よみもの

タルタルーガやパシフィックのReachが気になって仕方ない俺の物欲を破壊するために、ブロンプトンで本栖湖方面に向かった結果。

CBN BlogはAmazonアソシエイトとして適格販売により紹介料を得て、良質なコンテンツの作成とサイト運営のために役立てています。当サイト内のリンク経由で Amazonにてお買い物 していただくと、大変助かります。ご支援ありがとうございます

行く手に危機が待ち受けようと、心の守るものあるならば、たとえ己の命尽きるとも、体を張って守り通す。人、それを『男』と言う!お前たちに名乗る名前は無…すみません、すみません! CBN Blog 駄文担当、nadokazuです。

「畳みやすさ」と「コンパクトさ」で、最強レベルの輪行性能を誇る、英国製折り畳み自転車「ブロンプトン」は最高です。

ブロンプトン

そして新幹線1座席分の横幅にも収まるぐらいコンパクトに折り畳める(ただし非公式)のに、ミニベロとは思えない走行性能を誇る、うどん県メイドの折り畳みミニベロロード「Tyrell FX」も最高です。

Tyrell FX

「天城峠を超える」という地獄体験の果てに、「東海道新幹線輪行+ルート上に坂がある」という条件のライドなら、ホイールを外して超コンパクト状態にしたTyrell FXで逝くしかない!という結論に達しているのですが、

  • ホイール外しはメーカー公式の折り畳み方ではない。

という事実に直面してしまい、メーカー公式の折り畳み方法に則っても、超コンパクトな輪行状態に変形できて、フロントが変速可能(ここ最重要)なモデル。つまり、「タルタルーガ」や「Pacific Reach」が気になって仕方ありません。

▼ホイール外しで折り畳んだTyrell FX。超コンパクトになるけどメーカー非公式。

Tyrell FX

しかし、落ち着いて考えてみましょう。その幻想が、現実になったらどうなるかを。ただでさえ崩壊の瀬戸際にある家計は、一気に瓦解。自転車どころでは無くなってしまうでしょう。やはりそんな危険すぎる幻想は、この右手でぶち壊してやらないといけません。

では、どうすれば…?

本稿は、この無理難題に無茶な理屈で無謀に挑み、案の定玉砕に至るまでを無駄な文字数使って書き殴ったものです。

「ブロンプトンで登坂、やっぱキツイです」以上の内容はございませんので、あとは以下略。

小径沼の脅威

新幹線輪行したライド先に坂があっても、Tyrell FXがあれば大丈夫!

▼うどん県メイドの折り畳みミニベロロード、Tyrell FX

Tyrell FX

そんな当然の帰結を証明するはずだったのに、いざ走り終わったら「前後輪を外したTyrell FXぐらいのコンパクトさを公式の畳み方で実現できて、フロントも変速できるドロップハンドルの折り畳み自転車が欲しい!欲しすぎる…!」という新たな物欲に取り憑かれてしまいました。

こ、これが、小径沼…おそろしい子!!

それからというもの、

パシフィックのReachをフレームセットで購入して、フィジークのカーボンハンドルとカーボンシートポスト、TOKENセラミックハブでアレックスリムの手組みホイール、アルテグラのクランクとチェーンリング、シフターとディレイラーはやっぱりSRAM RED eTap!

▼Pacific Reach R20

Pacific Reach R20

とか

上位グレードのホイールを履いたタルタルさんのフラットバーモデルを買って、フロント2速化とドロップ化で高コスパカスタム!

▼Tartaruga Type SPORT GT

Tartaruga Type SPORT GT

…などという、危険過ぎるにもほどがある妄想が捗りまくりです。

物欲破壊命令

自転車について何の知識も才能も感性も持っていない、へっぽこサイクリストである自分。サイクリストとして、皆さんより優れているところは一欠片もありません。

ですが、物欲に対する脆弱性の高さにだけは、もう絶大な自信があります。

このままだといつ手を滑らせて外泊証明だと思っていた売買契約書にサインをしてしまうか、わかったものではありません(ブロンプトンという前科もあることですし)。なので、こんな妄想はくさいニオイと同様に、素早く元から断つ必要があります。

思い返してみると、こんな物欲が湧き上がっている原因は「ブロンプトンの走行性能で、登坂があるルートを選ぶと生命の危険が伴う(※個人の感想です)」という危惧からです。

▼ブロンプトンで登坂は危険。

ブロンプトン

ということは「ブロンプトンだって、坂があろうが走行距離が長かろうが、問題なく走破可能!」ということを証明できれば、このFD装備折り畳みミニベロロード物欲は爆散するに違いありません!

そんな思いを抱きながら、グダグダとネットサーフィン(死語)していると、

激坂を「敢えて」折り畳みミニベロで登坂する

という方々が、多くいらっしゃることを知りました。なんと無ぼ…素晴らしいチャレンジスピリットでしょう…!

収集した情報を整理すると、激坂を「敢えて」折り畳みミニベロで登る方々は、富士五湖のひとつである本栖湖を目的地にされているようです。

そんなわけで先逹の方々にならって、本栖湖を目指すことにしました。これで「ブロンプトンだって、コースに坂があろうが問題なく走破可能!」ということを証明して、物欲を完膚なきまでに破壊できるはずです。

ちなみに正式な出発地点は、身延線の甲斐常葉駅が最寄の「常幸院」というお寺さんとのこと。

なんですが「大量のキャンプ道具を積載しないで走るなら、南部町(最寄駅は身延線の内船駅)から出発すべきだろ!」という謎の毒電波によって脳を強制制御されてしまったので、自分の意思とは関係なく無駄に走行距離が増えています。

え?聖地△?すみません、よくわからないですぅー。

フルーツパークに散る!

というわけで、「山梨県の南部町を出発して本栖湖を経由したあと、温泉に入って温玉揚げを食す」という走行距離84.76 km、獲得標高1,772mのライドに出かけてみました。

ほったらかし温泉

これをブロンプトンで走り切れれば、その走破力を証明して物欲を退散できます。間違いありません!

で、結論から申し上げます。

たたでさえ坂がイヤで、そもそも脚力がへっぽこなのに、選べるギアが不足気味に感じるブロンプトンでそんなコースに向かうとどうなるか。

本栖湖までは限界ギリギリで耐えられる範囲だったのですが、そこまでの登坂で脚を完全に使い切ってしまいました。

あとの行程は、もはやただの苦行。しかも笛吹川沿いの平坦パートで猛烈な向かい風に晒された挙げ句、脚売り切れ状態のままでフルーツパークに向かう最後の登坂に突入する羽目になりました。

あたりまえのように途中で完全に力尽きて、あとは絶望の押し歩きです。気力体力思考力のすべてを喪失し、成れ果てと化しました。

というわけで、

「へっぽこ脚の自分が、ブロンプトンで坂ありルートに向かうと完全敗北して生命の危機に瀕する」

という危惧が、危惧でもなんでもなくって、一切の否定要素が無い完全無欠の真実であることを思いっきり証明してしまいました。

KPAさん策定のルールに基づけば、坂での押し歩きは「一つ、士道不覚悟、切腹よ!」です。

坂嫌いな私がクロスレシオなフロントシングルロードに乗っている理由
昨年夏に愛車をフロントシングル(1x)化しました(紹介記事をCBNブログに投稿しております。写真下にリンクあり)。ギアは前40t・後11-30tという構成です。 一般的にはロー側のギア比がきつくなるのを防ぐため、スプロ...

(※勝手に切り取ったうえに、拡大解釈&曲解しまくっています)

…サヨナラ!!!(爆散)

おしまい(色々な意味で)。

すみません、あとは、本当にチラシの裏の落書きです。

ブロンプトン身延に立つ!

3時50分に起床して、川崎駅まで自走。4時45分発の東海道線に乗車して、内船に向かって出発です。Suicaで入ってJR東海の駅で降りると精算が面倒なことになるらしいので、熱海駅では一旦改札を出て目的地までの切符を購入しました。これ豆な!(ドヤ顔)

▼小田原を過ぎたあたりで、車窓には朝焼けが。

朝焼け

富士駅で身延線に乗り換えて、さらに電車に揺られること約1時間。スタート地点の内船駅には、8時47分にようやく到着しました。実に4時間という長旅に、ステータスバーはすでに疲労状態のゾーンを指しています。

それにしても、ここって山梨なんですね。山梨県って甲府とか大月とか、中央線や国道20号線沿いのイメージしかなかったので、この辺は静岡の領土だと思ってました。

などと夢想しつつ、輪行袋から自転車を取り出します。ブロンプトンの輪行性能をもってすれば、下車後5分もあれば出発可能。素晴らしい輪行性能を、改めて実感する瞬間です。

▼瞬時に輪行体制へ変形するブロンプトン@内船駅

瞬時に輪行体制へ変形するブロンプトン@内船駅

本栖湖に向かう道までは川沿いなので、フラットルートを快適にライドできま…あれ? なんでこんな坂があるの??

というかアップダウンばかりで、フラット感が全然ありませんよ? ちなみにアップダウンが続くと当然登っている時間の方が多くなりますから、個人的にはアップダウンの続く道は「上り坂」認定です。

▼先は長い…長すぎる…

本栖湖まで38km

それでもまぁ、最軽ギアの「1」「マイナス」なら、ダンシングせずに超えられる程度…じゃない!なんかサイコン表示で、斜度が余裕で10%超えてるところがあるんですけど…あるんですけど!

本栖湖に向かう坂道のはるか手前で脚を消耗しまくって、身延町に入ります。

▼坂の上から身延の街を見下ろす。というか、こんな高さまで登らされてたのか…。

身延の街

身延駅の手前では、特急に追い抜かされました。ちなみにこの電車で身延まで来ていれば、7時21分に新横浜駅発の新幹線に乗って、およそ2時間で到着可能。もしかして、出発時点で自分はすでに敗北していた…のか…?

▼3時間あとに出発しても乗車できた特急に、容赦無く抜かされる。

特急電車

さてさて、身延といえば、みのぶまんじゅう1個65円ですよね。ほんのり温かくて、モチモチしてたいへん美味しゅうございます。4個購入して、余りは補給食としてキープ。

▼まんじゅうこわい

みのぶまんじゅう

あ、ちなみに1,000円以上買うとステッカー貰えるそうですよ。

▼なぜかわかりませんが、記念写真を撮ってる人がいっぱいいるベンチを背景に撮影。

ブロンプトン

これから先も、アップダウンという名の上り坂が出現しそうなので、身延から甲斐常葉まで再び輪行しちゃおうか、とも考えました。ブロンプトンなら、全然手間なくいけちゃいますし。…なのですが本数少なすぎるんですよ、身延線。昼間の鶴見線かよ!

というわけで、仕方なくそのまま甲斐常葉を目指します。

戦場は上り坂

ダラダラ走って甲斐常葉の駅を過ぎ、本来の出発地点だった常幸院さんにお参りします。さあ、いよいよ本栖湖に向けた登坂の開始です。

と思ったら、いきなり激坂に出迎えられてしまいました。この斜度、おい、マジか…。

▼廃校になった中学校(なぜか高校だとする案内看板が各所に設置されている)に向かう激坂。

廃校になった中学校

いきなりこんなだと、一体この先どんなことになっちゃうのか。涙目になって、本栖みちを登り始めます。が、そんな予想に反して、序盤は斜度もそこまでキツくありません。

「これ…大したことないかも?」などと、舐めきった感情まで湧き上がる始末。なんですが、進むにつれて本栖みちはその残虐きわまりない本性を明らかにしてきます。

一切緩むことなく、むしろキツくなっていく斜度。続くつづら折りの道は、「コーナーの先に、坂の終わりがある…」という淡い希望を打ち砕くばかりか、「その先、さらにその上にまで進まなければならない道がある」という現実を直視させて、心をへし折りにきます。

▼ここは本栖みち。坂の向こうに、これから走らなければいけない坂が見える。さらにその上にも…。という光景が繰り返されて、精神に異常をきたす地獄。

本栖みち

心をバッキバキに折られまくって、ようやく本栖湖に到着したのですが、いやコレもう最高でしょう。脚の痛みも、今までのツラさも、一瞬で忘れ去ります。

▼トンネルの先に富士山ドーン!!

トンネルの先に富士山ドーン!!

なにしろ、富士山が近い!目の前にド迫力で迫ってきます。そしてこの湖面の、心にしみるブルー!永遠の輝き!これはお札に印刷する価値ありますわ…。

登坂のご褒美として、十分すぎる絶景。まさに本日のメインイベントに、ふさわしいです。

▼本栖湖からの富士山。この湖面のブルーときたら!

本栖湖からの富士山

▼なぜかベンチで横になって記念写真を撮る人がたくさんいる公衆お手洗。

なぜかベンチで横になって記念写真を撮る人がたくさんいる公衆お手洗

▼もちろん、ブロと富士山の写真を撮りまくる。

ブロンプトンと富士山

再会、坂よ…

さてさて、これでチャレンジもひと段落です。あとはもう、オマケみたいなものでしょう。本栖湖からそのまま引き返すと何時間電車を待つことになるか、わかったものではありません。ここは、中央線沿線を目指すのが正解ですよね。

なので本栖湖から精進湖を経由して、甲府市街方面にダウンヒルしていきます。

いや、でもそれにしても、登坂中は感じなかったのですが、ものすごく寒いですよね?

しかも一切の容赦がない向かい風が吹き付けてきて、体感気温を低下させまくります。

こうなると、こんな欲望が、脳内を支配していきます。

風呂に入りたい…!

寒い日にわざわざ出かけて凍えといて、温泉で温まる…マッチポンプ以外のナニモノでもありませんが、知っています。この先に、富士山の絶景を見ながら露天風呂に入れる「ほったらかし温泉」という入浴施設があることを。

ただ、その施設は坂の向こうなんですよね…。

▼坂への分岐点。

目的地の近くにある施設が絶望的な坂の上にあるのが、麓から目視できちゃいます。もう、坂は勘弁して…。脳内で泣きが入ります。

だがしかし!ここで降りてきたぞ…悪魔的閃き…天啓が!

そう、いま乗っているのは、ブロンプトンなのです。畳めば普通車のタクシーにだって、一緒に乗車できちゃいます。自走がキツければ、クルマに乗ればいいじゃない!

さらにさらに!ブロンプトンなら、坂と向かい風の猛攻でヘロヘロになったいまの状態でも、マッハで折り畳みできてしまいます。畳むことにストレスを一切感じないからこそ、こんな発想にも至れてしまう。やっぱりブロンプトンで走って、大勝利だったかも!

これは…逃げ? いいえ「機材の性能を活かしつくす」ということですよ。

そして、休みがあければ給料日。…金はあるんや!!

と、思って待ってみましたが、空車のタクシーが全く走っていません。そりゃそうですよね。結局、「坂を再び登る」という選択肢を選ばざるを得ませんでした。

つ…つらい…。本栖湖までの登りとは、脚の状態がもう全然違います。ライフは完全にゼロ。何も残っていません。しかも温泉は、坂を登ったさらに先。10%を超える斜度が続くところで、ついに限界。脚をついてしまいました。

あとは、地獄の押し歩き。こうなると、自転車がただの重量物でしかないです。長時間の押し歩きの果てに、もうボッコボコのヘロヘロ。人間性を喪失して、ボロ雑巾と化しました。

▼眺めを楽しむ余裕も、残っていない。すべてを完全喪失。

富士山

激坂は憎しみ深く

「こんなの最初っからわかってたよね?バカなの?死ぬの?」と、自分で自分を小一時間正座でガン詰めしたい!問い詰めたい!

でもでも「へっぽこを装っていても、秘めた実力が意図せず露呈してしまう」という、中二病的シチュエーションってあるじゃないですか。

つい、こんな夢を見てしまったわけですよ。

さすがにキツいと思ってたのですが、なんとか走れてしまいました。ブロンプトンだって、ロード前提の峠越えコースを充分に走れちゃうんですね!

なんて、シレッと書けちゃうんじゃないかって。

そして心の中のイキリ感を表に出すことなく、イキリまくれるんじゃないかって(わたくし、最低の人間です)。

ところがどっこい!

自分には秘めた実力なんてかけらほども無く、本当に、徹底的に、完璧にタダのへっぽこでした!

夢じゃありませーん! 残念でした! これが現実でーすっ!!!

そんなわけで、物欲の破壊を目論んでスタートしたチャレンジは、物欲じゃなくて脚の筋肉を破壊するだけの結果に終わりました…。

弾むようなSTEP踏んで Go撤退!!

ブロンプトンで坂はキツイです…キツイです…キツイです…。

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

などかずをフォローする
CBN Blog
タイトルとURLをコピーしました