ディレイラー

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

シマノ製MTBコンポのDEOREから上のグレードにはクラッチ(チェーンスタビライザー)機構が搭載されていて、悪路でのチェーンのばたつきを抑えてくれます。ロード用のUltegra RXとグラベルロード用のGRXのリアディレイラーにもこのクラッチが搭載されています。

SHIMANO Ultegra RX RD-RX805-GS

オフロード走行はもちろん、パリ〜ルーベのような石畳でもチェーンが暴れてチェーンステーをビシビシ叩いたりチェーンが外れたりといったことが少なくなります。少し重量増にはなりますが、便利な機能。

さてこのクラッチ、中身はどうなっているんでしょうか。

いま使っていないSLXのリアディレイラー・RD-M7000が手元にあるので、分解して観察してみたいと思います。

SLX RD-M7000のクラッチの中身

これがそのSLX RD-M7000。11速モデルで、すでにシマノの公式サイトから姿を消しています。SLXは12速になり、型番もM7100になってしまいました。

SHIMANO SLX RD-M7000

SHIMANO SLX RD-M7000

「プレート体カバー」と呼ばれる、3つのボルトでとめてあるフタを開きます。工具は2mmのヘックスレンチです。すると中身はこんな感じ。これはクラッチOFFの状態で、板バネのようなパーツ(フリクションスリーブ)の先端が開いているのがわかります。

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

プレート体カバーを外したところ。クラッチOFFの状態

ここでクラッチをONにすると… 先端がこんなふうに少し閉じます。外側の金属プレートが内側の回転体を摩擦力で強く締め付けることになり、この結果プーリーケージが手では動かなくなる、という仕組みです。

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

クラッチONで先っぽが閉じます

フリクションの調整

この締め付け具合は自分で調整することができます。フリクションユニットの隣にやはりM2のヘックスボルトがあるので、それを締めたり緩めたりします。長く使っているとこのボルトが緩んでくるらしいので、そういう時は締めなおすわけですね。なおこの調整をする時はクラッチをOFFにしておきます。

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

このボルトでフリクション調整

下の写真は極端に締め上げてみた様子です。あまり締めすぎるとクラッチレバーがONで固定しにくい感じになるので気をつけたほうが良いでしょう。ほどほどに。

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

極端に締めてみた例

どのくらいのフリクション設定になっているかを確認するには、クラッチをONにし、片手でフリクションユニットを押さえた状態で、もう片手で4mmのヘックスレンチをクラッチのまんなかの穴に入れて、反時計方向に回し上げます。プーリーケージを持ち上げるイメージです。

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

クラッチをONにしフリクションユニットを押さえながら4mmヘックスレンチで具合を確認

ただプーリーケージがどのくらい動くかは、上の確認方法だとうまく本体を押さえるのが難しいので、なかなかやりにくいです。その場合は下の写真のように、プーリーケージの左プレートにT30トルクスレンチが入る穴があるので、そこに差し込んでケージをグイッと持ち上げてみます。このほうがずっと楽にフリクションを確認できます。

シマノ・リアディレイラークラッチの仕組みとフリクション調整

プーリーケージ左プレートを持ち上げたほうがテンション確認はやりやすい


 

非常に荒れた路面ではこうやって確認した時に動く量だけチェーンがばたつくことになります。構造を考えると少しずつゆるんでくるものなので、激しいライドをする方はたまにチェックすると良いかもしれません。

調整自体に難しいところはまったくありません。

参考:microSHIFT ADVENTのクラッチとの違い

先日下の記事でmicroSHIFTのMTB用コンポADVENTを紹介しましたが、ADVENTのリアディレイラーのクラッチは構造がちょっと違うようです。

いまどき9速? いまだからこそ9速?microSHIFT Adventは「少ない・安い」だけのコンポなのか
台湾のmicroSHIFT社が今年の春、9スピードのMTB用コンポーネント「ADVENT」を発表しました(というか部分的に8スピードパーツも含まれているのですが、マーケティング的には9スピードを強調しています)。 公式 ADV...

シマノの場合は上で見てきたようにワンウェイベアリングを板バネのようなものが外側から挟み込んで、その摩擦で固定する仕組みですが、ADVENTの場合はホイールのフリーボディーなどで採用されているラチェットと爪の仕組みを採用しています。

microSHIFT ADVENTのクラッチ

microSHIFTいわく、このほうがゆるみにくく調整ももっと簡単なのだそうです。実効性は定かではありませんが、これはご参考まで。

メンテナンス作業にはニトリルグローブがあると便利です。ツール缶に入れておくのもおすすめです。

著者

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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