先日、大音量アラームとApple Find Myを内蔵した「Knog Scout」という新製品をご紹介したところ、「これはAlterlock(オルターロック)の上位互換だ!」というご意見と「いやいやAlterlockの下位互換だ!」というご意見の両方を見かけました。アラームと追跡機能を有する自転車盗難対策グッズとして先行するAlterlockとKnog Scoutは、確かに目的がよく似ています。
では両者にはどのような違いがあるのでしょうか。どちらが誰に向いているのでしょうか。この記事ではそれぞれの特徴を観察していきたいと思います。
参考 Scout Bike Alarm & Finder – Knog
参考 AlterLock | 盗難防止アラーム & GPS追跡デバイス
Find MyかSigfoxかで生じる違い
Knog ScoutとAlterlockの主要なスペックを比較表にしてみました(Knog Scoutは未発売のため情報が限られているのでご了承下さい)。注目点は、まずは位置の特定と通信に関係する規格の違いでしょう。
Knog Scout | AlterLock | |
サイズ | 厚さ11mm | 長さ159mm×幅38mm×厚さ9mm |
重量 | 22g | 約50g |
稼働時間 | 約6ヵ月 | 最大1.5ヶ月 |
位置特定・通信 | Apple Find My, Bluetooth | GPS, Wi-Fi, Bluetooth, Sigfox |
防水防塵性能 | IP66 | IP66 |
充電端子 | USB Type-C | USB Type-C |
対応アプリ | iOS | iOS / Android |
価格 |
$59(約¥8,000) 標準で盗難防止ボルト+工具付き |
単品 ¥11,440 盗難防止ボルト2本+工具付き ¥12,320 |
サービス利用料 | なし | 月額 ¥396 または 年額 ¥3,960 |
通信可能エリア | 制限なし | 日本版は日本国内のみ |
アラーム音量 | 85db | 不明 |
Knog Scoutで採用されている「Apple Find My」は、簡単に言うとBluetooth通信を利用したビーコンであり、近くにいるApple製品ユーザーが通信の基地局になるイメージ。AppleのAirTagとほぼ同じ仕組み。
対してAlterlockが採用する「Sigfox」は自力で通信できるIoT機器、というイメージです。GPSやWiFiで得られる位置情報をそれぞれのネットワークに流す仕組み(かなり簡略化した説明です)。
ここから稼働時間やサービス利用料の有無や対応スマホなどが違ってくるわけです。AlterLockの駆動時間がKnog Scoutより短いのは自力でネットワークに接続するタイプだから。Knog Scoutは駆動時間は長いもののAppleのエコシステムに全依存するため、iPhoneユーザー以外は使えず、周辺には通信のためにその他のiOS / MacOSデバイスの存在を前提とします。
悩む必要があるのはiPhoneユーザーのみ
どちらが自分に向いているかを考える場合、そもそもスマホがAndroid端末のみの方はAlterlock一択となります。iPhoneユーザーの場合はKnog ScoutとAlterlock、両方の選択肢があるわけです。
上の比較表を見るとKnog Scoutはより軽量で初期費用も安く、サブスクリプション料金もかからないところは魅力です。一方、位置の割り出し・通信の安定性の面ではSigfoxを採用するAlterlockのほうがたぶん上でしょう。
iPhoneユーザーで海外に自転車旅行に行くことがある、という場合はKnog Scoutのほうが良いでしょう。というのもSigfoxは地域によってデバイスが使える周波数が違うらしく、日本向けのデバイスは日本国内でしか使えないようです。勿論これは国内でのみ使う方には全く問題のないところ。
Knog Scoutは8月下旬〜9月初旬にかけてファーストロットが予約者向けに限定数で発売され、その後は2〜3ヵ月後の流通。Alterlockは予約注文で次の入荷予定が10月頃となっています。