毎日数時間のレースが灼熱の太陽の下で3週間の長きにわたって続くツール・ド・フランス。それなのにあまり日焼けしていないように見える選手が目立ったりもします。下は7月19日のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク出身・Jumbo Visama所属)の表情ですが、日本人の感覚からするとかなり白いほうですよね。コーカソイドとはいえ、2週間以上ツールを走っていてもこの白さ。
なんか日焼けしてない選手が多いのでは… と感じる人は海外にもいるらしく、掲示板で「選手たちはどうやって日焼けを防いでいるのでしょうか」という素朴な疑問を見かけたのでご紹介します。
出典 (Genuinely curious) The more stages I watch the more I wonder, how do they prevent getting sunburn?
Riemann P20という製品が人気?
スレ主さんは次のように投稿しています。
選手たちは、日焼け止めは塗っているに違いないと思いますが、塗り直しが必要なものですし、大量の汗をかいて水も浴びているのでほとんど流れ落ちてしまうのではないでしょうか?
寄せられたコメントからいくつかご紹介。
- 選手たちはRiemann P20のようなスポーツ専用の日焼け止めを使っているよ。より長持ちするし耐水性が高い
- 同じ製品を推しに来ました。私はベルファスト出身でクイーンズランドの農場で働いているかなりライトなスキントーンの男ですが一度も日焼けしたことがありません
- 全てのライダーがそうした製品を使っているわけではない。多くの人が普通の日焼け止めも使っているよ
- Riemann P20以外のスポーツ専用日焼け止めもあるよ、たとえばブリティッシュ・サイクリングはPelotanを使っていて、それも同じような効果がある。しかし普通の日焼け止めを使うようなプロチームは想像できないな…
- Jumbo Vismaがオランダ語のインタビューで一般的なSPF50の日焼け止め(スポンサーのHemaの製品。製品名は不明だがSPF50タイプ)を使っていると言っていた。太陽に晒されている肌は当然ながら太陽に慣れているから、それで十分なのかもしれない
- ランス・アームストロングのポッドキャストを聞いていたら、ライダーのうち日焼け止めを塗るのはたぶん60%くらいだろうと言っていた。ランス自身は一度も塗らなかったらしい
- ニコラス・ロッシュは発汗量が多くなるから(耐水性の高い)日焼け止めは使いたくないと言っていた
- ステージレースは4〜5時間くらいがほとんどだから1回塗れば十分以上だろう
- ヨーロッパの日焼け止めはアメリカの日焼け止めよりずっといいよ。基本的にUVAとUVBの2つの波長をブロックすれば良いのだが、日焼け止めはアメリカでは医療用品でありヨーロッパでは化粧品扱いなんだ。ヨーロッパ製の日焼け止めを使ったら後戻りできないと思うよ
- P20に一票
- 農民による伝統的な解決法、つまり毎日外に出て小麦色に焼いておく(= developing a tan)というのはどうだろう
- 小麦色に焼いておいても皮膚ガンの予防にはなりませんよ
- しかし小麦色に焼くことで日焼け(sunburn)の予防にはなります
日焼けしやすいかどうかは遺伝的特質(メラニン色素の量など)にも左右されるので、長時間紫外線にさらされても色が濃くなりにくい選手もいるのでしょうね。しかし言及されているランス・アームストロングの発言が本当なら、40%近くのライダーが日焼け止めを使っていない(あるいは使っていない時代があった)ことになるわけで、それは驚きですね。
▼ プロサイクリング選手でもコロンビア出身のナイロ・キンタナの焼け方などは日本人のそれに近い感じに見えます。私達と遺伝的に近いからでしょうか
日焼け止めの大きい問題点はやはり汗や水で流されてしまうことで、1〜2時間ごとの塗り直しが必要と言われたりします。また耐水性の高いスポーツ専用の日焼け止めでも、結局は汗で流れてしまう、という評価を目にしたこともあります。
今回紹介されていたRiemann P20・Hema・Pelotanといった日焼け止めは、調べてみたところ本記事時点では日本では流通していないようです。
Riemann P20はノルウェーのOrklaという企業が扱っているらしく、EUが要求するUVプロテクションの2倍の基準を満たしていると公式製品ページにはありました。Hemaはオランダ、Pelotanは英国。日本や米国で流通しているものと効果が違うのかどうか気になりますね。
とりあえず汗で流れた日焼け止めが目に入るとかなり痛いので、吸汗性の高いヘルメットインナーは良い対策になると思います。サングラスも日焼け予防効果があります(メラニンは目から入った紫外線にも反応して生成されます)。