海外掲示板RedditのZwiftフォーラムに「2020年にTrainerRoadに移行して以来久しぶりにZwift使ってみたけど、相変わらずひどいままで腹が立った。なんでこんなに見当違いのことをやっているんだろう…」という(定期)ぼやきスレッドが立てられています。
Zwiftのユーザーインターフェースに関する不満の声は何年も前からずっとあるもので、特に目新しい話ではなくボヤいても意味がないことではあるのですが、なぜZwiftの開発に問題があるのかについて、冷静で面白い考察が寄せられていたのでご紹介します。
自分が何を知らないのかを知らないのが問題だ
次のような長文の見解がありました。
新しいペースパートナーの開発の仕方は、Zwiftの内部をうかがい知る材料になると思う。この新機能は1人の開発者だけが担当しており、彼は開発だけでなく、それがどのように機能するか、使われるルートはどれか等についても決定を下した。最終的なペースパートナーの名前だけは他の誰かが付けたものに思える。たぶんマーケティング部だろう。
これは、プロダクトのオーナーが顧客と(この場合はユーザーと)意見交換をした上で懸案事項を考慮したり、マネジメントがビジネス上の懸念点を考慮したりした上で、やるべき仕事に優先順位を付ける、という現代的でアジャイルなソフトウェア開発プロセスであるようには見えない。開発者はただ手元にやってきたものだけをやっているように見える。
新しいペースパートナーについて言えば、開発者には透明性がありZwiftフォーラムのフィードバックを参考にしていたのでラッキーだったように思う。また彼は経験豊富な開発者のように見える。私は、Zwiftのスタッフ・開発者・総務関連の大多数は新卒ですぐに雇われた人々ではないかと思っている。彼らに経験値や業界のベストプラクティスに関する知識がない、と言いたいのではない。彼らは自分たちが何を知らないかを知らない、自分たちが知らないことが存在することさえ知らないのが問題なのだ。
新しいフォントが非常に良い例だ。Zwiftフォーラムで誰かが、なぜあのフォントがひどいのかについて素晴らしい説明を投稿していた。それは「この新しいフォントひでーよ」という投稿ではなく、あのフォントがフォントデザインにおける数々のベストプラクティスやスタンダードをいかに無視しているかを丁寧に説明していた。思うに、Zwiftでこのフォントについてデシジョンを下した人々は、こうしたベストプラクティスが存在することさえ全く知らなかったのだろう。同じような無知はUIを制作している従業員にも見られる。
最終的にこれはマネジメントの失敗だ。Zwiftの上級マネジメントは、新人のメンターとなり、開発プロセスをモダンな慣行と調和させられるような経験豊富な人材が揃う組織を作ってこなかった。これは盲者が盲者を導いている組織であり、管理職は職務怠慢になっているか、あるいはひたすら無能なんだと思う。
個人の推測であり、Zwiftの内部事情がこの通りであるとは勿論限りませんが、ソフトウェア開発の現場を熟知していると思える方からの、読んでいて非常に説得力のある内容でした。特に多くのユーザーから「まずこれを先に何とかしてほしい」と要望されているバグや機能追加がなかなか着手されず、何か作業の優先順位が間違っているのではないかという印象は個人的にもあります。
また、例としてあげられている今月に入ってからのZwiftインターフェース内のフォントの変更は、数字の1と7が判別しづらいなどといった不満が確かに多く見られますね。
インドアサイクリング・プラットフォームの頂点に君臨するZwiftの地位がすぐに揺らぐことはないとは思いますが、最近は実写映像を使用した優秀なアプリが増えつつあり、ポストコロナにおけるユーザー離れを食い止めるためにもマネジメント・開発環境の改善がますます必要な時期に来ているのではないかという気がします。