よみもの

情報量が多すぎる、とある玄人サイクリストの謎写真

Instagramで不思議な写真を見かけました。投稿者はロシア・モスクワ在住と思われるtarantas_rider氏(しかし写真の撮影地についての説明はなし)。この写真、見れば見るほど奇妙に感じるところがあります。私が気付いたところは埋め込み画像の下に書きますので、それを読まれる前に皆さんもこの写真をじっくりご覧になってみて下さい。

どう転んでも何か普通ではない

では、個人的に「んんっ!?」と思ったところを書いていきます。

まず、ドライブサイドが左側にあるところはすぐに注目するわけです。クランク・チェーン・スプロケットといった駆動系が左側にあります。しかし一般的ではないとしても、トラックバイクの世界ではこの左ドライブ仕様はありうることです。

画像処理ソフトで左右に反転させたのではないか、との疑惑も浮上します。しかしその場合、サイクリストがかぶっているCinelliのキャップの文字も反転するはずです。やはり、この写真はフォトショップ等で特に加工されたものではないように思えてきます。

仮に左右が反転させられた画像だと仮定しましょう。その場合、フロントフォークのディスクブレーキマウントは、右側に位置することになります。駆動系が一般的な右側になっても、今度はフォークが(たぶん)特殊な右マウント仕様ということになります。

しかし気になるのはウェストに巻かれているHIPLOKのチェーンロックです。見えているロゴの「LOK」の部分が、左右反転しています。これを書きながら軽く調べてみた限り、HIPLOKのロゴが左右に反転したバージョンは発見できていません。

読者の方から「HIPLOK」のロゴは左右反転しているのではなく、上下逆に巻いているだけではないかとのご指摘がありました。確かにそのように見えます!
HIPLOK LITE WHITE LK-HL-010

© hiplok.com

ということは、この写真はやはり左右に反転させたものなのでしょうか?

仮にそうだった場合の真相は、

  • 右ドライブの普通のシングルスピードバイクである
  • ディスクブレーキマウントが右側にあるフォークを合わせている
  • Cinelliのロゴが左右反転しているデザインのキャップをかぶっている

ということになりそうです(ただCinelliの左右反転ロゴのキャップが存在するかどうかは調べてみてもわかりませんでした。ありそうですけどね)。

他にも気になるところはいくつかあります。チェーンステイにスパナが巻かれていたり、楕円チェーリングが使われていたり。角度は微妙だけれども軽量で十分に用を足しそうなリアラックや実用的なフェンダーを見ると、自分にとって快適な自転車を知り尽くした玄人サイクリストという印象を受けます。体型的にも腰回り、大臀筋・ふくらはぎを見る限り、やはりかなり乗っている人に見えます。

いや、ちょっと待て。チネリのキャップにはバックミラーのようなものも見えます。しかしこの取り付け位置、車道側ではなく歩道側を向いているような気もします。また、腕時計は左手首に付けています。利き手と反対側の手首に巻くのは普通であり、この人もそのように時計を運用している場合、もしこれが左右反転されたイメージだったのなら、この人は左利きということになります。

というわけで、もう何が本当なのかわからないという、謎の1枚です。

左右が反転していない普通の写真だったとしたら、

  • 左ドライブのバイクである
  • HIPLOKのロゴは、何らかの理由によりあのように見えている(袋を裏返して上下逆にしている?)

あ、これがいちばんシンプルな解釈でしょうか(普通でないように思えるのは駆動系とHIPLOKのロゴのみ?)。いずれにしてもこのサイクリスト、このような幻惑効果を意図的に狙っているような気がしないでもありません。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

マスターをフォローする
CBN Blog
タイトルとURLをコピーしました