を撮る時は右側から」の場合が多いです。この理由は、マフラーが1本の場合はこのほうが見栄えが良いからだそうです。自転車における「顔」はクランクだ、とよく言われたりしますが、モーターサイクルではマフラーが顔なのかもしれませんね。

Norton motorcycle

Norton motorcycle © pyntofmyld CC BY 2.0

またオートバイも伝統的に左から乗る習慣があるらしく、これも調べてみると「乗馬がそうだったから」という説明を多く見かけます(ちなみに古代〜中世の日本では、馬は右から乗っていたという記述も)。

さらにキックスタンドはオートバイでも左側に出ます。

オートバイのシングルマフラーが右側にあるのは、

  • 左側から跨ぐのが一般的だとしたら、そのほうが脚を火傷しないから
  • バイクを押し歩く時は左側にいるのでその時マフラーが邪魔になるから

という説もあります。ただ、チェーンが左側に多いのは何故かについては諸説があり、真相は不明。

いずれにしても「自転車のドライブトレインパーツが右側にある」のは、オートバイ同様、乗馬の歴史と関係があるのかもしれません。下は現在の自転車に近い「初期の安全型自転車」の画像ですが、チェーンはやはり右側です。

初期の安全型自転車

初期の安全型自転車(wikipediaより)

パーツの多くが右ネジだったため、その流れの中では左ネジのパーツをあえて作るのは合理的でなかったから駆動系パーツを右側にした、という意見もありますが、恐らく「乗馬の歴史・左側通行のイギリス・安全型自転車が発明された当時(なおイギリス人が発明)に右ネジが主流だったから」という複数の事情から右側駆動になったのかな、という気もします。

利き手が右手の人が多い、ということも関係あるのかもしれませんね。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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