骨伝導イヤホンとスピーカーの是非をめぐるサイクリストの意見

イヤホンで音楽等を聴きながら自転車に乗ることは条例で禁止されている都道府県が大部分だと思いますが、では骨伝導イヤホンはどうなのだろう、という議論が最近のくろみつさんのご寄稿で持ち上がりました。

昭和生まれの紳士淑女のみなさまこんにちは。いつのまにやら『平成』が懐かしワードになっちゃってますよ。私たちが子供のころ『明治』生まれの方に抱...

そこでこの件についてTwitterでお聞きしてみたところ、様々なご意見が寄せられました。

本記事ではそれらのご意見を整理してまとめてみたいと思います。

骨伝導イヤホンなら良いのではないかという意見

まず耳を塞がない骨伝導イヤホンなら許容してもいいのではないか、という方向性のご意見を紹介します。

  • 骨伝導イヤホンの優れているところは「周囲の音が聞こえない」ことがないところである
  • 骨伝導イヤホンを禁止するのであればクルマのカーオーディオ(音楽やラジオの聴取)の使用も禁止するべき、という論理が成り立つ
  • 人間には求める音のみを聞く能力(指向性)があるため、骨伝導が必ずしも音からの状況判断を妨げるとは言えない
  • 実際に骨伝導イヤホンを使っていたことがあるが、周囲の音は普通に聞こるので全く問題ないと思う
  • 問題なのは耳を塞いでいることであって、骨伝導イヤホンなら問題ないはずである。安全確認をしているのかどうかのほうが重要である
  • 骨伝導イヤホンの話ではないが、ノイズキャンセリング機能のある密閉型ヘッドフォンでもマイクからの集音をヘッドフォン内部で再生できるものがあるため、一概に危険と言い切れないところもある

と、このように骨伝導イヤホンの使用については許容してもいいのではないか、というご意見は多数いただきました。上のアンケートでも71%の方々が「許容派」という結果になっています。

もし注意力・状況判断力が損なわれないのであれば、という前提ですが、警察の方々の誤解を招かない、職務遂行の妨害にならないよう配慮した上で使うのはありかな、とは思います。

法律的には、東京都の条例には次のようなくだりがあります。

高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。

骨伝導イヤホンを使用しても「安全な運転に必要な交通に関する音又は声」が聞こえなくなる、ということはないようなので、法律要件はクリアしているものの、誤解を招かないというマナーや、注意が散漫にならないかどうかが焦点になってくるような気がします。

スピーカー派の意見

次に「イヤホンではなくスピーカーで音楽などを聴けばいいのではないか」というご意見をまとめてみました。

  • 音楽を聴きたいのならBluetoothスピーカーなどを自転車に取り付けて聴けば良いのではないか
  • 夜の荒川(東京〜埼玉エリアの緊急河川敷道路)を走るのに一時、小型Bluetoothスピーカーで音楽を流したこともあった
  • 周りの状況を考慮した上でスピーカーを使って音楽を楽しみながらライドしている
  • 北海道に居住しているが、夜間に都市部以外を走る時はスマホのスピーカーで音量を最大にして音楽を流している。目的は動物遭遇の回避と街灯がないことがあるため

Bluetoothスピーカーなどで音楽やラジオを聴きながら自転車に乗ることについての是非は、かなり前から存在しているように思います。

安全性という面ではカーステレオが許容されているのであればスピーカーも認められるべきである、という許容派の意見、路上は公共空間であるため他のサイクリストや歩行者にスピーカーからの音を聞かせるべきでない、という反対意見、どちらもあります。

今回のアンケートでは北海道在住の方のツイート(上で紹介させていただいたもの)を見かけて、これはやはり一般化して判断するのが難しく、時と場合、状況によるところが多い案件ではないかと思いました。

たとえば自然の中での環境音を楽しんでいるハイカーにとって、サイクリストのスピーカーから流れてくる音は迷惑なこともあるでしょう。

同時に、誰もいない夜の峠道では野生動物との不意の遭遇を避けるために必要なものである、という意見も納得できます。

骨伝導イヤホンであっても注意力は低下しているという意見

骨伝導イヤホンが「安全な運転に必要な交通に関する音又は声」の聴取を妨げないとしても、安全な運転のために必要な「注意力・状況判断力」は低下するのではないかという意見も多く寄せられました。

  • 安全性という観点からすると聴力を妨げる結果につながるものは一切許すべきではない
  • 自転車は耳も使った方がより安全に運転できる乗り物である。安全運転に必要となる聴力のマージンを音楽に使うのはどうなのか
  • 音楽を聴くことは集中力低下に繋がりうるので、骨伝導イヤホンであっても使わないようにしている
  • 密閉型・開放型や外界の音も聞こえる・聞こえないといったことが問題なのではなく、注意力が散漫になること自体が問題である
  • 程度の差はあるが音楽を意識的に聴いている場合は注意力が散漫になっている
  • 音楽に意識が集中してしまうと状況判断力が鈍る。自動車のハンズフリー通話も同じ理由で問題があると思う

音楽に集中しているとそれ以外の音に注意を払わなくなることがある、「ボーッとした状態になっている」と言えなくもない、ということだと思いますが、これらも説得力のある意見でした。

音楽・ラジオよりも環境音を楽しむが好きだ、という意見

少し違う方向からのおもしろい意見として、外界の音をもっと楽しんだらどうか、というものがありました。

  • タイヤからのロードノイズや風切り音、クルマのエンジン音、ディレイラーの変速などは音楽に等しい
  • 自転車の魅力は外界の環境音も楽しめることにある
  • 心地良いノイズのような環境音を楽しんでいる

まとめ

骨伝導イヤホンやスピーカーで音楽を聴くこと、あるいはそもそも自転車に乗りながら音楽を聴くことについて、許容できるという意見、あまり許容できないという意見、どちらも数多く寄せられましたが、拝読していて感じたのはやはり「誰にでも、どこでも通用する一般化可能な正解はない」ということでした。

法律や条例で定められていることを遵守するのは当然として、その上で私達が考えなければならないのは、みんながこう言っているからこうすべきだ、と盲信することではなく、自分がいま置かれている状況でその行為を行うことが適切なのかどうかを常に自分で判断し、その行為について責任を持つ、ということではないかと思いました。