よみもの

自転車ショップが繁栄するための8つの接客方法

CBN BlogはAmazonアソシエイトとして適格販売により紹介料を得て、良質なコンテンツの作成とサイト運営のために役立てています。当サイト内のリンク経由で Amazonにてお買い物 していただくと、大変助かります。いつもご支援ありがとうございます

Bicycle Retailerに、Outspoken CyclistのポッドキャスターDiane Jenksが寄稿しています。ショップで40年以上勤務した経験のある女性だそうですが、自転車ショップのカスタマーサービスを向上させるための簡単な8つの方法が紹介されています。

出典 Opinion: Follow these simple steps to enhance customer service

北米では半数近くの人が「ショップに行くのをやめた」という統計結果

この投稿の背景になっているのは、先日大変話題になったBicycling Magazineでの”Hey, Bike Shops: Stop Treating Customers Like Garbage“(自転車ショップよ、客をゴミのようにあしらうのはやめるんだ)という特集記事のようです。

a bike shop

これは非常に長い記事なので本記事では紹介しませんが、ざっくり言うと北米ではバイクショップを訪れた人の60%以上が「嫌な経験をした」と回答し、アンケート回答者のうち56%の女性と44%の男性が「ショップに行くこと自体をやめた」とも回答しています。

ショップに行くのをやめた人は当然オンラインショップ、通販の世界に向かいます。北米ではこのせいもあってか、自転車店の数がどんどん減ってきているそうです。

シンプルで簡単で効果が証明されている8つの接客方法

Jenks氏は記事で以下の8つの接客方法を紹介しています。

  1. 店に入ってくる人は誰でも笑顔と感謝(acknowledgment)をもって挨拶しましょう。他のお客さんの相手をしている時でも、ただ視線を向けて微笑み、彼らがそこにいることに気付いていること、ご来店ありがとうという気持ちを示すだけで第一印象に大きい違いが生まれます
  2. 新しいお客さんには「今日は何でしょうか?(何かお探しでしょうか)※原文は”Can I help you?”」とは聞かないこと。かわりにこう言いましょう。「本日はご来店ありがとうございます。私の名前は…です。何か必要な時はお声がけください」あるいは「今日何か特別にお探しのものはありますか?」という感じで話しかけましょう。その後、カスタマーに答えさせます。 反応がない場合はその場から離れ、定期的に様子を見にくるようにします
  3. お客さんには直接的に話しかけます。彼らの名前を聞き、話をする時は顔を見て微笑みましょう
  4. お客さんに話をさせましょう。話を遮ってはいけません。また、見下したような喋り方をしないこと、自分が知っていることを自慢しないこと。あなたは店員であり、お客さんを助ける立場にあるのですから、あなたが物知りであるのは当たり前のことです
  5. お客さんが言おうとしていることに興味を持ちましょう。自分の考えを押し付けようとしてはいけません。アドバイスを求められたら、何を売りたいかを考えるのではなく、お客さんが何を必要としているのかを確実に理解するようにしましょう
  6. お客さんに「購入する機会」を与えましょう。これは「売る」こととは別の視点です。良いもの、より良いもの、最高のもの(という3つの選択肢)。例:ヘルメットなら、$40のもの、$60のもの、$100のもの。これらの選択肢について明確に説明します。大部分の人は価格を見れば「より良いもの」を選択するでしょう。これはアップセリングに繋がります
  7. 常にお客さんを助けましょう。ドアを開き、(お客さんが出るまで)開いておきましょう。クルマからバイクを下ろしましょうかとか、持っていきましょうかと申し出ましょう
  8. どんな人でも歓迎しましょう。選民主義的(elitist)であってはいけません。お客さんに敬意を払い、興味を示すことでお客さんをあなたの店のアンバサダーにしましょう

やるのはタダ、やらなければ損に

Jenks氏は次のようにも語っています。

これらの行為はどれも新しいものではなく、お金もまったくかかりません。

しかしこれらのことをしないのなら、お客が減り評判が落ちるので収益は減るでしょう。

また、これらはどれもショップオーナーや店長からはじまるものです。接客の例を自らが示しましょう。言葉で示すよりも行為で示したほうがずっと効果的です。

文化の差もあるので、上の8つの方法すべてを日本のショップですぐにやれるかというと難しいものもあるかもしれません。例えば「名前で呼ぶ」という文化は日本ではあまり馴染みがないかもしれません。

ただ大切なのは、この例で言えば「名前で呼ぶ」という行為の裏側にある発想であり、本質です。その本質を理解できたら、いかようにも日本的にアレンジして発展させることは可能でしょう。

また上で述べられている8つの接客法は、自転車店に限らずあらゆる小売店で有効なものだと思います。

私自身の経験を思い出してみても、やはりお店に入った時にニコッと笑っていらっしゃいませー、と言ってくれるところはそれだけで気持ちが良いです。

あと特に何か欲しいものがあるわけではなく、「たまたまおもしろいものを発見したら買おう」という気持ちでやってきている時は「今日は何をお探しですか?」という接客は時に重すぎたりします。何故なら「いえ、特に何か探しているわけではありません」とは「冷やかし」と思われそうで、言いにくいからです。

常連客 vs. 新規顧客

個人的にいちばん嫌な思いをしたのは「常連さんを最優先する」ショップでした。

相当むかしの話なのですが、ある有名な小径車ショップに行った時、店員さんをつかまえて相談をはじめました。「実はこうこうこうで、こういうことを聞きたいんですが…」と、そこまで話した時、店に常連客と思われる3人組が来店。すると店員さん、私との話を終わらせ、

おお〜元気? どうしたの? うん、うん、あそうなの? …

と会話を開始。そして彼らへの接客がはじまります。5分待っても10分待ってもそれが終わらないので、帰った思い出があります。勿論その店には2度と足を運んでいません(笑)。

勿論、常連客だけでショップ経営が成立している、これからも成立し続けるのであれば上で紹介したような接客方法を取り入れる必要はないのかもしれません。

東京上野のモーターサイクル街はそのようにして滅びた、という話を聞きますが、果たして自転車ショップはどうなっていくのか、気になるところです。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

マスターをフォローする
タイトルとURLをコピーしました