なぜかアメリカ雑貨の店があると覗いてみたくなる。
それもアンティークトーイなどの専門的な店ではなく、カリフォルニアナンバーのプレートやルート66の標識、ガムボールマシンやジュークボックスのミニチュアといったあのガラクタ然としたまさに雑貨なごちゃごちゃした店の方です。
あまり役に立ちそうもないカラフルな雑貨たちの向こうに何が見えるのかよく分からないがリアルなアメリカとは別の「アメリカ雑貨の中のアメリカ」というぼんやりした独特な世界があるような気がする、そのような現実の隣りにありそうなメルヘンっぽい世界というのは疲れた人間の脳が求めるものなのだと思う。
テーマパークのスーベニアショップもそんな「思い出と夢」が満ちているから惹かれるのでしょうね。
なにはともあれ、自転車の機能以上の妄想上の付加価値が半分以上ある気がするような、見て触って所有して楽しいと思わせるアメリカ雑貨的雰囲気を持つモノとしては、まずあの古典的なフレームがいまだに作られ続いているビーチクルーザーをおいて他には無いと思う。
その次にはBMXかもしれない。
いずれもアメリカン規格のBBやヘッドパーツといったチープでオールドな雰囲気を醸し出す肝心なところは外してはいけません。
今ちょうど手元にビーチクルーザーとクルーザー的なBMX、それにクルーザーテイストのフレームワークを持つピストバイクがあります。
アメリカ雑貨に通じるクルーザーというゆるいイメージが共通している3台なので、ちょっと紹介がてらに。
はじめに:ビーチクルーザー
Schwinn Cruiser Six
今巷で目にするたいていの自転車はヨーロッパで培われた競技自転車の進化上にあるバイクがほとんどですが、ビーチクルーザーはアメリカ発祥のオートバイ派生の歴史を持つ実用的な自転車です。
終戦直後に米兵が大量に持ち込んだビーチクルーザーの影響で日本の自転車メーカーでも作っていました。
その時のイメージが強いので独特の曲線で構成されたフレームワークの車体がビーチクルーザーの代表のような感じになっていて、いまここにあるSCHWINN製ビーチクルーザーもそのたぐいのモノです。
本来、ビーチクルーザーと言えばシングルスピードでコースターブレーキというのがお約束です、しかしこのSCHWINNのモデルはリア外装6速にカンチブレーキというMTBルック車的な性能が与えられていて田舎でウロウロするにはもってこいなのです。
このワンピースクランクとアメリカン規格のハンガーがなんともいい感じなんですよね。骨董品みたいな造りだけどいまだに現役というところが OHV V8 が愛され続けるお国柄なんでしょうか。
それにMTBレジェンド達※はビーチクルーザーでダウンヒルを争っていたという歴史もあるので林道を駆け下る位の潜在能力は十分あります。
レジェンド達に習ってフロントトリプルに変更しようかと古いシマノを揃えてみたものの、アメリカンBBとワンピースクランクの佇まいがカッコイイのでどうするか迷います。
クルーザールックなピスト
いわゆるピストバイクが好きなのでとっかえひっかえ乗っていますが、ピストを走ったこともないので実は「ピスト乗ってます」というのもおこがましい気がしてます。
かと言って「トラック」と言うと更に競技志向みたいだし、「Fixed」と言うのも色々とあれなので「固定シングル」と呼ぶくらいが自分にはちょうどいいかなぁと思う。
世間では変速できないから固定、というのもあってややこしいけど、まあとにかく「固定」はダイレクト感が楽しいから乗り続けています。
T19×HOW I ROLL MINIUM
で、最近乗ってるのがこの T19×HOW I ROLL MINIUM というトラック臭の無い楽しいバイク。
シングルスピード系バイクのときはノーヘルの頭タオルスタイルなのでこういった肩の力を抜けるような楽なクルーザー的雰囲気のバイクがいいのです。
このフレームデザインは見事にビーチクルーザーなんですよね、これを4130クロモリ使ってピストバイクで造るというところがツボですね。
ビーチクルーザー的デザインにトラックバイク的ジオメトリーを入れるという無茶な事を実現した T19×HOW I ROLL MINIUM 、選択の余地がない25.4mm径のシートポストや「え〜?ブレーキ付けるの?じゃとりあえず穴だけ開けとくから好きにしてよ」というようなブレーキ取り付け穴、「錆びるとカッコイイから楽しんでね」ということだろうな、と思わせる透き通るような塗装、どれも最高ですね。
一度2016年に発売された後、2年後に再販されたモノです。
これが最後というウワサもチラホラ…
見た目に似合わずトラックバイクに近いジオメトリーということなので ロードバイク的なSurly Steamroller では膨らみ気味のタイトコーナーもすんなりとインをトレースできます。
細いパイプのフレームだけどクルーザーならではのWパイプによる補強が効いてかなり剛性がある感じです。
スキッドももちろん楽にできます。
このT19×HOW I ROLL MINIUM はフレーム買いして組んだのでパーツは古臭く地味に見えるように選んであります。
ホイールは DURA-ACE TRACK HUB HB-7600 に H PLUS SON The Boxリム、初代DURA-ACEクランクにスギノMC、コグはEURO ASIA 、サドルはBROOKS COLT、ステムはPIVOに単にパイプのような NITTO B2500AA ハンドルバー、ブレーキはダイアコンペのMX121にBRS101。
このフレームの制作に纏わるストーリーも面白いので気になった方はあちこち見てみるといいですよ。
どれくらい楽しいかはこの動画を観ればわかってもらえると思う!
親父クルーザー的ツーフォーBMX
BMXはオートバイのモトクロスに憧れた子どもたちが子供用クルーザーで真似し初めたのが事の起こりなのでET世代にはなんとなく子どもはBMX、大人はMTBという雰囲気でした。
今やダート競技からストリートやフラットなど高度なトリックプレイに発展してとどまるところを知らない感じで、ついにオリンピック競技にまでなってしまいました。
BMXは小径タイヤのシングルスピードという普通のおじさん達にも魅力的ものでありながら、いつの世も運動音痴の中年には近寄りがたい雰囲気だったというわけです。
SCHWINN SX−1000
とは言え、少し前の頃のBMXには20インチだけではなく24インチやMTBと同じ26インチもあったのでクルーザー的な乗り方も有りなわけでして、今回 SCHWINN SX−1000 というクラッシックな雰囲気でしかも24インチで安価なBMXルック車?※を日常使いにしてみます。
せっかくのチェーンカバー付きのモデルなのでET風に前カゴを付けてスタンドもついでに付けちゃいました。
前カゴは定番のWALD137で、スタンドはまるで純正のようにぴったり装着できる超オススメの「BV(ビーブイ)自転車キックスタンド」。
低価格な完成車なのでコストの削れるお決まりのパーツは交換したほうが気持ちよく走れるので、振れてどうしょうもないシマノフリーコグ18tはACSに交換しました。
ちょっと効きがヤバいブレーキ周りのワイヤーはステンレス製に、レバーとキャリパーはダイアコンペのMX122とMX-1000にしました。リアはシマノコースターハブとリノライトリムに交換予定です。
直感的な好みを大切にする
家電でも自動車でもカメラでも何か物を買おうと思ったらスペックという比較対象できる数値が必要になります。
自転車の場合もスピードやディスタンス、タイムという目標達成が求められたらそれに必要な性能が選ぶ基準となってしまいます。
買い物自転車ですら重さや価格にランニングコストといった比較できる数値が必要ですがロードバイクやMTBのようなスペック的な悩みはほとんどありません。
選り好みする項目が減っていくほど精神的に楽になるのは自明の理なので、趣味のものは一目惚れのような直感的な好みと財布との相談くらいにしておいて細かい事は気にしないのが楽しめるコツだと思ってます。
まぁ「悩んでいる時が一番楽しい♡」という頃もありましたがw
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