ロード・MTB・トラックと、種目や分野を問わず筋トレをしているサイクリストは少なくないと思いますが、そもそも筋トレはサイクリストにとってどんなメリットがあるのでしょうか。「ウェイトリフティングをやったことで良くなったことを教えて下さい」という海外の自転車掲示板での話題を観察してみましょう。
出典 Tell me your weight lifting success stories
おもしろコメント
最初にネタ系コメントをいくつかご紹介。最優秀賞はこちら!
冬にガッツリとジム通いをしたら、今ではクルマのルーフラックに載せられるくらいまで自転車を持ち上げられるようになりました(力こぶの絵文字)
あんたどんだけひ弱だったんだよww と突っ込みたくなるナイス冗談ですね!(E-Bikeの話だったら実はマジレスなのかも)
他にはこんなコメントも。どちらかという身体が細い傾向にあるサイクリストについての自虐コメントが多い印象です。
- 裸になった時の見た目がちょっとだけマシになった
- いつか45kgを持ち上げようとしていたら腰が痙攣して1ヶ月死んだ
- 俺はほとんどのサイクリストより強くなった… そして彼らより遅くなった
- (上の人に)重量挙げ選手としては速く、サイクリストとしては強くなったということだね。夢が叶ったじゃないか
- ケイデンス60で何時間も乗れるようになった。これが普通のサイクリングで何の役に立つかはわからない
- (上の人に)ローケイデンスで走れるようになったのだから、より大きいチェーンリングを使える。するとチェーンラインが良くなるから効率が良くなる。おめでとう!
筋トレの過程では一時的ではあっても体重は確実に増えてしまうので(筋肉量以外にグリコーゲンと結合する水分の影響が大きい)、競技志向の方にとってはそれが悩みの種になることもあるようですね。
マジレスすると…
真面目な回答をいくつか見てみましょう。筋トレでは「ベンチプレス・スクワット・デッドリフト」が「ビッグ3」と呼ばれ、大きい筋肉を総合的に鍛えられる種目として有名ですが、特にデッドリフトとスクワットによる効果を感じているサイクリストは少なくないように見えます。
- 数年間、オフシーズンにスクワットとデッドリフトのリニアプログレッション(=セッション毎に重量を直線的に増やす)に集中したらワットを大幅に増やすことができた
- (主にオフシーズンに週3〜4回の脚を含む全身トレーニングをしてる人)30〜100kmまでのどんなライドでも、最大数分間までの頑張りを繰り返すのに役立っていると感じる
- プッシュアップを110回やった翌日にサイクリングした。その日、同じ道での最高のアベレージスピードを記録した。その理由は体幹と胸筋が道の凹みごとに痛んだからで、脚が燃えていることにほとんど気付かなかったからだ
- 基本的なデッドリフトとスクワット(プラス、シングルレッグでのバリエーション)でパワーの上限が上がった。尻・臀筋・背中の数多くの弱点が改善された
- 体幹が強くなったし、一緒に乗る人達の多くよりも長い時間、アグレッシブなポジションを保てるようになった。キックも非常に強くなり、友達が脚を動かすのに時間がかかっている時でもすぐにフルパワーを出すのが簡単になった。スクワットをやる時はいつも爆発力に集中している
- デッドリフティングは長時間のクライミング時に感じる腰痛を完全に消してくれるよ
上で言われているように、デッドリフトは腰痛予防にも良いとよく聞きますね(※フォームや負荷を間違えると逆に腰痛の原因になるので要注意)。ちなみにプロロードサイクリストの大胸筋が発達していないのは、それが必要ではないからだと思いますが(オフロード系では大胸筋はより有効)、腕立て伏せの翌日によく走れた、というエピソードもなかなか面白いです。
サイクリング時に使わない筋肉を増やしても無駄な重量増になってしまう、という考え方もあるとは思いますが、筋トレには「全身をバランスよく鍛えたほうが良い」という「全面性の原則」と呼ばれるものがあり、やれる範囲で上半身もある程度鍛えておくのは有効ではないかと思います。その意味でも、デッドリフトは一度の動作でかなり多くの筋肉を鍛えられるので効率的ですね。
デッドリフトはバーベルでなくとも、ケトルベルで自宅で気軽に行えます。場所を取らないのが良いですね。
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