CXWXCのハンドルカバー(モデルCX-003R・ドロップハンドル用)を購入しました。使用はまだ1日ですが、極寒の今こそ導入を検討されている方も多いと思うので、ひとまず第一印象をご紹介します。結論から書くと、気温2度の強風下で40km程度使ってみたところ、前評判通りに非常に良いものだと思いました。
基本的なスペック
外観はご覧の通り、ドロップバー両端を上下に覆うボッテリとしたカウルのような形状です。この製品の元祖は「バーミッツ」という有名なもので、本製品はその類似品・廉価版に該当します。なお本家バーミッツ及び「マルト」にはドロップバーの下ハンも握れるタイプが存在しますが、CXWXCのこのカバーで握れるのは上ハンのみです。
表面素材は風と冷気を遮断するネオプレン。加えて広い内部の化繊中綿が手から発生した熱を大量のデッドエアとして保持する、という構造になっています。ウィンドブレーカーと中綿ジャケットの2枚重ね、と同様の機能になるため、原理的にこれで暖かくないわけがありません。手それ自体の熱源で暖めてくれる「こたつ」のようなもの、とも言えるでしょう。
ガチ使用前に調整と慣らしを忘れずに
装着方法は非常にシンプル。口の広い側からバーエンドに差し込んでいき、カバー両端をベルクロストラップで固定します。注意点として、ブリフターからワイヤーが外に飛び出しているようなシマノの旧型STIでは使えません。ケーブルがハンドルに沿っているものや内装式なら大丈夫。ただし油圧ディスク用ブリフター等、先端部が大きいものは注意が必要とされています。
筆者は使い始め、ブラケットを握った時に窮屈に感じたので「おや?」と思ったのですが、カバーを上下に動かしてみたところ、自分にとって「良い具合」の位置を探り当てられました。
装着後はいきなりガチ走りはせず、手を動かしやすい・ブレーキレバーを操作しやすい固定位置を探ったほうが良いです。ブレーキレバーへのアクセスはブラケット上からのみ、ということもあり、初回使用時は十分な慣らし運転が必要だと思います(無意識にフラットバー部を握っていると急制動時に手をカバーに入れるのが遅れることもありえます)。
内部にはシフターを横方向に動かすための十分なスペースがあります。が、ブラケットの「ツノ」の上はものすごく余裕があるわけではないため、確かにリザーバータンクの大きいレバーでは現物合わせが必要かもしれません。内部は超タイトではないもののブカブカでもない、という感じです。
「素手でも使える」は本当か
このバーミッツタイプのハンドルカバーについては、夏用・秋春用の薄手のグローブで使えるのは勿論、厳冬期に素手でも使える、という声を以前から耳にしていました。というわけでこの日は薄手の夏用フルフィンガーグローブで出発(心配だったので厳冬期用グローブも持参しました…が、結局は出番なし!)。
筆者の初回使用時は気温2〜3度で、それだけでも十分な寒さでしたが、風が非常に強い日で体感温度は-3〜-5度予想。ときおり風に吹き飛ばされそうになりながら、東京湾沿いや荒川沿いのサイクリングコースを走りました。このカバーを試すにはうってつけの日です。
走行中、夏用グローブで冷たさを感じることは全くなく、まず普通に驚きました。次に「でもなぁ、素手でも行ける、っていうのはさすがに大袈裟じゃないの」といぶかりながら素手でも乗り続けたところ、おぉ、嘘じゃない、確かに行けるw 手の熱とデッドエアでこれだけの保温効果を得られるのか、と感動。
私はクッション性のためにグローブは必要ですが、素手で握るのが好きな方でも手首から先が冷たく感じることはないのでは、と思います(ライド中に限って言えば。あと肌触りも良好)。信号待ちで停車中にカバーから手を出すとすぐに指先が痛くなっても、手を戻せばコタツのようにホカホカ状態。冷たいのは顔だけ!
構造的に通気性は皆無であるものの、手全体と密着しているわけではないため、ネオプレンのグローブをハメっぱなしにしているような蒸れもこの日は感じず(ヒルクライムなら人によっては蒸れるのかも。あと気温5度以上だとオーバースペックになりそうではあります)。
厳冬期での使用が微妙な感じの春秋用グローブを積極的に活用できる点も利点です。薄手のグローブのほうがやはり何かと便利ですし、ライド自体のダイレクト感も楽しめます(バイクから離れて散歩するような時は手が冷えるかもしれませんが)。頻繁に写真を撮るような場合も、大変便利なものですね。
▼ CXWXCのハンドルカバー。ドロップハンドル対応の「CX-003R(本記事で紹介しているもの)」とフラットバー・アップハンドルバー対応「CX-003M」の2タイプがあります。
下ハンを握りたい方には
強いて欠点を挙げるのなら(とは言え製品の仕様ですが)、やはり下ハンが持てないところ。フラットバー部は握れます。下ハンは、バーエンド寄りに手を添えること自体は可能で、外側からブレーキレバーを抱え込むように作動させることは、可能といえば可能です。しかし安全面を考慮すると、行うべきではないでしょう。
下ハンも積極的に使いたい方は、本家バーミッツの「デュアルミッツ」かマルトの製品も選択肢に入れたほうが良いでしょう。
▼ 本家バーミッツとマルトには下ハンも握れるタイプがあります。本家バーミッツの評価は当然非常に高いのですが、流通量が少ないのがややネック。また、どちらもCXWXC製品に比べると高価です。
というわけで、まだ使い始めたばかりではありますが、第一印象は非常に良いですね。存在感がありすぎて今までなんとなく手を出していなかったのですが、薄手のグローブを使える分、ボテッとした見た目とは裏腹にライド時のダイレクト感はこちらのほうが高く感じます。
欠点のところで書き忘れましたが、重さは少し気になります(実測でペア294g。ハンドリングには少し影響が出るのと、横風に煽られやすいのでやや注意が必要)。しかし手に冷たさは感じたくない・分厚いグローブでハンドルを握るのは好きではない、という方にとっては、非常に良い選択肢になるのではないかと思います。