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メンテナンススタンドではドライブサイドを外側にしてシートポストをクランプするのが良い その理由は?

クランプ式のメンテナンススタンドでは、トップチューブのようなフレームの一部ではなく、シートポストでクランプしましょう、というCompetitive Cyclist(アメリカの有名ショップ)によるインスタ動画のコメント欄が賑わっています。

Competitive Cyclist(以下C社)は次のようなメッセージを投稿に添えています。

メンテナンススタンドはどのように使っていますか? 経験的には、ドライブトレインを外側にして常にシートポストでクランプするのが良いです。フレームをクランプしてはいけません!

シートポストはクランプされる前提で設計されている

次のような質問や反論などが寄せられています。

  • それってあなたの感想ですよね(it’s just your opinion ※まさかひろゆき?)
  • アルミでもトップチューブはダメですか?
  • (C社による回答)私達はそのリスクは冒しません。アロイフレームにはウォールが非常に薄いものもあります
  • インターナルルーティングのアロイフレームだったらこの必要はない
  • (C社による回答)同意しません。多くのアロイロードフレームのチューブは薄いですよ。リスクを冒す必要はありません、シートポストを掴みましょう
  • ドロッパーポストもクランプして良いでしょうか?
  • (C社による回答)ドロッパーを伸ばしきって、クランプとスタンチオンをきれいにした状態で、バイクをストレスのないポジションにすれば大丈夫です
  • でもカーボンシートポストだったらこんなふうにクランプしたらいけないでしょう?
  • (上の人に)全然問題ない。シートポストはクランプする力に耐えるよう設計されている。フレームはそういう設計ではない
  • シートポストが短かかったらどうするのですか?
  • (上の人に)印を付けておいて、思いっきり伸ばしてからひっかける

考え方としては、トップチューブなどはいくら剛性があるように思えても、周囲から内側に向けてギュウギュウと締め付けてくるような力のかかり方は想定していない、ということだと思います。シートポストは確かに丸型でもエアロ形状のものでも「挟み込まれる」ことが前提なので、シートポストでクランプするのが最良だ、という考え方は合理的だと思います。

アロイフレームでも確かに相当肉薄のチューブが使われているものがありますね。筆者がむかし乗っていたCannondale CAADシリーズなどはまさにそんな感じでした。スチールフレームなら問題ないのかなという気はします。

白状すると、筆者も力のかからない作業であればトップチューブを「ただ載せる」程度にかる〜くクランプして作業したことは過去によくありました。スチールバイクでは今でも全く気にせずにトップチューブでクランプしています

ドライブトレインを外側に向ける理由

ドライブトレインを外側にすべし、という意見には反論が目立ちました。

  • (元のインスタ動画の)2つめと3つめの違いはなに?
  • (上の人に)ドライブトレインが外を向いているかどうかだよ
  • ノン・ドライブサイドを外側にする理由は全くないからな
  • (上の人に)おっと、それはオールドスクールな意見だね。ディスクブレーキの作業をする時は常にノンドライブサイドが外側だ。みんな勉強中なんだから気にすんな
  • (mikesbikesrosevilleというショップからの返答)私達のショップでは一貫性という面からこうしていますよ。常に同じ手順でバイクをスタンドに載せ、制御系を毎回同じ位置に持ってくることで、作業効率を高められますし、修理中に何か忘れてしまうリスクや怪我のような事故を減らせます(ローターは鋭利ですから)。しかしそういうことでもない限り、ドライブサイドを内側にしても実害はないと思います

なるほど、リムブレーキのバイクを相手にするのであればドライブトレインを内側に向ける必要はなさそうです。逆にディスクブレーキまわりの作業をしたいのならノン・ドライブサイドが外側にあったほうがやりやすい、という意見も合理的。

その上で「どんなバイクでも同じ手順でスタンドに載せたほうが作業効率が良くミスも少ない」というショップの意見も、大量の自転車を扱うプロならではの見解として興味深いですね。これはこれで納得できます。

まとめると作業時のドライブトレインの向きは、私達のような一般ライダー・サンデーメカニックが個人で行う場合は、安全かつ作業性が良ければどちらでも良く、クランプの箇所についてはフレームにダメージを与えないようシートポストを基本とする(カーボンシートポストであっても)、と考えておくのが最も安全と言えそうです。

▼ このウルトラスポーツのメンテナンススタンドの製品紹介に見えるような方法でのクランプは、自転車によってはリスクがあるということになります

▼ BBとフォークで固定するタイプのスタンドであれば、フレーム破損の心配は少ないですね。クランクやBBの一部では脱着作業に力が必要なものがありますが、そういう場合もこのタイプが安心です。ただしフロントホイールを回転させながら何か作業することはできなくなります

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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