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シマノ株が上場来高値、時価総額で日産超えですわよ

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ぐっもーにん!! コロナの定額給付金10万円は全額貯金した非(上級)国民・KPAです。

先日、目覚めのロイヤルミルクティーを味わいつつ、インテリのたしなみとして日経新聞を読んでいたところ(*インテリはこんなこと言わない)、衝撃的な見出しのコラムを見つけました。

〝シマノ「日産超え」が導く解〟(7/30付朝刊)

え!? マジですの!! 自転車部品メーカーが自動車メーカー超えですってよセバスチャン!!!

…と思わずお嬢さま言葉になってしまうくらい(*お嬢さまはこんなこと言わない)、びっくりです。

シマノ株が上場来高値、時価総額で日産超えですわよ

しかしこのウィズコロナ時代、ジテツウ(自転車通勤)なりウーバーイーツなりが注目を集めていることは確かですが、他方でスポーツや旅行産業が軒並み大打撃を受けているのも事実なわけで。。。

この株価高騰、果たしてシマノの実力を順当に反映したものなのか、期待先行のご祝儀買いなのか、ちょっくら検証を試みます。

注)本記事は金融商品の売買を推奨するものではありません

時価総額ランク61位

上記日経の記事は下記リンクで序文だけ読めます。全文は図書館で紙面をめくるか、有料会員になる必要があります。

参考 シマノ「日産超え」が導く解

私は手元に記事があるので、著作権を害しない範囲で概要を記します。

  • 日本企業の株価時価総額ランキングで、シマノは1月末時点では86位。それが7月下旬には64位に
  • この上昇に伴い、JR西日本や日産自動車を抜いた
  • 筆者(梶原誠氏)は、「密を避けたい」という人々の行動変化や、海外での売り上げが89%を占めるシマノのグローバル性が背景にあると推測

ちなみに記事全体の主旨は今後の日本企業に期待される経営論であり、シマノのことはちょこっとしか出てきません。

時価総額ランキングについては、「日経ヴェリタス」8/2付紙面から一部引用させていただきます。

日本企業株の時価総額ランキング

順位 社名 総額(億円)
1 トヨタ自動車 202860
2 SBG 137823
60 イオン 21710
61 シマノ 21325
62 セコム 21185
84 日産自動車 15236
92 楽天 13843
100 SGホールディングス 12391

1位のトヨタは圧倒的ですが、日産や楽天など著名企業を大きく超えてシマノが61位。大したもんです。

ただ、サイクリストとしては喜ばしいのものの、疑問も湧きます。

釣りも自転車もオープンエアーで楽しむものだから、コロナ対策との相性はよさそうです。しかし世界規模でサプライチェーンに大打撃・スポーツイベントは軒並み中止・旅行は自粛ムードの現状、そこまで株価が伸びる要素があるとも思えません。

四半期決算は減収

シマノの2020年12月期第2四半期決算が7/28付で公開されていますので、みてみましょう。

出典 2020年12月期第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

シマノ・2020年12月期第2四半期の業績

売上高 営業利益 経常利益
20年第2四半期 160255 △11.9% 28674 △15.8% 36131 4.3%
19年第2四半期 181949 4.1% 34053 △1.3% 34644 △9.7%

(売上高などの単位は百万円。公開資料より作成)

見ての通り、前年同期比で売上高、営業利益は大きく減少。経常利益は増加しましたが、為替差益によるものです。

要因についてシマノは

<全体>

  • コロナの影響で欧州、米国、日本で経済活動が停滞

<自転車部門>

  1. 欧州、北米、中国で自転車需要が高まり、市場在庫は低い水準で推移
  2. MTBコンポの新型「Deore」は市場より高い評価

→結果、自転車部門の売上高は122,613百万円(前年同期比14.6%減)、営業利益は22,963百万円(前年同期比19.7%減)

*1と2でなぜ減収減益という結論になるのか、文章展開が正直イミフですが原文通りです。

<釣具部門>

  1. 日本市場では5月後半の緊急事態宣言解除後、販売は急速に回復
  2. 北米市場では4月後半から需要が高まり、前年同期の水準に回復
  3. アジア市場では中国が好調さを取り戻した一方、その他の国では低調

→結果、売上高は37,487百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益は5,771百万円(前年同期比5.5%増)

…と分析しています。

営業利益で釣具部門は前年同期比より増えているものの、釣具より規模の大きい自転車部門は大幅に減っています。

……あれ?ダメじゃん。。。

サイクルベースあさひも減収減益

どうもシマノ株高騰は期待先行買いっぽい印象を受けます。

その他の自転車関連企業はどうでしょうか。

7/3付で公表された、サイクルベースあさひの21年2月期第1四半期決算をみてみましょう。

出典 2021年2月期 第1四半期決算発表のお知らせ

サイクルベースあさひ・21年2月期第1四半期決算

20年2月期
第1四半期
21年2月期
第1四半期
売上高 20411 19886(97.4)
売上総利益 10190 9983(98.0)
経常利益 3365 3154(93.7)
四半期純利益 2296 2127(92.7)

(売上高などの単位は百万円。カッコ内は前年同期比。公開資料より作成)

こちらも売上高、利益ともに前年同期比で減少しています。

要因としては緊急事態宣言の対象地域にある店舗で自主休業したことなどが挙げられています。

車種別では一般車が前年同期比84.9%と大きく減少。逆に、スポーツ車(同106.1)、子供車(同106.8)は伸びています。

業界関係者向け情報誌の「自転車協会会員自転車統計速報」「自転車産業振興協会 自転車生産動態・輸出入統計」でも、1~3月や5月の統計では苦境が報じられています。

ちなみに上記情報誌は東京・目黒駅近くの「自転車文化センター」で閲覧可能です。雰囲気の良い場所でおすすめ。いずれ紹介記事を書こうと思っています。

自転車文化センター

話を戻しますが、小売店や、ヘルメットなど自転車関連用品メーカーも含めて、明るい話は調べた範囲では見当たりません。うむむ。

オサレ雑誌がe-bike特集

なんともガックリくるデータばかり集まりましたが、では自転車はノーフューチャー!!というのも悲観しすぎな気はします。

海外メディアによると、Wiggleはロックダウンの開始以来、英国での売り上げが192%増加したという情報があります。

参考 UK bike sales soar as stores sell out in coronavirus rush

これについては、単に実店舗の売り上げ見込みをネット通販が食っただけという見方もできるでしょう。

ただ、生活圏の足である自転車は、飛行機や新幹線と違って需要そのものがほぼ蒸発した!!ということにはならないという強みがあるのも確かです。テレワークしてても買い物には出かけますしね。

ちょうどオサレなカルチャー誌「ブルータス」が、最新号で1冊ほぼ丸ごとe-bike特集を組んでいます。世界各国のサイクルツーリズム事情なども紹介されており、サイクリストにとっても読み応えがある内容でした。

上述したサイクルベースあさひの決算でも、スポーツ自転車は売り上げが伸びていました。

これまでママチャリしか乗ったことのない層が「ちょっといい自転車」に興味を持つ流れが来ているのかもしれません。

シマノの株価高騰がどこまで続くのか、それとも腰折れしてしまうのかは予断を許しません。

一介のサイクリストにすぎない私にできることは多くありませんが、ルールを守って楽しく走り、一般人を1人でも沼に引きずり込むことで、関連産業の未来に手を差し伸べたいと思います。

あとは幅広い車種が売れるよう、「弱虫ペダル」のMTB編が終わったら

「爆走・ブロンプトンワールドチャンピオンシップ編」
「Born To Be Wild ビーチクルーザー編」
「リミッターを外せ!! 魔改造e-bike編」

など、さらなる展開を期待したいところですね(小野田くん過労死不可避)。

著者
KPA

永遠のソロライダー。脚と財布に無理はさせないのがポリシー。スポーツバイク歴はベテランを自称するが、その大半をクロス、ミニベロ、フラットバーロードが占める(ロードを持ってないとは言ってない)。今年ブルベ(200km)を完走。

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