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Bianchiがカーボンフレームを含む生産拠点をイタリアに移行 自転車の価格高騰とアジア撤退の動きは加速するか

イタリアのBianchi(ビアンキ)がカーボンフレームや完成車の生産拠点をアジアからイタリア本国に戻す計画を発表しています。road.cc等が伝えています。

Bianchi Team LottoNL-Jumbo bikes

photo: Cs-wolves CC BY-SA 4.0

出典 Bianchi invests millions in bringing production back to Italy – road.cc
出典 Bianchi punta 40 milioni di euro per quadruplicare la produzione – Il Sole 24 Ore

カーボンフレームの現地生産には2年が必要

  • ビアンキは生産能力を4倍にするために4000万ユーロ(約52.7億円)を投資し、カーボンフレームを含む製造をイタリアに戻そうとしている
  • 2週間前には3Tもカーボンフレーム製造をイタリアに戻すと発表していた
  • 「ヨーロッパが自転車の製造とテクノロジーを地元に戻すための、これ以上にない好機だ」と同社CEO、ファブリツィオ・スカルツォット氏は語る
  • ビアンキは3年で売上高を2倍にしたが、COVID-19による供給不足にも関わらず、短期間でそれを4倍にしようとしている
  • 「1980年代まで、私達はアルミフレームにおける世界のリーダーで、世界中がイタリアの産業構造に根差したブランドに憧れを抱いていました。(しかし)カーボンフレームがイタリアに根付いたことは一度もなく、バルクの部品同様、極東からやって来ていました。そのため私達は、今ではもはや持続可能ではない外国に依存することになっています。納期が500〜 700日にもなっている今こそ、生産拠点をここに戻す適切なタイミングです」と同氏は語る
  • 最初のステップはロボティクスを採用する10,000m2の工場を作り、伝統的なバイクとE-BIKEの両方の生産能力を現在の1日250〜300台から1000〜1500台に伸ばす。このために3000万ユーロを投資し、人員を180人から300人に増員し2022年8月の稼働開始を狙う
  • 第2のステップではカーボンフレーム製造に1000万ユーロを費す。6000m2の工場に配置するためのロボットを配置する合意が出来ている。これには2年が必要で、最も困難なのは熟練した作業員の確保になるだろう
  • バイクブランドが米中間の貿易戦争の結果、生産拠点を中国から他の極東諸国に移動する中、生産拠点をイタリアに戻すのは今をおいて他にない、とスカルツォット氏は考えている。それらの極東諸国には同じ品質と柔軟性がないからだ。ここに物流上の困難と増加する輸送コストを加えると、イタリアで技術と生産能力を高める適切なタイミングだ
  • ビアンキは世界的なパンデミック以前も、E-BIKEのe-Omniaシリーズのヒットで、大成長を遂げていた。これらのバイクは主にドイツ市場を狙ったものだったが、イタリアで最もよく売れた。2018年の売上高は5000万ユーロだが2021年は1.2億ユーロになる見込みで、2022年には2億ユーロになりそうだ

上でも言われているように、同じイタリアの3Tがカーボンフレーム生産拠点をイタリアに移設することが少し前に海外で話題になっていました。ビアンキのような大ブランドもアジアから撤退するとなると、今後他メーカーにも影響を与えるでしょうか。「メイド・イン・イタリア」のスポーツ自転車が世界のサイクリストの羨望の的になる日がまたやってくるのかもしれませんね。

たとえ今回のコロナ禍が落ち着いたとしても、今後また同じような状況が発生しないとも限りません。そうした将来的なリスクを回避するためにも生産拠点を本国に戻す、というのは理に適った動きであるように思います。コンポーネントの供給も、現地生産が大部分であるイタリアのカンパニョーロやスペインのROTORなどは現在でも比較的安定していると言われます。

海外サイクリストの意見

このニュースについて海外掲示板Redditでは次のようなサイクリストによる意見が見られます。

中国製ではない新しいグッズは多くの人から既にプレミアム品と見なされている。より多くの製品が、労働者を使い捨てにすることなく長持ちする商品を製造する技術と科学を高めたイタリアやドイツ、スイス、フランス、オーストリアやアメリカ、その他の国々に戻ることを期待している

ビッグブランドの多くは実際のところ台湾で生産している。そして台湾は中国ではない。それに加え、大部分はGiantによるOEM生産だ。ブランドが本拠を置く国で生産することには賛成するが、アメリカではカーボン製品を製造すると価格がかなり高くなる。たとえば米国生産のENVEのパーツはプレミアム価格だ。Alliedのフレームも米国生産だが、フレーム価格は4500〜5000ドルで、需要も少ないために雇用を大幅に削減する必要があった。ビアンキの場合も価格は間違いなく上昇するだろう

確かに将来的にヨーロピアンバイクが安定的に供給されるようになっても、価格は高くなるような気がします。しかしアジアで生産すると価格は比較的抑えられても、販売できる製品が届くまで1年半や2年にもなってしまうのなら、メーカーは売るものがなくなってしまいます。

今後も自転車関連商品はしばらく値上がりが続く、と考えたおいたほうが良さそうです。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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