東京ローカルの記事で恐縮ですが、東京近郊の方、または出張などで上京される方向けに「公園を繋いで走る東京湾サイクリングのアイデア」をご案内したいと思います。スタートは「レインボーブリッジ(東京港連絡橋)」の芝浦側、ゴールは江戸川区の「葛西臨海公園」という設定でご紹介して行きますが、逆側から辿ることもできます。
総走行距離は50km未満で、自走でやってくるのは勿論、芝浦・葛西側どちらも駅が至近にあり輪行も可。上の地図上に①から⑩まで番号を振ってみたので(下の目次に対応しています)、その順番で公園やスポットをオリジナル写真付きで紹介していきます。橋以外にアップダウンはなく、初心者でもたっぷり楽しめる「水辺」をテーマとしたサイクリングルートです。
レインボーブリッジ
まずはレインボーブリッジからスタート。下の写真はお台場側から見たレインボーブリッジですが、今回は「芝浦アンカレイジ」から橋に入ります。ここは走行こそできませんが、無料で借りられる専用の台車をリアタイヤに装着することで自転車を押して歩くことができます。歩行距離は1.7km、見晴らしを楽しめます。
段差に気を付ける必要はありますが、特に疲れることなくロードバイクも押して歩けます。まずはウォームアップとして東京湾の景色を存分に楽しみましょう。芝浦側から渡る時は、お台場(南側)を見渡せる歩道を通ることになります。
レインボーブリッジを自転車で渡る方法については下の記事でも詳しく紹介しているので、ご参考まで。定休日や通行可能時間が決まっているので、事前に調べておきましょう(参考:東京都港湾局のページ「よくいただく質問集・レインボーブリッジ」)。
お台場海浜公園・潮風公園
レインボーブリッジを渡り終えると「お台場海浜公園」、そして隣接する「潮風公園」は目と鼻の先です。しかしどちらの公園も東京オリンピック前から工事中で、2021年10月初旬でもまだ砂浜にはアクセスできない状況です(下の写真は過去撮影)。工事終了後は是非立ち寄って砂の上を歩いてみてはどうでしょうか(2021年11月から段階的に利用可能に。参考ページ)。
代わりと言ってはなんですが、潮風公園のすぐ先にある「船の科学館」(※本館は長期休館中)には南極観測船「宗谷」が展示されていて、これがなかなか楽しめるので30分ほど時間に余裕のある方にはオススメです。詳しくは南極観測船「宗谷」を見る 移動と旅の本質を学べる濃密空間という記事で紹介しています。
青海南ふ頭公園
南極観測船「宗谷」が展示されている海岸沿いの道をそのまま直進すると「青海(あおみ)南ふ頭公園」に辿り着きます。海側の距離は非常に短いですが、景色は抜群です。対岸に見えているのは「大井コンテナふ頭」。遠く伊豆諸島に向かう船もこの水路を通過します。
コロナ禍で移動の自由が大きく制限されていた頃、私はよくここで離島や外国に思いを馳せることでずいぶん癒やされました。
コンテナ船が着岸するふ頭を眺めたら左折し、公園の内陸側を走ります。内陸側は緑豊かで、水鳥のいる小池があったりします。
あとこの公園のすぐ裏手には「お台場・大江戸温泉物語」がありましたが、2021年9月5日をもって閉館されました。
暁ふ頭公園
青海南ふ頭公園から「青海縦貫線」という広い道路に出たら右折し、突き当りまで行ってみましょう。すると「暁(あかつき)ふ頭公園」に辿り着きます。ここは「猫の額」的な小さい公園なのですが、東京湾沿いの公園としては予約なしでもバーベキューができる貴重なスポットだったりします(※2021年9月29日時点ではバーベキュー利用休止中。詳細は公式サイトにて)。
つまり「火を使える」ので、バーナーで温かい食べ物やコーヒーを楽しむことができるわけです。デイキャンプをやってみたい方、登山グッズをテストしてみたい方にもおすすめです。しかしこれと言った見所があるわけではないので、火を使う用事がなければサイクリング的にはスキップしても良いでしょう。
豊洲ぐるり公園
さて、次は「暁ふ頭公園」からだいぶ離れているのですが「豊洲ぐるり公園」を見過ごすわけには行きません。暁ふ頭公園に寄らない場合は、レインボーブリッジの直後にここを訪れても良いでしょう。サイクリング可能な「コの字型」の長い湾岸遊歩道が豊洲市場を文字通り「ぐるり」と囲んでいます。「ららぽーと」前の「豊洲公園」を起点に一周するようなイメージのコースです。
豊洲ぐるり公園の南端は、レインボーブリッジの最も美しい姿を眺められる絶好のスポットです。ここで愛車の写真を撮るのは良いアイデア。有料バーベキュースペースもあります。あと自販機とトイレも2ヶ所あるので休憩にも便利。走って良し・眺めて良しの公園です。ららぽーとにはフードコートもあります。
さっきはあそこを歩いてきたんだなぁ、と思いながらレインボーブリッジを眺めると面白いと思います!
辰巳の森緑道公園
豊洲ぐるり公園を存分に楽しんだ後は、どのルートでも良いので「湾岸道路」に出て東雲(しののめ)方面に向かいます。すると道路左側(北側)の「辰巳(たつみ)の森緑道公園」に到着します。
ここは距離こそ短いのですが、夏は清涼感があり、秋は木漏れ日の美しい小道が待っています。ちなみにこのすぐ近くに地下鉄有楽町線・辰巳駅があるので輪行時の離脱ポイントとして抑えておくのも良いと思います。
夢の島緑道公園
次の「夢の島緑道公園」は「辰巳の森緑道公園」の自然な延長線上にあり、「2つの公園でワンセット」という雰囲気です。
夢の島緑道公園は、ほんの少しではありますが「里山」の雰囲気を思い出させてくれるダートを楽しめる小道もあります(ほんと雰囲気だけですが、東京ではそれも貴重なのであります)。秋にはどんぐりのような木の実もたくさん落ちています。
夢の島緑道公園は全体が3つのセクションに分かれていて、たまに歩道に出て入り直す必要があります。また東側の「夢の島東少年野球場」の周囲には、距離こそ短いものの「夢の島緑道公園サイクリングロード」という立派な道があります。
新木場緑道公園
夢の島緑道公園をひたすら東に走ると(と言っても超短距離)、荒川河口に辿り着きます。そして「荒川河口橋」の下を右折すると、自動的に「新木場緑道公園」に辿り着きます。
ここは地味ですが直線を楽しめる道で、「東京ヘリポート」や、カワウやアオサギといった水辺の鳥たちの姿を楽しめる景色の良いスポットです。
突き当りにある錨(いかり)のモニュメントがこの公園のシンボルマーク。対岸には次の目的地「若洲海浜公園」が見えています。ここはかなり良い景色なので、ここか若洲海浜公園で食事休憩しても良いでしょう。
若洲海浜公園
新木場緑道公園を抜けて「若洲橋」を渡ると「若洲海浜公園」に辿り着きます。ここは本記事で紹介した公園の中で「豊洲ぐるり公園」と同程度にたっぷり走れる公園です。千葉側には東京ディズニーランド、南側には東京ゲートブリッジが見えます。東京ゲートブリッジは、途中までなら徒歩で歩くこともできるので、時間に余裕があれば予定に組み込んでみても良いでしょう。
週末は釣り人で大変賑わっていますが、サイクリングロード自体は交通量が少なく、かなり開放的な空間です。釣り人向けの売店があり、スナック菓子など入手可能です。自販機も5〜6ヶ所あるので飲み物には困りません(食堂などはないので、若洲海浜公園手前のコンビニで何か買ってここで食べるのも気持ち良いですよ!)。
遠方からクルマで来られる場合はこの公園の駐車場を起点にするのも良いアイデアです。
有名な自転車雑誌のロードバイク・インプレッション記事などを眺めていると、この若洲海浜公園で撮影されたと思しき写真がよく見られます。それだけ人が少ないということです。早朝はほぼ無人に近いです。
若洲海浜公園については下の記事でも詳しく紹介しています。
葛西臨海公園
それでは最後の目的地、葛西(かさい)臨海公園に向かいます。「夢の島緑道公園」まで北上して戻り、「荒川河口橋」を渡ると葛西臨海公園はすぐそこ。路面状態も良く、園内には観覧車やレストラン、野鳥観察スポット、水族園などがあります。
公園から清砂大橋に至るまでの「健康の道」は、路面・景観・開放感ともに抜群です。距離もそこそこあって楽しめるので、時間に余裕があれば走ってみても良いでしょう。
葛西臨海公園については下の記事でも詳しく紹介しています。
東は荒川・江戸川、西は多摩川
輪行の場合、帰路はJR京葉線の「葛西臨海公園駅」か「新木場駅」でも良いですし(地下鉄東西線「南砂町」も至近)、もっと走りたい方は荒川や江戸川のサイクリングロードに足を伸ばすのも良いでしょう。逆に葛西臨海公園を起点にしてレインボーブリッジをゴールとする場合、南下して「大井ふ頭」経由で多摩川サイクリングロードに抜けるのも良いですね。
今回ご紹介した10の公園・スポットは一筆書きで走っても30〜40km程度の距離なので、アプローチを含めてものんびり楽しめると思います。また本記事中で紹介した各スポットからJR東京駅までは10km圏内です。帰宅後はお好みのお酒などを用意してGPSの記録を眺めると、充実した休日を楽しめるのではないでしょうか。
「この週末、東京都内ならどこ走ろうかなー?」という時にでも本記事を思い出していただければ幸いです。遠方の方も、JR東京駅まで輪行できればレインボーブリッジまでは40分程度なので、いつか是非お試し下さい。