自転車用のハンドルバーバッグには様々なタイプの製品があり、単に「ハンドルバーバッグ」で検索しても自分に合った製品(自分の用途に合っているか・自分の自転車に取り付けられるか)がよくわからない、ということがあると思います。この記事ではハンドルバーバッグを大きく5つのタイプに分類し、それぞれにどんな特徴があり、どんな用途に向いているかを観察していきます。
ドラム型
まずは「ドラム型」とでも呼べそうなタイプから見ていきましょう。まさにドラム缶のような円筒状で、ハンドルバーに2本のベルクロで(製品によってはさらにステムでも)固定するタイプ。財布やスマホ・カメラ・携行食といったすぐに取り出したいものを入れておくのに便利。下は筆者の「Grunge ハンドルバーバッグ」です(画像下に紹介記事あり)。
このタイプは完全なハードシェルではないものの、型崩れしないような簡易な補強が施されているものが多いです。晴れの日のポタリング・観光サイクリング等に向いています。しかし防水性がない製品もあるため、想定外の雨に備えてドライバッグ等(バッグよりやや大きめのサイズを選ぶと良い)を保険として突っ込んでおいたほうが良いでしょう。軽量な製品が多いのも特徴。
下のモンベルのフロンドバッグはかなり昔からある人気商品。しかし物によってハンドルバーとの隙間が少ないこともあり、上ハンをよく握る方は多くの場合、現物合わせが必要になることもあります。気軽に使えるものの、そこは短所になりうる場合も。ワイヤー類と干渉しないかも考慮する必要があります。
見た目もスタイリッシュなのでドラム型は激戦区。ストラップ付きの製品は軽装備の日帰り輪行でも便利です。
アクセサリー型
次は分類がやや難しいタイプ。ここでは「アクセサリー型」と呼ぶことにします。用途的には上のドラム型同様、カジュアルライドやちょっとした小物を入れておくバッグ。下は筆者使用のRhinowalkのフロントバッグ(写真下に紹介記事あり)。小物へのアクセスが良い分、サイコン用のアウトフロントマウントやハンドルバーのライトが使いにくいという短所があります。
下はオルトリーブの「アクセサリーパック」。これは同社の「ハンドルバーパックQR」というバッグの上に装着して使っても、単独で使っても良い製品。ロールトップである程度容量を調整できるようになっています。容量が少ないと型崩れしそうですが、普段使いしても良さそうに見えます。
アクセサリータイプにはハンドルバーとステムで固定する「ステムバッグ」タイプも入れておきましょう。飲料を入れておくのに便利ですが、スマホや財布、日焼け止め等を入れる用途に使っても良し。ただ、製品によって見た目ほどモノが入らなかったり、防水性もまちまちなので仕様をよくチェックしてみましょう。上からの雨には弱いものの、アクセス性は抜群。
ボックス型(クラシカル)
次はクラシカルなボックス型。ツーリング等に向いているタイプで、わりと大容量。天板には地図を挟んでおけるビニール面があるものが多い。素材は幌布が多いので、大雨の中で走る可能性がある場合は、防水対策を別途講じる必要があります。オーストリッチの製品が人気ですね。ランドナーやクロモリのバイクによく似合います。やや重い製品が多いです。
ボックス型(モダン)
次にご紹介するのもボックス型ですが、モダンなタイプ。下は筆者愛用のRoute Werks社製のハンドルバーバッグ(写真下に紹介記事リンクあり)。上のクラシカルなボックス型をまさに現代的に進化させたような製品です。ハードシェルとソフトシェルの中間的な構造で、天板にはライトやGPSサイコンも設置でき、ドローコードでウェアや地図を挟むこともできます。
左右にライトやサイコンを増設するためのスタッブもオプションで用意。容量はあまりないのですが、簡易な耐水性もあるので小雨なら問題なし。操作性・アクセスも良いです。美観的にはカーボン製のモダンなオールロードバイクで使っても違和感のないスッキリしたデザインも特徴。
オルトリーブの「アルティメイト」シリーズもモダン・ボックス型に分類して良さそうなコンセプトです。アタッチメントによる着脱が便利で、容量的にも余裕があります。下はなどかずさん愛用の7Lタイプ。オルトリーブなので防水性も高い。短所としてはハンドルバー設置のライトや、アウトフロントマウントが使えないところ(アタッチメントで解決する必要あり)。
下の記事でなどかずさんがRoute WerkのバッグとOrtlieb Ultimate 6を比較されています。こちらも是非ご参考に。
海外の製品レビューやユーザーの声を読み込むと、オルトリーブのハンドルバーバッグはUltimateシリーズも「ハンドルバーパックQR」も、ハンドルバーの上までカサがあるせいか「美しいとは言えないが、造作と機能は優れている」という評価が多いです。性能優先なら積極的に候補に入れたいバッグでしょう。安心感はダントツですね。
ちなみに全てのハンドルバーバッグに言えることですが、荷物が重すぎるとハンドリングに影響が出るので注意が必要です。
バイクパッキング型
最後は「バイクパッキング型」を見ていきます。これも多数の製品が存在するのですが、共通する特徴として、荷室がロールアップ式のドライバッグになっているところです。濡らしたくないウェア類やキャンプ用マット等を詰めてくるくると巻いて空気を抜く、というものが多い。下はサイクルモードで見かけたゼファールのフロントバッグで、これもそういうコンセプト。
バイクパッキング・ツーリングで、軽量なウェアや寝具類を運ぶサブのバッグという使い方が主に想定されているので、これ単体で使うという方は多くないと思います(構造上、本体もソフトなので角のある物体や重いものには向かない。頻繁にモノを出し入れするためのバッグでもない)。
ドライバッグが別体型になっているものと(下のトピーク)、本体そのものがドライバッグ的になっているものがあります(さらに下のオルトリーブ)。
これらのバッグは横幅があるため、幅のあるグラベル・オールロード用のドロップハンドルかフラットバーが必要になる点に注意。最初に紹介したゼファールのフロントバッグは横幅39cmなので狭めのドロップハンドルでも使えそうですが、ハンドルバーの幅ギリギリまでバッグ幅があると、シフターの操作にも影響が出る場合があるので、サイズは入念にチェックしましょう。