Zwift CEOのEric Min氏がビジネスメディアBloombergとのインタビューで、利用料金の値上げと年間契約オプションを検討中であること、会社の株式公開がありうることを示唆する発言をしている、とDC Rainmakerが記事で紹介しています。
“It’s a virtual space where people come together.”
Join @timsteno as he takes a ride through the metaverse with the co-founder and co-CEO of @GoZwift and learns more about the company that’s bringing competitive cycling indoors pic.twitter.com/MiX720ljfa
— Bloomberg Quicktake (@Quicktake) February 3, 2023
出典 Zwift CEO Signals Upcoming Price Increase, Subscriber Goals, and More (DC Rainmaker)
現在の料金はもう維持できない
以下、記事からの抜粋・抄訳です。
- Zwift CEOのEric Minは現在の月額15ドルのサブスクリプション価格はあまり長いあいだ「維持できるものではない(not sustainable)」とし、同社は年間メンバーシップの導入を検討しているという
- Zwiftはインドアサイクリング界では珍しく年間メンバーシップを提供していない。またTrainerRoad, Wahoo/RGT, Peloton等は昨年頃に既に値上げしたにもかかわらず、Zwiftの料金は過去5年間変わっていない
- Zwiftは短期的な収益性を上げるよりも、サブスクライバーを長期的に増やすことを好んでいるが、現在の価格がサステイナブルではないという現実は変わらない
- 現実的にはどれくらい値上げするだろうか? 私の考えでは月額20ドルになると思う。20ドルか19.99ドルなら解約はあまり多くならないだろう。多くの人々はインフレのせいでいまこうした料金の値上げが普通になっていることを理解している
- 20ドル以上に値上げされる場合、機能面で何かが大幅に追加されない限り、Zwiftにとってはキャンセルやコミュニティの反発といったリスクが大きいだろう
- 2016年11月にZwiftが値上げした時、既存の会員には値上げされる1年前に通知していた。今回もそうなるとは限らないが、Zwiftはユーザーへのコミュニケーション面では(Stravaと違って)上手に、かつ透明にやるだろう
- BloombergとのインタビューでEric Minは、Zwiftのサブスクライバー数を80%が男性の約100万人から1000万人に増やすことを望んでおり、最終的には上場したいと考えていると語ったそうだ(ただしこれはMin氏が直接語ったことではなく、Bloombergの記事からの引用である)
- 現在はIPOを行うベストな時期ではないにせよ、事態はこれ以上悪くなりようもないとも言える。COVID後の加入者ピークの下落はもう底を打っているだろう
- Zwiftの現在のアクティブなユーザー数は増えておらず、控えめに言っても1000万人という目標は過度に楽観的すぎる。Pelotonよりも魅力あるものにプラットフォームを変更していく必要がある(Pelotonはたった5ヶ国のみで販売しているが有料会員は〜400万人。それに対しZwiftは世界中で展開している)。1000万人を目指すには、一生に一度あるかないかの機会が必要だが、それはCOVIDと呼ばれており、それはもう終わってしまった
- Zwiftが1000万人ユーザーを目標としているなら、現在の製品を根本的に考え直し、シフトすることが必要だろう
女性とマスへの訴求が鍵?
冒頭に埋め込んだTwitter動画でEric Min氏は、現在の男性80%・女性20%というユーザー比を改善するために、女性版ツール・ド・フランスへの積極的なスポンサー活動を行ったという主旨の発言もしています。結果的に女子プロロードレース界の盛り上がりに貢献していくことになりそうな気もします。そう考えると値上げとは別に、良い面もある話題ですね。
またZwiftは春になると一度解約して、冬になるとまた契約するという人も多いと思うので、年間契約オプションを出せばZwiftにとっては少しは収益改善になるのかもしれませんね。現在は全く利益が出ていない、とMin氏は話しているので、値上げは致し方ないところでしょう。
いずれにしても収益性改善・ユーザー数の増加のためには根本的に何かを変えていかなければならないようです。必然的に、マスに訴求する必要があるでしょう(昨年に行われた、機能的ではないけれどファンシーなフォントへの変更の理由はこれでしょうか)。それによってプラットフォームがどう変わっていくのか。Zwiftが大きい転換点に立っているのは間違いなさそうです。