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Stravaが値上げによる混乱について謝罪と説明を行う 今後の課金方針も明らかに【解約者続出の結果か】

Stravaが今年に入ってから海外各国で30〜50%近くの大幅な値上げを行い、さらに国によって、あるいは同一国でもユーザーによってバラバラな新料金が提示されたり、メディアに対して明確な料金体系の開示を拒否したことなどが、下の2つの記事でお伝えしたように、大きい話題になりました。

Stravaのサブスク料金が欧米で25%以上の値上げ 米国では月間12ドルに
Stravaのサブスク料金が欧米の一部で25%(以上?)値上げされ、海外で話題になっています。本記事時点ではイギリス・カナダ・アメリカ合衆国での値上げが既に実施されたことが報告されています(しかし筆者が調べたところ日本国内料金は、本日時点で...
Stravaの値上げ率はほぼガチャ? ユーザーの地域や好みのプラットフォームによって変動し、更新1ヶ月前まで料金はわからない
今月になってからStravaの更新料が値上がりした・値上がりする模様だ、と海外で話題です(紹介記事)。批判は当然ありますが、Stravaに限らず他の様々なサブスクサービス(海外でのAmazon PrimeやNetflix、国内では最近DAZ...

その後海外の掲示板や自転車メディアを見ていると、やはり激怒したユーザーが多く、ほとんど祭りと言えるほどのキャンセル・ムーブメントに発展していました。

そんな中、今日1月24日にStravaはThe Strava Clubにて今回の事態についてはじめて謝罪を行い、状況を説明しました。

出典 Clarifying Subscription Pricing Confusion | The Strava Club

国ごとに一貫した料金に移行?

以下、元記事からの抜粋・抄訳です。

私達は料金体系を更新しました。私達の情報発信は大きく混乱を招くものでした。そこで事態をより明確にします。

新しい料金体系をロールアウトする過程で、私達はコミュニティに十分な情報を直接提供しないという過ちを犯しました。この混乱と、私達の大切なサブスクライバーの多くの方々に与えたご心配に対して、真摯にお詫び申し上げます。

私達の意図は、これらの料金の変更を隠すことではありませんでした。私達はただ、急いで動きすぎました。また長らく月間契約をされている方々に、月間契約から年間契約に移行することで、大幅な値上げを回避できるとお伝えする機会を逃してしまいました。

(中略)

私達は国ごとに一貫した料金へと移行しつつあります。つまり、ある国のすべてのサブスクライバーは、同じ月間料金または年間料金を支払うことになります。

あなたの月間または年間料金はここで確認することができます:www.strava.com/pricing

(以下、私達はずっと頑張って新機能を追加してきました・値上げは2009年以来初めてです・利用者も増えて大変なんです・Stravaの価値を理解してもらえることを希望します、等々の文章が続いています)

これを読者はどう受け止めたでしょうか。元記事へのコメントからいくつかピックアップします。

  • 悪いがまだ納得できないね。良い仕事や良いプロダクトはコストがかかる、それは間違いない。しかしコミュニケーションは2023年のいま、それほど複雑なものではない。だからひどい言い訳に聞こえるよ
  • 素晴らしいですね、明確な説明をありがとうございます。でもダークモードは値上げしてもやって来ないんですか?
  • みんな。Garminはこれらの機能をタダで提供しているぞ

等々、あまり納得は得られていないように見えます。

Redditでのこの記事の紹介スレッドも見てみましょう。

  • 私は何か見逃したのでしょうか、それともこの声明文は何も明確にしていないのでしょうか?「私達は国ごとに一貫した料金へと移行しつつあります。つまり、ある国のすべてのサブスクライバーは、同じ月間料金または年間料金を支払うことになります。」これはつまり、同じ国の複数のサブスクライバーが同じ内容に対して異なる価格を支払っていた状況があったことを意味するのでしょうか? 地域による料金の違いも明確にされてはいません、リンクをクリックすると私の地域の料金が表示されるだけです
  • なんて役に立たない記事なんだ。それにStravaはなぜ年間契約への変更を理解しがたいほど面倒にするんだろう?(※筆者注:Stravaの契約を月間から年間に移行するためには、一度メンバーシップをキャンセルし、当月の契約が終了するのを待ってから年間プランで再登録しなければならない仕様だと聞いています)
  • 途方もない大失敗だな

皆さんはStravaの説明をどのように受け止められたでしょうか。私個人の感想としては、やはり苦しい釈明のように聞こえます。この記事で紹介したように、DC Rainmaker氏が新料金体系について問いただしたところStravaは明らかに開示を拒んでいましたし、恐らくサブスクを終了した人があまりに多すぎため、やむなく火消しに走ったという印象が否めません。

同じ国の中でも、有料機能を熱心に使いこんでいたヘビーユーザーは値上げし、有料機能はあまり使っていないサブスクユーザーの料金は(離脱されないために)据え置きしているのではないか、という憶測があり、実際に同じ国でも人によって更新料が違っているケースが多く報告されていました。それは本当にロールアウト中のミスだったのか。それとも市場調査の意味があったのか。

どうもすっきりしないところは残ります。いずれにしてもStravaはコミュニケーションがあまり上手な会社ではないのかなという印象を受けます。Stravaでユーザーが最も待望している新機能「ダークモード」についても、Strava Clubにはダークモードの実装を求めるスレッドがあるのですが、そこに今月はじめ社員の方が登場して、次のような投稿をしていました。

現時点で、ダークモードは直近のロードマップにはありません。ダークモードをいま実装すると、皆さんの多くが気にかけている他のエキサイティングなイニシアチブから人員を削減することになるでしょう。

2023年は多くの新機能を提供できるのを楽しみにしていますし、コミュニティハブに引き続きフィードバックをお寄せ下さい。

ダークモードは直近のロードマップにはありませんが、このスレッドは時々覗いてみます。

この投稿も大顰蹙でした。ユーザーからの要望No.1がダークモードの実装であることは誰がどう見ても明らかなのですが、ユーザーが望んでいることよりも自分たちが提供したいことを優先しているように見えます。

そのこと自体は、企業としては別に間違いではないと思うのですが(ダークモードの実装も単純に白を黒にするというレベルの話ではなく、大規模な作業になるのでしょうし、ユーザーにとっての優先順位と会社としての優先順位が一致しないこともあるでしょう)、上の投稿は誰得という感じで、むしろ黙っていたほうが良かったのではないかと私は感じます。

製品・サービスにはものすごく感謝されているのに、コミュニケーション下手で損をしていてもったいないな、と思います。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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