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ひとりでロングライドに行きたい15歳はどうすれば反対する父親を説得できるか

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サイクリング経験は十分にあると思われる15歳の少年が単独でのロングライドに行こうとしたら、父親に反対された。どうしたら父親を説得できるでしょうか、という話題を海外掲示板で見かけました。コメント数が多く、人々の関心が高い内容であることがうかがえます。

cyclist

Photo by Pavel Danilyuk

僕は15歳なのですが、父は僕を(単独でのロング)ライドに行かせたがりません。僕はメカが得意ですし(自転車をフレームから組み立てることも含めて、問題が起きたら自分で解決しています)、どんな地図でも読めますし、ルートも計画できますし、過去に計画したこともあります。身体もかなりできあがっていて、父と一緒のライドでも付いていくのが大変だったことは一度もありません

出典 How to persuade my Dad to let me go on long rides alone.

父が何を考えているのかわからない

寄せられたコメントを観察してみます。

  • ひとりでライドできることを裏付ける根拠は全部揃っているね。お父さんはなぜダメだと言っているの?
  • (スレ主さん)父は、ただ気持ちが落ち着かないから(just doesn’t feel comfortable)、と言っています。でも僕には何故なのかわかりません

結構多いコメントは、スマホで位置情報を送信し続けるのはどうだろう、複数人でのグループライドにしてみてはどうだろう、Garmin Variaを使うといいよ、等々、実際的な様々なミニアドバイスです。しかし最も高い支持を得ていたアドバイスがこちら。

サイクリストでもあり父親でもある立場として言わせてもらうと、サイクリストの親であることの最もつらいところは、自分の子供がライド中、自分ではコントロールできないリスクに直面することを知っていることにあります。

君がひとりでライドに出るたび、お父さんは「その電話」がかかってくる可能性があることを知っています。町中でのライドなら、そういうリスクは町外よりも低い。

私が「その電話」を受けた時は、こんな感じでした(一字一句正確に記憶に焼き付いています)。「こちらは(町名)警察です。あなたの娘さんがクルマにはねられました。容態はお伝えできないのですが、怪我の程度は生命に危険を及ぼすようなものではありません」。

その「その電話」を受けるまで、「生命に危険はない」という言葉が「しかし娘さんの人生は完全に変わってしまうでしょう」という意味を含むかもしれない、とは決して考えることがないのです。

幸い、私の娘は肩にしばらく理学療法を受ける必要はありましたが、いくつかの擦過傷と打撲で済みました。

率直に言って、お父さんは「その電話」を受けるのがものすごく怖いのだと思います。2人で一緒に乗っている時であれば、何かあっても自分がいれば何かしてやれる、という考えがあり、その恐怖をなんとか抑えられるのです。

お父さんと話し合いましょう。ただ会話中に忘れないでほしいのは、お父さんは君の行動を制限したいがために制限しようとしているのではないということです。お父さんが君に制限をかけているのは、お父さんが君を愛しているからで、君を失うリスクに恐怖しているからなのです。

お父さんがその恐怖をコントロールできるようになるために、解決法を一緒に考えましょう。GarminやStravaには「ビーコン」というサービスがあり、役立ちます。ただ、単にライド中に停車した時や折返し地点でメッセージを送るというごく単純なものでも良いかもしれません。お父さんと交渉して、約束事に同意して、その約束を守ろう。

この会話に大人のような態度でのぞめば、お父さんがあなたへの信頼を高める助けになります。後になればお父さんは友達に、君がいかに成長しているかを自慢することになるでしょう。

自分でコントロールできるもの・できないもの

上の方のコメントが最も高い支持を受けている理由は、単にお父さんを表面上安心させる「対処療法」にとどまらず、なぜお父さんは心配するのか、という問題の根本にも取り組むことを提案しているところにあると思います。

child on bike

Photo by Tatiana Syrikova

様々なメカトラブルに路上で自力で対応できて、現実的で安全なルートをプランニングできて、走りきる十分な体力があったとしても、外界からやってくるアクシデント(不測の事態)は、自分では完全には制御できない何物かです。

制御できないからこそ不測の事態なわけですが、この不測の事態が発生する可能性(リスク)を「限りなく少なくする」こと自体は、努力と経験によって可能です。余裕を持って周囲を観察したり、Garmin Variaを使ったり、リアビューミラーを使ったりすることもその一環だと思いますが、長いサイクリング経験をしている方なら、観察力や危機察知能力は若くて経験が少ないほど十分ではない、と思ってしまっても不思議ではないですよね。

ビーコンなどを使えば、何かあった時にお父さんが早く現場に到着できるという安心感はあるでしょう。しかし本当の解決は(解決はしないかもしれないですが)、対話を通じて「世の中には不可抗力というものがあり、それを減らすことがいかに大事なことか」を親も子もあらためて深く確認しあう作業によって得られるのだろう、と思いました。

お父さんが行かせたがらないのは、こいつはまだ空間認識能力が十分に育っていないな、と思っているから、というのはあるでしょう。しかし何歳になっても「もう大丈夫だ」とは思えないのが親なのかもしれません。

余談ですが、筆者は最近、熊の出没情報が多い少し危なめの山を歩きました。谷側がかなり切れ落ちた山腹道を歩いていて、気を抜くと重心がぶれていつ滑落してもおかしくない感じの道でしたが、過去2年ほどでだいぶ登山経験を積んできたので「俺は大丈夫だ。体力的にもスキル的にもここは行ける」という妙な自信がありました。

しかしそのトラバース道で前や横から熊が現れていたら、かなりの確率で詰んでいたような気がします。熊鈴を鳴らしていたので熊もこちらを察して近寄ってこなかったのかもしれませんが、クルマの場合、熊鈴に相当するものは何でしょう。近いのは、反射素材のあるウェアとデイライトかなという気はします(それでも「相手には見えていない」と考え続けるのはもちろん大事ですね)。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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