よみもの

春から秋にかけてのサイクリングで警戒したい危険生物たち

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本記事には虫や爬虫類の画像が含まれます。苦手な方は閲覧をお控えください

一気に春となり、一部地方では早くも梅雨に突入しています。この季節のサイクリング、特にオフロードライドで気を付けたいのが毒を持つ虫などの生き物たち。可愛らしい昆虫を愛でて写真を撮ったりするのもこの季節の楽しみですが、停車中に毒虫に襲撃されることもあります。

クロアゲハ

クロアゲハ(筆者撮影)

この記事では特に注意したい3つの生き物について、その特徴・攻撃されないための予防法・攻撃された後の対処法についてまとめます。

ブユ

まずは「ブユ」から。関東では「ブヨ」、関西では「ブト」とも呼ばれます(筆者は普段「ブヨ」と呼びますが、皆さんの地方ではどうでしょうか?)。

ブユ

ブユ photo: AJC1 CC BY-SA 2.0

ブユは体長3~5mm。透明な羽を持ち、黒っぽく丸まった形をしたものが多いハエによく似た虫です(英語ではBlack fly)。山中の渓流や沢、水の流れる側溝のような場所の近くに多く見られます(CBNにかなり詳しい投稿があるのでこちらも併せてお読み下さい)。湿度の高い林道や水辺での休憩中は特に注意が必要です。

ヒトを含む哺乳類や鳥から吸血し、吸血の際に唾液腺から毒を注入します。致命傷にこそならないものの、刺されるとものすごく痒い、そして痛い厄介な虫です。

ブユは黒や紺色などの暗い色のウェアに寄ってきます。逆に黄色やオレンジなどの明るい色には比較的寄ってこない、とされています。後述するスズメバチも黒い服に反応すると言われているので、オフロードライドでは可能なら明るめのウェアを着たほうが良いでしょう。

また一般的な虫除け対策としては、ウェアは長袖が基本です。長袖が暑い場合は半袖ジャージにアームカバー・レッグカバー、または長袖インナーを着たり、コンプレッションタイツをはくのも刺し傷の軽減には効果があります。林道に入っていくような場合はなるべく素肌を晒さないほうが良いです。

ブユ対策としてよく知られているのは「ハッカ油の水溶液」で、これをウェアに吹きかけておくのも良いでしょう。

もし吸血されてしまったら、傷口から毒を抜いてステロイド外用薬を塗るのが良い、とされていますが、キャンプツーリングでもなければポイズンリムーバーや外用薬をライドに携帯する人はあまり多くないでしょう。ブユらしき集団を見かけたら、一気に走り抜けるのが最善の対策。休憩は、ブユを含め虫があまり飛んでいない開けた場所で、ごく短時間、が無難です。

スズメバチ

次はスズメバチ。ハチも様々いますが、空中をブ〜ン…とホバリングしている丸々としたクマバチよりも、スズメバチのほうが攻撃性・危険性が高いのはよく知られています。死亡事故も非常に多い危険な虫です。またオフロードに限らず、都市部での遭遇率も少なくありません。

キイロスズメバチ

キイロスズメバチ photo:Σ64 CC BY 3.0

体長2〜4cmのスズメバチは「巣や縄張りを脅かされている」と感じると攻撃的になり、刺してきます。そのため巣に近付かないのが一番、なのですが、ライド中は巣の存在をすぐに確認できないことがほとんどでしょう。数匹寄ってきたら警告のサインなので、やはり走り抜けて逃げる。

スズメバチの毒は免疫系や神経系を撹乱し、急性アレルギー反応・アナフィラキシーショックを引き起こします。ポイズンリムーバーは全く無意味とは言えないものの、刺された直後でないと効果は薄いとされており、刺された後に呼吸困難等のアレルギー症状が出たらすぐに病院へ行くしかありません。また、毒が目に入っても危険です。

スズメバチは先述のブユ同様、黒い色に反応し寄ってくると言われています。夏に活躍する薄手のアームカバー・レッグカバーは可能なら白系を選び、ジャージ類は明るい色を選ぶのが無難。

また香水に反応することも有名であり、匂いの強いシャンプー・石鹸の常用にも注意。日焼け止めの匂いにも寄ってくるので、対策が難しいところ。

まさに走っている最中に刺されることはそう多くないと思いますが、やはり低速での林道ライドや休憩中は気を付けましょう。近くにスズメバチの巣がないか注意を払います。遭遇したらその場から離れるくらいしかありません。

ヤマカガシ

最後にヘビです。毒蛇、というとマムシやハブ(南西諸島)が有名ですが、日本全体での生息数・遭遇率の多さを考えると「ヤマカガシ」に注意したいところです。攻撃性は高くないものの、毒自体はかなり危険なヘビです。筆者もこの春、数回遭遇しています。下の写真はヤマカガシがヒキガエルを丸呑みしていた現場で、カエルの下半身は毒で壊死しているように見えました。

ヒキガエルを飲み込むヤマカガシ(筆者撮影)

ヤマカガシは体長60〜120cm。北海道・南西諸島・小笠原諸島を除く全国に分布しますが、地方によって模様や色が違うので、それが「ヤマガカシ」であることに気付かないことも多いようです。上のヤマカガシは赤と黒の斑紋が目立ちますが、これは関東地方の個体群の特徴であり、関西では模様がはっきりしなかったり、近畿西部〜中国地方では青系の個体も見られるそうです。

ヤマカガシの毒は「血液を凝固させる」タイプ。本格的に噛まれた場合、死亡リスクがあります。毒牙自体は顎の奥にかなり短いものがあって、ちょっと噛まれただけなら毒が注入されないこともあるそうですが、数秒間ガッツリ噛まれ続けたら、残念ながら即病院に行く必要があります(ヘビの毒は回りが速く、ポイズンリムーバーはほぼ役に立たないという意見をよく目にします)。

見た目は毒々しいですが、人間に対する攻撃性自体は少ないので、見かけたら迂回して立ち去るのが最良です(というか、むこうから人間に寄ってくることはあまりない)。道をブロックされていた場合でも、近付いてどかそうとしたり、木の棒で突いたりしてはいけません(首の周囲にも皮下毒腺があり、そこから飛び散った毒が目に入ると危険です)。

対策アイテム

最後に虫や危険生物の対策アイテムをいくつかご紹介します。

まずはハッカ油。ミント系のエッセンシャルオイルで、ブヨやハチはこの匂いを忌避すると言われています。しかしハチについてはむしろ逆効果になるという意見もあり、全幅の信頼を置ける対策というよりも、ブヨや蚊などの被害を少しでも軽くするためのもの、と考えたほうが良いでしょう。

次にアームカバーやレッグカバー、長袖インナー等。私が使っているのは黒…ですが(この製品は当時黒しかなかった)、林道や山道を走る場合、素肌を露出しておかないのは大事です。ハチも蚊もウェアの上から刺してきますが、素肌に刺されるより若干マシかと思います。オフロードライドでは私には必須。下はコンプレッションタイツにレーパンです。

フェイスカバーも活躍します。探すと黒以外もあると思いますが、私が持っているのは黒系。仕方ないので、ハチがいると思ったらとにかく速度を上げて逃げる。小さい羽虫や蚊柱の対策にはかなり有効です。

一応「ポイズンリムーバー」と呼ばれる器具もご紹介しておきましょう。傷口に押し当てて毒を吸引します。私も登山用に持ってはいるのですが、実戦投入したことはなく、ライドに携帯することはありません。刺された直後に使わないと効果が薄いとされているので、事前の練習が必要。

しかしオフロードライドでポイズンリムーバーをすぐに手に取れるでしょうか。携帯するなら背中のポケットか、かなり手元にあるバッグに入れておいたほうが良いでしょう。

サイズもまあまあ大きいです。そのため常時形態は現実的ではないかもしれませんが、ハチや毒蛇が明らかに多く生息する場所にライドに行くことがわかっている場合は、持っていく価値はあるかもしれません。

いずれにしても、ブユ・スズメバチ・毒蛇については出没しそうな場所かどうかを事前にチェックする、生態を学んでおく、オフロードでは長時間停車しない、遭遇したら逃げる、のが最大の対策です。なお、クマの場合だけは慌てて逃げないほうが良いです(クマ遭遇の場合は、騒がずに相手の目を見たままゆっくりと後退します)。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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