SENSAH EMPIRE PRO 2×12は12スピードのロード用コンポーネント。11スピードのシマノハブにそのままぶちこめる12スピードカセットと、SRAMタイプのシフト・ブレーキレバー、リアディレイラー・フロントディレイラー、そして12スピードチェーンのセットで¥32,980(記事執筆時)というウルトラ低価格で大変話題です。
つい数日前にamazonでの発売が開始されたばかりのこのコンポーネントをSensah Smart Sports Equipment社よりご提供いただいたので、CBN Blogでは今後数回にわけて製品レビュー記事を掲載します。
第1回は実物外観やスペックなどを軽くチェックしていきましょう。
開封の儀
それでは早速箱を開けてまいります。SENSAH – SHIFTED THINKINGと書かれています。思考をシフトする、というキャッチコピー、なかなかカッコいいと思います。
ジャーン! これは立派だー! 中身が動かないようにちゃんと発泡フォームで保護されています。
マニュアルも1枚入っていました。片側が英語で、片側が日本語ですが、ぱっと見た感じ英語のほうがわかりやすいと思います(笑)。でも日本語を用意してくれているだけでも嬉しいですね。インストールのセットアップや留意点については続編記事で見ていきます(と言っても、特にこれでハマったー! ということはありませんでした。調整作業は丁寧にやらないといけないけど)。
これから買う人は、ブレーキインナーx2と各種アウターを用意しておきましょう。リアディレイラー側で使うアウターはシマノよりも長めのものが必要になるので、ストックがない方は仕入れておきましょう。
工具は、普通のヘックスレンチとプラスドライバー、シマノ・スラム用のスプロケット工具があればOKです。
カセットスプロケット
これが注目の12スピード・カセットスプロケットです。SRAM XDドライバーもシマノのマイクロスプラインハブも必要なし。シマノの11スピードのカセットが使えているハブにポン付けできます。この使いやすさが最大の魅力の1つですね。ロックリングにはSUNSHINE-SZと書かれています。SUNSHINEは中国の深圳市にあるメーカー。ちなみにSENSAH社は同じ広東省の佛山市に本拠があるようです。
11-34Tのワイドレンジで、歯数構成は11-12-13-14-17-19-21-23-25-28-31-34。トップ側4枚がクロスレシオ、17〜25までは2T差、25〜34までは3T差です。今回はフロントダブルで組んでみますが、11スピードのフロントシングルでも使いたくなるカセットです。バラ売りしてほしい…
13〜34Tまでの10枚はバラせない構造です。
いや〜、立派ですね。これは期待が持てます。
STI(というかブリフター)
次にSTIを見ていきましょう。というかSTIというのは本来”Shimano Total Integration”の略なので他社製品に使ってはいけない言葉ですね。英語圏では”Brifter”(ブリフター)と呼ばれたりしますが、日本では一般的な言葉ではありません。シフト兼ブレーキレバー。
このカーボン柄が10スピードの頃までのカンパニョーロ・エルゴパワーを彷彿とさせます。形状はR8000 UltegraのSTIによく似ていて、サイズ感もほぼ同じ。ただブラケット部はSENSAHのほうがやや細めで、手が小さい人には良さそうです。
内部メカ。ダブルタップです。SENSAHはもともとSRAMに在籍していた技術者が立ち上げたブランドと聞いています。このシフターも、見た目はシマノっぽいのですが動作はSRAMという面白いことになっています。リアは軽く押すとシフトアップ(重くなる)、ストローク長めに押すとシフトダウン(軽くなる)、という動きです。
シフトワイヤーが最初から取り付けられた状態で出荷されているようです。何気にありがたい。タイコがわかりにくい部分にあることからの配慮でしょうか。
色の選びかたがSRAMやFSAのようですが、なかなかカッコいいです。日本での初回ロット・限定10セットは特別価格の29,800円で売り出されていましたが、これコミコミで3万円ってホントにいいのか… 試乗はこれからですが、これで性能が良くて耐久性もあったらシマノやばいんじゃないですか。
これは勝負かけてきた製品ですね。
リアディレイラー
リアディレイラーです。これは組み付けてからでないと様子がよくわかりませんね。詳細は次回。とりあえずバッチリ動いてます。
リミットスクリューやBテンションスクリューはヘックスレンチで調整します。バレルアジャスターは最近のシマノの105以上に付いている引っ張って回すタイプ。
ここはあえてシマノの真似しなくても良いだろう… と思ったのですが、回してみた感じ、とりあえず空転もなく問題なさそうです。ちなみにシマノのバレルアジャスターも最近は空転しないようにひっそりとマイナーチェンジされたそうです。SENSAHのこれも改良版っぽい感じがします。いまのところ問題なし。
質感はすごくいいです。
なんかプーリーでかくないですか。ロワープーリーは13T。アッパーが11T。
やっぱりプーリー大きい。13Tというと、12スピードのXTRや11スピードのGRXと同じです。
フロントディレイラー
こちらはフロントディレイラー。SENSAHの過去のコンポの使用感をいろいろ読んでいるとフロントディレイラーの動きがいまひとつ、という意見をよく目にするのですが、開発者の方によるとこのEMPIRE PROでは改善されたという話です。トリムもちゃんとできるらしい。このあたりは実走編でレポートします。
ハイ・ローのリミット調整はプライスドライバーです。ワイヤリングは最近のシマノのフロントディレイラーよりも簡単そうです。R8000とかなんであんなややこしいものになってしまったんだろう…
チェーン
12スピードのチェーンが付属します。メーカーはYBN(Yaban)。これは台湾の台南市にあるメーカー。幅5.25mm。SRAM Eagleなどと同じです。ミッシングリンク付きです。シマノ・スラム・カンパの12スピードと互換性があります。
実測重量
以下、各パーツの実測重量です。シフターは付属のシフトワイヤー込み、カセットはプラパーツなし・ロックリング込みの重量です。
シフター | 463g |
---|---|
カセット | 387g |
リアディレイラー | 196g |
フロントディレイラー | 96g |
チェーン | 276g |
合計 | 1418g |
ちょっとシマノのR8000アルテグラと比べてみましょう。リアディレイラーはミディアムケージを、カセットは11-34Tを比較対象にしてあります。
SENSAH EMPIRE PRO | SHIMANO R8000 ULTEGRA | |
---|---|---|
シフター | 463g | 438g |
カセット | 387g | 335g(11-34T) |
リアディレイラー | 196g | 210g(GS) |
フロントディレイラー | 96g | 92g |
チェーン | 276g | 257g |
合計 | 1418g | 1332g |
リアディレイラーがだいぶ軽いですね。総重量の差は86gなので、かなり頑張っているんじゃないでしょうか。シフトワイヤーの分を差し引くとここからさらにマイナス10gは余裕です。
と、今回の記事ではここまで。次回は実際に組み付けてみて、セットアップ時に気付いたことや使用感についてレポートする予定です。
ちょっとだけネタバレしておくと、Ultegra R8000で組んであるバイクのクランクとブレーキ以外をこのSENSAH EMPIRE PROに交換したところ、大きい問題は発生せずに使える感じです。詳細は後日。
▼ 追記:リアの変速の様子を動画で撮ってみました。
このSENSAH EMPIRE PRO 2×12、初回ロット10セットは瞬殺で売り切れてしまいましたが、現在amazonに再入荷中です。前回買い逃した方はお早めにどうぞ。とりあえず破格なのは間違いないです。
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