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チューブレスバルブのタイプと選び方

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チューブレスホイールのバルブには様々な形状のものがあり、どれを選べば良いのか悩みます。ホイールに付属するメーカー純正バルブがあればそれを使うのが一番ですが、チューブドで使用していたチューブレスレディのホイールを新たにチューブレス化する時、自前での調達を迫られる場合があります。そんな時、何をどのように選べば良いのか? この記事では筆者の体験談をもとに考察します。

チューブレスホイールのバルブ形状は大きく分けて2つ

チューブレスホイールのバルブ形状には大きくわけて2つあると言って良いと考えます。1つは、下の画像左側のタイプ。これを「角型」と呼ぶことにします。写真のCrankbrothersのものは「かまぼこ型」で、真上から見ると正方形ですが、かまぼこ型で長方形のものあります。Mavicの角型は「台形」と言って良いようなシェイプです。メーカーによっては「コンビーフの缶」的な形状の巨大な台形のものもあります。

チューブレスバルブのタイプと選び方

一方、右のStan’s NoTubesの製品は「円錐型」。真上から見ると、まるい形状をしています。サイクルスポーツ2019年2月号の「チューブレスタイヤ運用術」(p.82)によれば、リムの溝が平面に近いものには「円錐形」のタイプが合い、角度がきついものには「俵型」が向く、とあります。「俵型」は上のCrankbrothersの「かまぼこ型」に近い形状です。理由は書かれていませんが、気密性を確保できる、という理屈からでしょう。

Mavic純正の角型バルブ

何が何に合うのか。実際に試してみましょう。これはMavic Cosmic Elite UST(チューブドで納品されたもの)に付属していた同社の純正チューブレスバルブです。バルブ本体、Oリング、ナット、シュレーダー変換アダプター、キャップやコアリムーバーが付属していました。バルブの形状は「角型」です。

チューブレスバルブのタイプと選び方

しかしこのCosmic Elite USTの溝(グルーブ)は、平面というよりも両端の角度がきついタイプです。サイスポの記事でも「俵型が向く」とあるので、このシェイプが合うことになります(俵というほど大きくはないのですが)。実際に先端を少しハメてみるとこんな感じになります。

チューブレスバルブのタイプと選び方

奥まで押しこみます。なるほどバルブホールまわりはいい感じに密閉されたように見えます。さすが純正といったところです。

チューブレスバルブのタイプと選び方

ところでチューブレスバルブはクリンチャーのチューブと違い、リムから出た部分にOリングをはめ、バルブナットで締めこむ必要があります。これをやらないと空気が漏れます。が、しかし。このバルブ、純正付属品だというのに長さが足りないw ポンプをかませられるかどうか以前に、ナット溝が出ていないのでアウトです。

チューブレスバルブのタイプと選び方

Crankbrothersのバルブ

さあ困った。これでメーカー純正バルブを利用できない人の立場になりました。工具箱の中を探すと、なぜかCrankbrothersのチューブレスバルブがありました。Mavicのものより少し長いです。形状は立派な俵型。これならいけるかもしれない。

チューブレスバルブのタイプと選び方

軽く差しこんでみます。見た感じ、大丈夫そうです。

チューブレスバルブのタイプと選び方

奥まで押しこみます。俵の下にやや無駄な空間ができていますが、よく観察するとバルブホールまわりは問題なく密閉されているように見えます。これは恐らく問題なく仕事をしてくれると思います。

チューブレスバルブのタイプと選び方

このバルブにはゴムOリングが付属していなかったので、Mavic付属のものを使います。その上にナット。溝が出ているので締めこめる…のですが、バルブの出代があまりにも短すぎるので、これではポンプヘッドをかませることができません。またまた困ったぞ。ではエクステンダーをかませるか、と思ったのですが、ここでざんねんな瞬間が訪れます。バルブコアが外せないタイプだった…

チューブレスバルブのタイプと選び方

Stan’s Notubes Universal 44mm Tubeless Road Valve Stem

というわけで新たにバルブを物色してみます。amazonを探していたらStan’s Notubes Universal 44mm Tubeless Road Valve Stemという製品がわりと評判が良いようです。ただこいつは「丸型」なので、若干不安はありました。サイスポの記事によるとこれはもっとリム溝がフラットなものに向くそうです。でも試してみましょう。

チューブレスバルブのタイプと選び方

一応重量を量ります。2本で17gです(Oリングなし)。Mavicのものも同じ構成(Oリングなし)で計測したら10gでした。ロングバルブのぶん重くなっていますが普通です。あとこの製品、amazonでは真鍮の画像ですが届いたものはご覧の通りアルミでした。モデルチェンジしたようです。

チューブレスバルブのタイプと選び方

奥までハメてみます。観察してみると、シーリングはまったく問題ないように見えます。

チューブレスバルブのタイプと選び方

真上から見たところ。n1njaさんのCBNレビューによれば、何度も抜き差ししたりきつく締めすぎたりするとゴムが変形する場合があるらしいので注意。なお私は締める際に工具は使いません。

チューブレスバルブのタイプと選び方

さて、Cosmic Elite USTは30mmリムハイトですが、NoTubesの44mmバルブでこれくらい頭が出てくれました。やや短めに見えますが、なんとかなりそうです。

チューブレスバルブのタイプと選び方

ヒラメのポンプヘッドをかませます。大丈夫、バッチリです。過不足のない長さ。空気もちゃんと入ります。そして漏れません。

チューブレスバルブのタイプと選び方

結論

自分でやってみて思ったのは、たしかにリムの溝が平面に近いなら丸型、逆三角形に近い角度のきついものであれば角型(俵型)という原則は論理的ではあるものの、このMavicのリムのように角度がきつくても、NoTubesの丸型バルブは問題なくインストール可能で、以後も空気漏れは発生していません。

結局のところ「現物合わせ」にはなると思いますが、今回私が使ったNoTubesの丸型バルブはn1njaさんもレビューで書かれているように「まずはこれ」という感じがするものでした。入手性も良いです(Mavic純正などはあまり流通していません)。

要するに自分のリムのバルブ穴をどれだけぴったりと覆い隠せるか、バルブナットを締めた時にどれだけゴムが密着してくれるかが肝心。その意味でサードパーティ製を選ぶ時は、バルブの形状と自分のリムの溝の形状をじっくり観察し、合いそうなものなら一般原則と違っていても試してみる、というのがいちばんかなと思いました。

最後に。チューブレスのバルブではOリングが必須ですが、NoTubesのバルブには付属していないのでそこだけ注意。自前で用意しておく必要があります。バルブの長さと、バルブコアが外れるタイプかどうかのチェックもお忘れなく(NoTubesは外れます)。

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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