世界最大規模のMTBサイト・Pinkbike(本拠地はカナダ)とロードバイク系の人気メディア・CyclingTips(オーストラリア本社)がアメリカのOutsideに買収されることになりました。Pinkbikeは2019年にCyclingTipsを買収していますが、この2つの大メディアがさらに大規模なOutsideグループに統合されることになります。Bicycle Retailer等が報じています。
そしてこのニュースを報じているBicycle RetailerもまたOutsideの一員だったりします。
出典 Outside acquires Pinkbike, CyclingTips, and Trailforks – Bicycle Retailer
競合するメディアを多く抱えるOutside
親会社Outsideの歴史は1977年にアメリカで創刊されたOutside Magazineに始まり、その後2019年にOutsideがOutside Magazineを含む数多くのアウトドア・スポーツ系メディアを統合していきました。自転車以外にもラン・登山・トレッキング・ヨガ・スキー・釣り・食などに関する様々なメディアをデジタル媒体・紙媒体で運営しています。
Outside傘下の自転車関連メディアだけでも以下がラインナップされることになります。
- CyclingTips(ロードバイク系)
- Velonews(ロードバイク系)
- Peloton(ロードバイク系)
- Pinkbike(MTB系)
- BETA(MTB系)
- Triathlete(トライアスロン)
- Bicycle Retailer(業界系)
- VeloSwap(業界系)
- Velopress(出版系)
ちょっと気になるのは、CyclingTipsとVelonewsは同じ方向性のサイトで、PinkbikeとBETAも競合になります。日本の雑誌に喩えるなら月刊サイクルスポーツとバイシクルクラブが同じ会社の傘下に入るようなイメージで、これが良い結果を生むのかどうか。
個人的にはCyclingTipsとPinkbikeには「メーカーや広告主に忖度しないガチのジャーナリズム魂」を感じることがあり、クオリティの高いメディアだなぁと思わされることが多いです。しかしCyclingTipsは最近サブスクリプションモデルを強力に推し進めている印象があったので、もしかして経営難なのだろうか、と思っていたところです。
ちなみにCyclingTipsはPinkbikeの買収後、個人的にはよりパワフルなメディアになったように感じています。
自転車サイトも有料化が進む?
今回Outsideに買収されたPinkbikeも自社サイトで次のようなメッセージを発信しています。
Pinkbikeのコンテンツとサービスは長いあいだ広告モデルによって賄われてきましたが、私達の新しい親会社は所有メディアのいくつかの特集をOutside+というサブスクリプションで提供しています。
サブスクライバーはメンバー限定のコンテンツや独占的なショー、数百ものバーチャル・ヘルス、フィットネス、クッキング、アウトドアクラス、無料本、パーソナライズドサービス、Outside Onlineの無広告閲覧、Gaia GPSへのサブスク、トレーニングプラン、グッズやレース参加費用、イベント写真などの割引を得られます。
今後数ヶ月、私達はPinkbikeがOutsideのプラットフォームをどのように支えられるのか、彼らが提供するものをさらに競合力のあるものにできるかを考えていきます。私達のビジネスモデルは進化していきますが、コンテンツの大部分は無料のままになるでしょう。
これを読む限りPinkbikeの主要記事が有料になることはしばらくはないと思いますが、サブスクリプション(記事の有料化)を推し進めていくのはまず間違いないでしょう。
自転車メディアに限ったことではないですが、広告収入だけでやっていけるメディアはどんどん減ってきていて日本の新聞でも有料記事が増えました。また少し話は変わりますが、YouTubeもサブスク会員を増やそうとものすごい量の広告を打っていますよね。今後はサブスク形式の自転車メディアが増えていくのかもしれません。