カーボンエアロホイールを買ったのを後悔しています、という投稿を海外掲示板で見かけました。なぜスレ主さんはそんな投稿をしたのか、観察していきましょう。
まず、スレ主さんの悩みがこちら。
自分のCanyon Endurace CF8 ロードバイクでカーボンホイールを試したかったのです。軽量なホイールは登りにグレートでしょうし、エアロの恩恵も長めのバイクパッキング・ライドには完璧に思えました。少なくとも、それが私の考えでした。それで、Vision SC 40 Disc クリンチャーホイールを買いました。
登りは間違いなく速くなったのですが、下りはどんな風の中でも悪夢になってしまいました。フロントホイールはガタガタする(wobble)ことが多く、クラッシュを避けるために強くブレーキングせざるをえなくなります。
平地でもこのホイールは速いです。しかしそれも、追い風以外の風につかまるまでの話です。大体は、(風速)35-40km/h、60km/hに達するような突風がある時に、大変な感じになってきます(※訳注:60km/h ≒ 16.6m/s)。さて、いつものアルミホイールセットなら問題は全くなかったとは言いません。しかし止まらないといけなかったり、安心感を得るために過剰なほどブレーキングする必要はなかったのです。
人によっては、エアロホイールはビギナー向けのものではない、私に十分なスキルがないだけだ、と言うかもしれません。ある程度はそれも言えるかもしれません。しかし私は20年間、定期的に乗ってきましたし、去年だけで5,000km以上走っています。操作には自信がありますし、グラベル・エンデューロ・シティ・ロードとやっています。しかし、強風でのエアロホイールはとにかくひどいものでした。私が住んでいるところの風が特にひどいのかもしれませんが、エアロホイールは私向けのものではありませんでした。
では、これからどうするか。このカーボンホイールは売ろうと考えています。軽量なフィールは気に入ったので、DT Swiss PR 1400 DICUT db 21のようなプレミアム・アルミホイールを検討しています。皆さんはどう思いますか? 検討すべき他の選択肢などはあるでしょうか?
出典 I regret buying carbon aero wheels
以下、個人的に目立ったコメントをピックアップしてみました(抜粋・抄訳)。
- スレ主さんはかなり体重の軽いライダーですか? 40mmのホイールではそこまで風に煽られないと思います(226いいね)
- (上の人に)同意です。体重72kgで40mmを使っています。風がほんっとうに横から吹き付けているのでないなら、これは十分に浅いホイールです。(スレ主さんが経験したようなことは)どんなデプスでもありうるでしょう。最悪なのは低木のあいだ(生け垣のあいだ)から横風が入ってくる時です。しかしそれでも、40mmが影響しているとは思えません(12いいね)
- (スレ主さん)私は平均的な体重だと思います、72kgくらいです
- 60kph(≒ 風速16.6m)の横風はどんなライダーでもすぐわかるレベルだと思います。私は体重100kgで、浅いアルミリムでGrailに乗っているので風に耐えるには理想的な状態なのですが、フランドルであるような60kphの横風だと、体重を風のほうに倒したり、タイヤを真下に持ってこないように乗ることに慣れる必要がありました。そうするとうまくいくのですが、落ち着かないですね。それに、そのレベルの風だと耳を覆っておかないと耳鳴りもします(41いいね)
- うん、60kph(≒ 風速16.6m)なら、どんなバイク・ホイールで乗っていても煽られます。60kphはクルマを運転している時でも押される感じがわかる強さです(12いいね)
- いつも40〜60kphの風が普通に吹いているって、スレ主さんはどこに住んでいるの?
- (スレ主さん)オーストリアのウィーンです
- (スレ主さんに他の人が)ああ、確かにあそこは風が強いですね。かつて50〜60mmのディープエアロホイールを6.5kgのバイクで試しましたが、横方向に最大50cm飛ばされました。トラックに追い抜かれた時は本当に怖かったですね。本当に風が強いところに住んでいるなら、ディープリムが好きになれなかった、というのは理解できます(7いいね)
- 私達の大部分は、40mmがディープだとは考えていません。ハンドリングがそんなふうに影響されるなら、風が超強いか、ライダーが軽量すぎるかだと思います(6いいね)
- リムのプロファイルにもよります。より新しい、より太いUシェイプのリムは、むかしのVシェイプのリムよりも横風をうまくあしらってくれます(2いいね)
- 風でステアリングに影響が出ることと、スピードでウォブリングが出ることは2つの別の現象で、原因も違います(85いいね)
- (スレ主さんが上の人に)説明不足だったかもしれませんが、ウォブリングは突風の時か、風向きが急に変わる時にだけ発生しました。しかし主な問題は風と格闘することで、ウォブリングではなかったのです(22いいね)
- エアロにはリムの深さ以外の要素がたくさんあります、風の中にまっすぐ走っていくことは稀ですし、ホイールへの斜め方向からの攻撃は、それほど直感的でないような効果を多く生むもので、安いカーボンブランドはまだ理解していないところがあると思います(7いいね)
- (上の人に)Visionは間違いなく名のあるブランドで、安物ではないですよ(29いいね)
- 慣れますよ。最終的には、危険というよりは単に気味が悪いと感じるだけになります。身体から力を抜いて、風を吸収しながら反応する。緊張してブレーキを握ってしまうと、そのほうが危ないです(51いいね)
- (スレ主さんが上の人に)たぶん私が間違っていたのはそこかもしれません、ただ余分なストレスが自分向きではないのかもしれません。エアロでないホイールに乗っている時よりも、マインドワークがより多く発生します(=気疲れする)(22いいね)
- ハンドルをよりしっかりホールドする必要があります。フードが友達です。(ハンドルの)トップは突風の時には良くありません。どこで横風区間になるか、どこで開けたところが現れるかなど、道をよく知っておく必要もあります。使いこなせるようになるかどうかというと、少しなら、慣れられると思います。ここで「85mmのホイールは40km/hの風でもOKだよ」と言っている人は完全に間違っているとは思います(32いいね)
出てきた意見をまとめると、まあまあコンセンサスがあるように思えるのは
- 風速60kph(≒ 16.6m/s)は十分に不安定さを感じられる強風と言って良い
- 40mmリムのホイールは特にディープリムというわけではないと思うが、体重が軽いライダーならより煽られがちになるのは間違いないだろう
- 横風に強いかどうかはリムハイト以外に、リムの形状(プロファイル)にもよる。近年の製品はその点で形状の工夫がなされている
- ある程度までは、慣れの問題である
- 地形や風を読むなどのマインドワークが必要になるのは間違いない(心理的負担は増える)
という感じでしょうか。私もロードバイクで50mmのカーボンホイールを使っていたことがあるのですが、やはり横風にはかなり怖い思いをしたことがあるのを覚えています。オーストリアのウィーンではなく埼玉県の荒川という川にかかる橋の上での話ですが、JR武蔵野線が止まるような風の時は文字通りふっ飛ばされそうになったことはあります(あらかじめ身構えていないと確かに危ない)。
ただ、スレ主さんはこのカーボンエアロホイール、使用500kmくらいでもう売ってしまうつもりになっているようですが、「ある程度は慣れられる」という意見には私も賛成。もうちょっとだけ使ってみてから考えても良いのでは、と思いました。ただ、慣れられたとしても気疲れはするから好みではない、という感想を持つことは、十分にありそうですね。
日本ではこれくらい風の強い地域はどこになるのでしょうね。読者の皆様の体験談や感想などがありましたらTwitterなどで教えていただけると幸いです。