チューブレスタイヤのビードが上がらなくて困ったことのある方は多いと思います。一般的なフロアポンプでビードが上がればラッキーですが、普通はチューブレス対応のポンプ(エアを一度本体に充填してから一気に放出させるタイプの製品)を使います。しかし、それでも上がらないことはあります。
筆者は最近、Panaracer GravelKing 700×43でビードが全然上がらずに苦労しました。WTBやシュワルベのタイヤに比べると径が大きめに作られている印象で、装着は楽勝でありがたいのですが、逆に言うとビード上げの際にエア漏れを起こしやすいように思いました。
安価なチューブレスポンプでは無理なのか?
使用したポンプはGIYO GF-94Tです(レビュー記事)。このポンプは手頃な価格で良いのですが、最大パワー(240psi)で使ってもSchwalbe G-One Allround (700×35)のビードは完璧には上がらず、手動ポンピング追加で初めて上がりきる感じのパワー感です。GravelKing 700×43はよりエアボリュームが大きく、加えてユルめなタイヤなのでGIYO GF-94Tは力不足なのかもしれません。
ではどうするか。ハイパワーのチューブレス対応ポンプを使えば解決するかもしれません。例えば「トピーク・ジョーブローブースター」と「シュワルベ・タイヤブースター」はパワーに定評があります。
しかしお金をかけずに何とかやれないものだろうか…(理由は金がないからだ!)。
まず考えたのがCO2カートリッジを使うこと。CO2はラテックス系シーラントとの相性が悪いとされていますが、ビードを上げた後に普通の空気に入れ替えれば問題ありません。しかし手持ちのカートリッジはパンク時用の2本しかなく、グラベルキングのホイールへのユルいハマり具合を見ていると成功確率が高いとも思えません。
バルブコアを外してみよう
そこでやってみたのが「バルブコアを外してエアを入れる」というゼロ円手法です。これは以前から知っていたハックなのですが「そんなんでうまく行くわけないだろう」と高を括っていたのでした。
▼ バルブコア外しは何か1つ持っておいたほうが良いです
さて手順は次の5ステップ。インナーチューブが必要になるので手元に用意しておきましょう。
- ホイールからチューブレスバルブを外す
- タイヤの内側にインナーチューブを入れて閉じ、フロアポンプでやや多目に空気を入れる(当然ビードは上がる)
- しばらく放置した後(私の場合は2時間ほど)タイヤの片側だけを開き、インナーチューブを取り出す(この時、反対側のビードが剥がれないよう気をつける)
- チューブレスバルブを元に戻し、タイヤを全部ハメる(開いた側はなるべくリムに密着させる)
- バルブコアを外し、GIYO GF-94Tに目一杯詰め込んだエアを一気に放出する
この方法でGravelKing 700×43のビードは拍子抜けするほど簡単に上がりました! 勿論、ステップ5ではCO2カートリッジを使ってもうまく行くと思います。「パン!」とちゃんと音もしたのでエアの勢いも十分でした。
注意点ですが、GIYO GF-94Tの場合ヘッドをシュレーダー(米式)に変換しておきます。バルブコアを外した状態だとプレスタ(仏式)ヘッドは当然入りません。
「かかり」はあまり多くありませんが、なんとかクランプさせられます。しかしクランプしなかったとしても問題はなく、CO2カートリッジのように手でヘッドを押し付けてレバーを”For tire”に回すだけでOKです。
ビードが上がった後にヘッドを外すと空気が盛大に漏れますが問題ありません。
まとめ
こんなふうに、ややパワー不足のチューブレス対応フロアポンプGIYO GF-94Tでも、エアボリュームが大きくユルめのタイヤ(今回はPanaracer GravelKing 700×43)のビードをバッチリ上げられました。
バルブコアを外すだけでこれほどエアの勢いを保つことができるのかと驚きました。
この後にやることはシーラントの注入ですが、再びバルブコアを外してそこから注入するも良し、タイヤサイドの一部を開いてドボドボと注入するも良し(この場合ビードがまた上がらなくなることもありますが、再度上の手順5をやるだけでOK)。
筆者の場合、最近はなるべくタイヤサイドから入れるようにしています。というのも、バルブから入れるとシーラントが詰まりがちになることがたまにあるからです(下は詰まっている時の様子。タイヤ交換時は掃除します)。
というわけでこの「バルブコア外し」、やってみたことのない方は次にビード上げに苦戦した際に是非お試し下さい。手間も大したことはないですし、お金もかかりません(笑)。
これでもダメなら… 以下の2製品しかなさそうです。