サイクリング

【埼玉】奥武蔵高原の最高峰「丸山」へ自転車と徒歩で 短時間で満足できる林道と大パノラマ

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埼玉県の秩父市と横瀬町にまたがる「丸山」の山頂を自転車と徒歩で目指す、という遊びをやってみました。丸山は標高960mの低山ですが、一説には「奥武蔵高原の最高峰」と呼ばれています。以前ハイキングで登った時にかなり満足感があり、そのとき山頂付近まで「林道丸山線」という舗装路があることを知ったので、今度は自転車でも訪れてみよう、と考えたのでした。

丸山に至る道(徒歩道)

丸山に至る道(徒歩道)

今回ご紹介するコースは自転車での上りが12km、さらに徒歩で400mだけ登る、というもの。往路の所要時間は、風景をゆっくり楽しみながらで2〜2.5時間ほどです。林道丸山線では森林浴を存分に満喫でき、丸山山頂の展望台からはパノラマの絶景を拝めます。記事の最後にアクセス方法もありますので、ご興味を持たれた方は是非足を運んでみては如何でしょうか。

横瀬駅を出発

出発は西武秩父線・横瀬(よこぜ)駅です。東京の西武池袋駅から「特急ラビュー(ちちぶ号)」に乗り、1時間20分弱で到着です。終点の1つ前の駅になります。

横瀬駅

横瀬駅

▼ 特急ラビューについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。秩父・奥武蔵方面への輪行に便利で快適です!

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まずルートの概略から。駅前の道を直進し、国道299号線に出たら右折。「JAちちぶ横瀬支店」のすぐ先に歩道橋が見えるので、左折して横瀬川へ。道なりに走っていくとT字路となり、右折すると「林道丸山線」です。その先は「県民の森」の標識を追っていくだけでOK。帰路は途中まで同じで道で、途中から1本南の道へ下り、横瀬駅に戻ります。

横瀬駅〜丸山山頂展望台

横瀬駅〜丸山山頂展望台

では出発です。横瀬駅を降りると右手に巨大な2本の煙突がもくもくと煙を吐いているのが見えます。これは「三菱マテリアル・横瀬工場」で、主にセメントを製造しています。

三菱マテリアル・横瀬工場

三菱マテリアル・横瀬工場

さらに右手には立派かつ独特な存在感を放つ山容が見えます。これは「武甲山(ぶこうざん)」という秩父を象徴する標高1304mの山です。国内屈指の石灰岩の産地で、それによるセメント生産は秩父地方の主要な産業となっています。横瀬駅はこの武甲山への登山の拠点としても有名です。

三菱マテリアル・横瀬工場

三菱マテリアル・横瀬工場と武甲山

武甲山を背にしつつ、国道299号線を目指します。この先に歩道橋があるので、手前で左折します。ここで注意点! 横瀬駅を出てから飲料の自販機を見かけませんでした。水などは横瀬駅で調達しておきましょう(299号線にセブンイレブンがありますが、コースから少し離れています)。

JAちちぶ 横瀬支店

JAちちぶ・横瀬支店のすぐ先で左折

横瀬川を渡ります。この川は西武秩父・正丸駅から横瀬駅あたりまで、299号線沿いに流れています(秩父で荒川と合流)。

横瀬川

横瀬川を渡ります

道はこのあたりから6〜8%の上りになり、まもなく「寺坂棚田」に至ります。埼玉県内では最大級の棚田とのことで、名所になっているそうです。この日は遊歩道が工事中でしたが、十分風景を堪能できました。

寺坂棚田

寺坂棚田

この棚田からも武甲山がバッチリ見えます。採掘で削られている斜面がまるでピラミッドのように見え、強烈な存在感を放ちます。

寺坂棚田

寺坂棚田から望む武甲山

林道丸山線へ

寺坂棚田をすぎるとまもなくT字路に出ます。右折すると林道丸山線です。あとはこの道をひたすら登り「埼玉県民の森」を目指します。

林道丸山線

「県民の森」に至る林道丸山線

斜度はやはり6〜8%という感じで、大きい変動がないので体力を維持してのんびり登っていけます。また丸山線は全線が舗装されています。私はこの日、小径車のブロンプトンでやって来ました。路面は上りでは全く問題ないですが、下りではスピードを出すと穴に入りそうな箇所や段差もあるので気をつけましょう。

林道丸山線

舗装状態はまあまあ良い

丸山線は眺望が特に開けているわけではないのですが、奥武蔵の登山道同様、木漏れ日が美しいです。

林道丸山線

木漏れ日を楽しみたい

交通量も少なく、すぐに文明の音が消え、風と沢の音に包まれます。この道は急いで登るのはなんとも勿体なく、森林浴を楽しむように走るのが良いと思います。深呼吸すると木のいい匂いがします。

林道丸山線

林道丸山線の紅葉

積極的に休憩を取り、周囲の植生を観察するのが楽しい。下のような「木漏れ日に当たる切り株」を目にすると「秩父に来たなぁ」とあらためて感動。池袋からわずか2時間、完全に別世界で精神がリセットされます。

林道丸山線

秩父の植林地でよく見る切り株

出発点の横瀬駅は標高250m。丸山の山頂が960mなので、獲得差は710m。13kmかけて少しづつ登るので、強度はあまり高くありません。このコースを「ゆるポタ」と称してデビュー間もないサイクリストの友達を誘うのは、「ありかなしか」で言うとなしよりのあり。貧脚の私でもブロンプトン(6速モデル)で登れるくらいです。

埼玉県県民の森

林道丸山線の終点…ではないのですが、最高地点である「埼玉県県民の森」に到着しました。ここは大きい駐車場があります。売店や自販機などはありませんが、トイレはあります(※12月1日から2月末日までトイレなどは閉鎖)。ここから先は自転車が入ってはいけないので、徒歩で丸山の山頂を目指します。

埼玉県県民の森

埼玉県県民の森

舗装路を少しだけ登るとT字路に出ます。すると再びトイレと水場があり、右手に山頂への登山道があります。斜度はそこそこありますが、距離はわずか400m。

丸山山頂への登山道

400mの登山道を登る

私はトレランシューズで来ましたが、SPDクリートのシューズでも行けるでしょう。ロードクリートの場合、なしよりのありか、ありよりのなしか微妙ですが、慎重にゆっくり登れば行けなくはないと思います(滑るのでかなり注意は必要でしょう)。

丸山山頂への登山道

丸山山頂への登山道

丸山山頂展望台

いよいよ標高960mの山頂展望台に到着です。白い立派な建造物です。標柱には「外秩父丸山の展望」と読めます。丸山が「奥武蔵」なのか「外秩父」なのか、諸説あるようで調べてみても判然としません。行政的には「武甲自然公園」の中にあるようです(「奥武蔵自然公園」ではない。ややこしい)。

丸山山頂展望台

丸山山頂展望台

いずれにしても近辺の盆地では標高がいちばん高い山と言われています(かつては高篠山と呼ばれていたこともあるそうです)。

ここはとにかく眺めが良いです。横瀬の駅から見上げた武甲山もバッチリ見えます。天気が良い時は、振り返ると遠く浅間山の姿も目にすることができます。360度大パノラマ。

丸山山頂展望台からの眺め

丸山山頂展望台からの眺め

武甲山の右手には、これまた特徴的なシルエットの、横に長い山が見えます。日本百名山に数えられる「両神山(りょうかみさん)」です。この日は少しガスっていたので、別の日に登山で来た時に撮影した写真を下に掲載します(雲は多いものの空気が澄んでいる日)。

両神山

両神山は日本百名山のひとつ

下は同じく好天の日の武甲山。ほんと異様で独特でカッコいい山ですね。グレタ・トゥーンベリさんなら「環境破壊だ!」とキレるかもしれませんが、プーチン大統領がすかさず「世界はもっと複雑にできているものなのだ」と返しそうな風景です。環境と産業・経済の関係について考えさせられます。

武甲山

武甲山

秩父市街も一望できます。両神山を目指して走りに行く人も多いことでしょう。

秩父市街

秩父市街

この展望台には4基の巨大なNikonの望遠鏡があり(無料)、10分や20分は余裕で秩父の町の風景や山座同定(=さんざどうてい。登山用語で山の位置や名前を確認すること)を楽しめます。

Nikonの望遠鏡

Nikonの望遠鏡

ここでお昼休憩にします。売店もコンビニも自販機もありませんが、問題なし。サーモスの「山専用ボトル」のお湯でカップヌードルとコーヒーをキメます。やっぱり温かくておいしくできた! 展望台の下にベンチやテーブルがあるので、お昼休憩にはピッタリの場所です。

山頂カップヌードルとコーヒーで昼食

山頂カップヌードルとコーヒーで昼食

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自転車を置いた駐車場まで戻ります。ほんの少しですが、計画通りに登山も楽しめました。ちなみにBrompton Metro Backpack 14Lを背負って登りました。このくらいの距離なら全く問題なく、カメラと食料一式をごそっと運んで行けました。

丸山山頂への登山道

丸山山頂への登山道

登山では両手がフリーになり、両肩に重量が分散するバックパックがやはり便利です。

別ルートで横瀬駅へ

今日はこのまま横瀬駅に戻ります。実は、林道丸山線はここから先の「大野峠」まで通じており、大野峠まで出てしまえばそこからヒルクライムで有名な「白石峠」や「定峰(さだみね)峠」まで、あるいは「奥武蔵グリーンライン」経由で「刈場坂(かばさか)峠」まで走れたりするのです。本来なら。しかし現在、県民の森〜大野峠までの区間は残念ながら通行止めなのです。

林道丸山線は県民の森〜大野峠区間が通行止め

林道丸山線は県民の森〜大野峠区間が通行止め(2021年11月現在)

この区間が通れないとコースの組み立てが大幅に制限されてしまうため、何とも惜しいのですが、日の入りが早い秋冬は欲張らずに「早出早着(はやではやちゃく)」を基本として、時間に余裕が生まれたら近場をのんびり探索するのが良いと思います。

というわけで途中まで同じ道を引き返します。「木の子茶屋 入口」と書かれた看板のあるT字路で左折します。この先で「芦ヶ久保(あしがくぼ)駅」方面に下ることもできますが、まっすぐ行くと横瀬駅にも辿り着きます。

帰路は別ルートで芦ヶ久保方面に

帰路は南側の別ルートで

鹿刺し・天然ヤマメ塩焼き・川魚・しいたけ…糖質ゼロのグルメ祭りやないかーい! 開いていれば間違いなく全部食べたかったところですが、人影はありません。店前の小さい祠にお賽銭を入れて後にしました。

木の子茶屋

木の子茶屋

すぐ近くに「あしがくぼ山の花道」というカタクリで有名な観光スポットの駐車場があり、トイレと自販機がありました。

「山の花道」の駐車場

「山の花道」の駐車場

そしてここから少し意外な発見が。この道… 林道丸山線よりも展望が良い! 特に武甲山が映えるスポットが数箇所あります。文明からの隔絶感や森林浴という意味では丸山線のほうが良いですが、景観的にはこの道のほうが断然良い。ここなど愛車を停めて一枚撮るのに最適。多分有名なスポットかもしれません。ゆっくり走ると発見できます。

武甲山を望む無名の絶景スポット

武甲山を望む無名の絶景スポット

紅葉もきれいです。彩度もコントラストも何もいじっていない撮って出しのJPEGです(しかもオリンパスカメラのFLATプロファイルでこの色)。

まもなく横瀬駅。紅葉が美しい

まもなく横瀬駅。紅葉が美しい

途中から「武甲山大撮影会」の様相を呈してきました。この名もなき道、武甲山を撮るのに最適ではないでしょうか。「あしがくぼ山の花道」への観光客向けに木々がうまく伐採・剪定されているのかもしれません。丸山林道にこだわらなければ、横瀬からこの道を登ってきても良いような?

武甲山

武甲山は存在感がすごい

その後は素直に下って横瀬駅へ。素直に、と言っても途中で別荘地に迷いこんでしまい、少し登り返すハメに(看板は出ていたのですがスピードを出して下っていたら見逃してしまいました)。

横瀬駅

横瀬駅

この日は朝の8:08に横瀬に着いて、13:28の特急ラビューで帰りました。行動時間は、約5時間。私の場合、山頂でのんびりしたり、この記事を書くための情報収集をしたり写真を撮ったりで5時間かかりましたが、そうでなければ4時間あれば楽しめるコースだと思います。

この日は夕方に予定が入っていたこともあり直帰しましたが、正直なところあと2時間くらいどこか寄り道したい気持ちでした。林道丸山線の県民の森〜大野峠間がはやく復旧してくれたら良いですね。とはいえ「詰めこまずに体力に余裕を持たせたサイクリング」も楽しいものです。

アクセス情報・備考

ここ、行ってみたいなぁ! と思われた方のためにアクセス情報・備考をまとめます。

  • 最寄り駅は西武秩父線・横瀬駅
  • 西武池袋〜横瀬駅までは約80分(特急ラビュー
  • 横瀬駅〜県民の森までの走行距離は約13km
  • 路面状態は、登りでは危険を感じないが下りでは要注意(特に小径車の場合)
  • 勾配は6〜8%が多いが、脚を休められる休める区間も多い。後半に10%程度もあるが激坂と言える区間はほぼない
  • 獲得標高は800m程度
  • 横瀬駅付近には自販機がないので注意
  • レストラン的な場所でお昼を食べたい場合、芦ヶ久保駅に下ると隣接する道の駅でいろいろ食べられる

参考までに、徒歩登山(ハイキング)で丸山を目指す場合、芦ヶ久保駅を起点として「果樹公園村」または「大野峠」側から登るルートがあります。私は果樹公園村から登ったのですが、距離は10kmではあるものの、この日より倍以上キツかったです(しかし満足感が高かったです)。

奥武蔵グリーンラインから自転車で登ってきて、大野峠から徒歩で丸山山頂を目指すのもありでしょう(ただしこの場合、歩行距離は倍くらいあって傾斜もきついのでロードシューズでは無理です)。その後に白石峠へ! というのも良いですね。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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