自転車キャンプツーリングで「DOD ライダーズワンポールテント」を使いはじめて1年ほど経過するので、使用感をお伝えします。
最初にざっくりまとめると、雨漏り対策として下ごしらえが必要であり、ある程度の重量はあるものの(グランドシートなしで約2.5kg)、設営と撤収が超簡単、スペースが広くて自転車によっては中に入れることもできるので、自転車キャンツーとの親和性が非常に高い製品ではないかと感じています。
かんたん設営・ひろびろ空間
とにかく設営が簡単です。五角形のアウターを広げて、地面上でピシッとしたきれいな五角形に整形しながら5ヵ所をペグダウン。そこでテントの中に入り、付属のポールをテンションをかけながら立てるだけで基本的には完成です(きれいに五角形にペグダウンできていれば、ちょうど良いテンションでポールが立ちます)。
インナーシートはテントのちょうど半分くらいを占める広さです。アウター(フライシート)の内側にあるリングと接続し、隅っこをアウターのペグに引っ掛けます(1ヵ所だけ、個別にペグを打ちます。全部内側で作業できます)。中は広々。人間一人が寝て、さらにパニアバッグ3個は置ける広さです。
下のように、インナーテントを使わずにフライシートだけで運用するのも勿論ありです。ただしスカート(=テントと地面の間の隙間を塞ぐように垂らせるカーテンのようなパーツ)がないので、雨や砂が吹き込んでくることがあります。あと寝ていて目を開けると猫がいたりします(まあそれが楽しいところなのですけれども。ただし食料保管に注意する必要があります)。
下はコットと組み合わせた時の様子です。こうするとインナーテントを使う時よりも開放感が大きく、動きもより自由になるのでかなり気に入っています。虫が少ない季節、かつ厳冬期でない時の楽しみ方ですけれども。
▼ このコットを使っています。これもコスパが良くて非常におすすめ。
てっぺんのランタンフックはハンガー代わりに使ったりもできて、便利です。
前庭を作れる
入口のドアは両サイドのジッパーを開くことで、庇(キャノピー)のように使えます。これをやるためのポールとガイロープは自前で用意する必要がありますが、タープっぽく使えるようになります。
▼ 私がこの目的で使っているポールはFIELDOORのアルミテントポール。価格と重さのバランスが良い製品です。
キャノピーは片側だけポール1本で立てると目隠しのようにセットすることもできます。キャノピー用のポールは1本だけ持っていくことが多くなりました。
▼ ヘリノックスのグラウンドチェアとの相性も素晴らしく良いです。
少し引きのショットで見ると、こんな姿をしています。
キャノピーを使うと、雨天でも小規模な焚き火なら濡れずに楽しめます。ミニタープという感じです。タープは個別に持っていくと結構な重量になることがあり、それを考えるとこのワンポールテントが2.5kgだったとしても「全然OK」な重量だと感じます。
あとは何といっても、車種にもよりますが必要なら自転車も中に入れられるのが良いです。その場合自転車にはスタンドがあったほうがいいですし、サドルも下げたりと少し工夫は必要ですが、雨に濡らしたくない場合は便利。700Cのバイクでもフロントホイールだけ外すなどすればまず入ります(するとスタンドも不要)。
このワンポールテントには専用のグランドシートも別売りで用意されています。下の製品です。これがあるとフライシートのペグダウンがさらに簡単になり、テント内の裸の地面のところに置いたものが濡れにくくなって便利なのですが、重くなるので私は結局買いませんでした。今でも、なくても困っていません。ただグランドシートなしで運用する場合、バッグ類は防水のものにしておいたほうが良いでしょう(地べたに置くと露で濡れます)。
雨漏り対策は必須です
設営も撤収も簡単だし、広々としていて高さもあって中で着替えもしやすいし、自転車も入れられる、そしてお手頃価格… これはほとんど隙のない製品じゃないか、と思っていたのですが、ちょうど1年目くらいのことだったと思います、暴風雨の時に雨漏りしました。濡れたコットをBuffで拭き、フライパンで雨を受け止めました。ダウンの寝袋が濡れなかったのは不幸中の幸いでした。
フライシートのドアを束ねたり、インナーシートと連結するためのこのリングから毛細管現象で水滴が落ちてきていました。フライのシーム(縫い目)から水が滲みて、それがこのリングまで達してポタポタと落ちてきていたのです。テントの中で2ヵ所ありました。
実はこの製品が雨に弱いということは購入前からAmazonのカスタマーレビューを読んで知っていたので、買ってまもなく「シームグリップ」という製品で縫い目を補強していました。しかしそれでも、1年経ってついに雨漏りした、という次第です。私が他に使っているテントは、NatureHikeのような安価な製品でも雨漏りを経験したことはないので、これはこのテントの大きい欠点だと思います。
しかしこの雨漏りの後、シームグリップで再度補強して、さらにLOCTITEの超強力防水スプレーで撥水加工をやり直してからは、暴風雨でも雨漏りはしなくなりました。こういう手間をかけるのが嫌でない方であれば、このワンポールテントはおすすめできます。初回設営時にこの作業をやっておくと後々助かることでしょう。
コスパ最高
非常にバランスが良い製品だと思います。1.5万円前後の実勢価格は安いと思いますし、2.5kgという重量は、登山・ハイキングの世界では激重の部類に入るのですが、自転車ツーリングであれば全く気にならないレベルです(私の場合ですけれども)。秋春の虫が少ない季節は、インナーテントを省略すれば約700g軽くもできます。
シンプルでミニマル。テント設営経験のない方でも、直感的に苦労せずに張れると思います。テントの中でも窮屈な思いをすることなく、のびのびと過ごしたい。ゆるふわ自転車キャンツーを楽しみたい。という方には私はおすすめします。
欠点は先にも書いたように、防水処理がいまひとつの状態で出荷されているようなので、自分で補強する必要があるところ、あとポールは分解した時でもある程度の長さがあるところです(ちょうど50cmあります)。バイクパッキングというよりは、パニアバッグなど荷物多めのバイシクルツーリングを楽しむ方向けのテントと言えるかもしれません。雨漏りの件を差し引いて、トータル4つ星の評価としておきます。