輪行して自転車で走るのって、楽しいにもほどがありますよね。走り出したら、そこはもう知らない景色。しかも疲労する前のサラ脚で、コンディションとしても極上です!ヒャッハー!!上っがるぅー!!!
そして数ある輪行手段の中でも、やはり「鉄道輪行」の楽しさが群を抜いていると思うのです。なにしろ「鉄道旅行の楽しさ」に、「自転車の楽しさ」を上乗せできるわけですから単純に考えても2倍楽しいドン!
これから走るルートに思いを馳せながら、車内でいただく駅弁も最っ高!!口からビームを出しながら、うーまーいーぞー!!と叫び回りたくなります。
そして、そんな鉄道輪行を楽しむにあたっては、鉄道会社各社の輪行規則に沿うとか、ラッシュの時間帯を避けるとか、先頭/最後尾車両の乗務員扉を塞がない位置に自転車を置くとか以外にも、先達の方々が積み重ねてきたノウハウが惜しげも無く公開されまくっています。ありがてぇ…ありがてぇ…!
普通の脚力と体力を持ったサイクリストであるところの皆様は、上記を参考にして充実した輪行&ライドをお楽しみください!
以上!
明るく元気に輪行を楽しんでいる、キラキラしたサイクリストたち。
今、世界はまさに光り輝く輪行の時代。
だが…強い光には漆黒の影が落ちる。
ここは…裏輪行界。
貧弱なサイクリストの集う闇の世界…。
そう、裏輪行界の住人であるところの自分は、R’AIRよりも低い耐久性しか持ち合わせていません。輪行先でのライドを終えると、駅に戻った時点で極限のヘロヘロ状態。なので「枯渇寸前のライフをいかに温存して輪行するか」が、もはや生死に関わる重大な問題になります。
「もうやめて!私のライフはとっくにゼロよ!」そんな極限状態で漫然と輪行していたのでは、帰路の途中で力尽きかねません。ライフ温存のための細々としたテクニックをつなぎ合わせて、なんとか命を保って帰宅する。これが、裏輪行界におけるライドの現実…!
そこで本稿では、ヘタれたライドを重ねる中で身につけた、輪行の教科書には「たぶん」載ってないライフ温存のための方策を徒然なるままに記載したいと思います。
あ、でもコレ輪行を経験されてる方なら普通に意識されてる部分だと思うので、読む意味が限りなくゼロに近い可能性がベリー巨大です。
ですので、いつもどおり…ブラウザを…そっと閉じていただけますと幸いにございます。嗚呼、生まれてすみません…。
「駅構内での自転車運搬負荷を下げる」ことに本気出す!
鉄道輪行でいちばんツラくて、絶対に回避できない最大のネガティブは「自転車を抱えて駅構内での徒歩移動を強いられること」にほかならないと考えます。
巨大な体積と質量を持った、アルミとカーボンとステンレスなどなどの集積物。それを周囲の人の流れに気を配りまくりながら宙に浮かせた状態で数百メートル移動させるなんて、普通に考えてイヤですよね?
しかも、上下方向への移動も込み。そのうえ、履いているのはビンディングシューズですよ?もう不安定極まりないではありませんか!
まさに苦行。ノーブレピストに乗るよりも、ずっと魂が磨けてしまいそうです。
この苦行がもたらす負荷を、どれだけ軽減してストレスの少ないものにできるか。つまり「駅構内での自転車運搬負荷を下げる」こと。そこにこそ、鉄道輪行でライフの減少幅を抑える大きなカギがあります。
…じゃあ、具体的にはどうすれば?
重い機材を軽くする!
輪行時に持ち運ぶことを強いられる、最も大きくて重い荷物は「自分の自転車」です。
つまり、負荷低下の根本対策は「自分の自転車を軽くすること」にほかなりません。1グラムでも車重が軽くなることは、駅構内運搬時のツラさの低減に直結します。
そう、裏輪行界において「機材の軽さ」は、絶対の正義なのです! 値段が高くても、軽い自転車を買うのです! コスパがやばくても、軽いパーツを買い集めましょう! その差額で、輪行時のライフを買えるのだと思えば安い!安い!!安い!!!(…ですよね?)
さあ、カスタマイズ大好きなみなさん!! 「輪行時の負荷軽減」という錦の御旗のもとに自分で自分を納得させて、軽量パーツをガンガン衝動買いしてください!!
駅構内での移動距離を減らす!
負荷軽減の根本対策は、機材の軽量化。ですが、それには限界があります。特に予算とか、予算とか、予算とかの要因で。
なにか別のアプローチでツラさを軽減しなければ、いかに楽しいはずの鉄道輪行といえども苦行レベルは上昇していく一方です。
そうなると機材軽量化の次は、改札からホームまで。そしてホームから改札までの移動時に
- どれだけ上り下りをしないようにするか
- どれだけ移動距離を減らすか
という、2つの対策を考えていきたいところです。機材の重さが変わらなければ、移動距離を短くしてツラさを減らす。当たり前すぎる理屈ですが、意外と駅構内のルーティングは気を抜きがちな部分。
1メートルでも、いや1ミリでも駅構内で自転車を運搬する距離を減らすことで、ライフのゲージの減りを限界まで抑えるべし!それが、裏輪行界の掟です。
入口と出口は、乗車するホームの近さで選ぶ!
まずは乗車するホームに近い入口/出口を選ぶことが、基本中の基本になります。
たとえば小田原駅から新幹線で輪行して帰るライドのときに、東口で輪行準備して駅に入ってしまったらどうなるでしょうか?
新幹線改札にたどり着くまで、連絡通路を延々歩かされることになります。西口から入れば、新幹線の改札は割とすぐなのに。
小田原駅は西口にアプローチしようとすると、坂に出くわすルートが多いのでつい日和って東口に向かいがちなのですが、そこは坂を超えてでも西口に行くほうがライフを温存可能です。
最寄駅で下車しない、という選択も検討!
裏輪行界の大命題は「駅での移動負荷を減らす」こと。そのためには「下車駅を変えてしまう」というのも、有効な手段です。電車を降りたら、どうせ自転車移動。2〜3駅の距離なんて、自転車乗りには誤差の範囲内でしかありません。
駅構内での上り下りが多い最寄駅で下車するのではなく、2〜3駅離れていてもホームから改札までが近く、より短い移動距離で改札から出られる駅を選んだほうがライフを保てます。
たとえば自分の場合、都心方面から京急線で輪行したとき、最寄駅の2駅手前になる八丁畷で下車しています。理由は「電車を降りたら、階段を少し下がるだけで改札を出られる」から。
また、輪行時は先頭車両か最後尾車両に乗るケースが多いですから、ホームの端に改札があれば尚のこと理想的。たとえば、自分の守備範囲にある駅だと、先述の八丁畷駅のほか横須賀線の北鎌倉駅(特に下り)。山手線・京浜東北線の浜松町駅(北口)も、かなりいい感じ。
▼浜松町駅北口。ホーム端の階段を降りれば改札に着けるので、移動負荷が軽く済みます。
逆に避けたいのは、改札から道路までが果てしなく遠いターミナル駅。
たとえば、JR横浜駅は改札を出て延々通路を歩いて、さらに階段を登らないと駅の外に出られません。…嫌すぎる!
下車駅の吟味ポイントは、ほかにも!
下車駅の選定基準には「改札までの距離」のほかに、「改札の広さ」という視点もプラスしたいところ。
普通の改札は、自転車を抱えて通るにはすべからく幅が狭めです。なんですが、駅によっては一部の改札機と改札機の間が、車椅子でも通れるよう広くなっていたりします。
たとえば、JR川崎駅の中央北改札。幅広の改札は輪行旅行の最後の最後で無理な姿勢にならなくて済むので、改札を出る時のストレス軽減効果がかなり大きいです。
いずれにしても、裏輪行界の住人が駅構内で漫然と移動することは、生命の危機に直結します。いきあたりばったりは、ダメ、絶対。
乗車駅の入口から、改札、ホームまで。そして乗換駅や下車駅のエレベータや階段の位置、改札、駅出入口の場所や改札の広さなどなど。あらゆるデータをライドの前に予め把握して、最短の移動だけで済むようにルーティングしておくこと。それがライフ温存の大きなポイント。
そう、自転車を抱えて進む1歩は、ライフ1機減にも等しいのです!ラクすることに全力投球して、帰宅まで命をつなぎましょう。
駅構内での移動ルートを吟味するときに参考になるサイト
- 改札画像.net
いろいろな駅の改札の画像が掲載されていて、広い改札があるかをチェック可能。なんつーマニアックなサイトだ…。尊敬。
http://kaisatsugazo.net - らくらくお出かけネット
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団によるバリアフリー情報サイト。駅やターミナルのバリアフリー情報を調べられる。車椅子での構内移動情報なので、参考度が非常に高いです。輪行者のためのサービスではないので、利用についてはサイトの規約を参照・遵守のこと。らくらくおでかけネットらくらくおでかけネット
ホイールバッグを使う!
ホイールをフレームに括り付けて、荷物をひとまとめにするのが一般的な輪行スタイル。
ですが、それはホイールとフレームとコンポーネントの重量すべてが、ひとまとめになって襲いかかってくるということを意味します。
ショルダーベルトが深々と肩に食い込むだけでなく、重量が身体の片方に偏りまくるので特に帰路のへロった状態では歩行中にフラつく原因にもなりかねません。
どこまでも貧弱な裏輪行界の住人が取りうるせめてもの抵抗は、ホイールバッグを使うこと。
荷物の個数は増えてしまいますし、総重量に変化はありません。なんですが、荷重を分散させることができるので運搬時に幾分かラクです。こういう細々としたライフの温存が、あとで大きな差になるわけですよ!
ホームに着いたら乗車する前に、ホイールバッグをそのまま輪行袋に入れてしまいます。そうすることで乗車時や車内、下車時はひとつの荷物を移動させるだけで済む、という算段です。
車両最後尾席の後ろスペースを、着実に確保する!
特急や新幹線や在来線グリーン車で輪行するとき、ベストな自転車置場である最後尾席の後ろスペース。ここを確保できるかどうかで、鉄道輪行の成否が決まります。
もし先に自転車やスーツケースを置かれてスペースが埋まっていたら、そこで試合終了。デッキに置いた自転車を、駅に着くたび開くドアの反対側に移動させる羽目になります。つらすぎィ!!
このスペース確保を着実なものにする方法は、ただひとつ。
「始発駅で、発車時間に余裕を持って並ぶこと」です。
しまなみ海道から東京に帰るなら岡山までは在来線を使って、乗り換えの新幹線に岡山始発の「ひかり」を選びます。
白馬や安曇野から東京に帰るなら、長野駅始発の「あさま」。小田原からは、新幹線よりも在来線の始発グリーン車…などなど、始発列車に並んでベスポジを着実に確保したいところです。
それと1点だけ。乗車前、スーツケースを持っていない方が後ろに並ばれた場合は、先に乗っていただきましょう。自転車置くとき一時的にせよ通路を塞いでしまうので、後から乗る人の迷惑になっちゃいますからね。
下車駅から家までは、輪行袋を畳まない!
輪行解除するときに輪行袋をきちんと畳んで収納するのって、意外と時間がかかります。ヘロヘロ輪行ライドして、這々の体でようやくたどり着いた下車駅。さあ、ようやく家に戻れるぞ…というシーンだと、輪行袋をキチンと畳むような余力も余裕もありません。
1秒でも早く帰宅してお風呂に入り、コーラを浴びるように飲みたい!
そんな時は、輪行袋を畳むのやめましょう。そこで役立つアイテムが、携帯可能なサコッシュ。輪行装備一式をクシャクシャポイっ押し込んで、ダラっと駅から自宅までライドできます。
▼駅から家までの移動時に輪行袋を詰め込むのには、@ab_pekoさん制作の「お手製コンパクトサコッシュ」が至高。コレだけのサイズのサコッシュが…
▼収納時にはこのサイズ!
輪行しないで、旅先の自転車を楽しむ!
こうして色々書いたことを読み返して思ったのですが、鉄道輪行って楽しいけれど、ぶっちゃけ面倒じゃないですか?
「目的地で自転車に乗って楽しむ」という行為だけを純粋に楽しむなら「輪行しない」というのが、最高の選択肢だと思うのです。電車の席は選び放題だし、路線選択の自由度も極大。重くて巨大な自転車を運ばなくていい、というのは実に素晴らしいですよね。
輪行はしたくないけれど、現地では自分の自転車に乗って楽しみたい。そんなワガママ自転車乗りの願望を叶えたいとき、テとして使えるのは「宅配便で自転車を送ってしまう」こと。
そうすれば輪行時に最大サイズで最大重量の荷物であるところの「自転車」を抱えることなく、最小限の荷物だけの余裕綽々すぎる状態で鉄道旅行を楽しめます。
重そうに輪行袋を抱え、歩きにくいビンディングシューズでホームの階段を上るサイクリスト仲間を横目に着席して、プシッ!っと心地よい開栓音を響かせる(注:コーラの)。
そのとき、もはや自分の座っている席は、ただの座席ではありません。
君臨した!この列車内で…自転車を運ばなくても、目的地でライドが楽しめる地位…玉座に…!
ね、最高じゃないですか? 宅配輪行。
ただし、この手法は
- 出発地に宿泊する
- ホテルに、自転車という巨大な荷物の受け取り/預かりをお願いできる
という、条件が揃いまくったケースでしか使えない、というのが悲しいところ。
しかも鉄道運賃にプラスして、「宿泊費」さらに「配送費用」が上乗せされます。爪に火を灯しながらかろうじて維持している家計を、巨額の出費が直撃するという諸刃の剣。使うと全身血まみれになるのが確定な、砂上の玉座です。
なのでライド以外の疲労を極限まで削減する必要に迫られる(翌日会社がありますからね…)、「アルプス安曇野センチュリーライド」に参加するときぐらいしか使う機会がありません。なんですが、この自転車宅配輪行、本当にラクチンなこと、この上ないんですよね…。
西濃運輸の自転車便で宅配輪行するときの留意点!
専用の輪行箱をレンタルして目的地に自転車を配送できる、西濃運輸の自転車便。ボックスへの格納は、フロントホイールを外すだけ。返送は宿泊先のホテルにお願いできるなど、とても手頃なので宅配輪行では専らコレを使っています。ただし、利用の際は以下の点をお含みおきください。
- 結構雑に扱われてる可能性が極大。
車体にダメージがあったことはありませんが、ケージに挿しておいたツールケースやボトルは箱の中ですっ飛んでいたりします(複数回経験)。輪行箱がどれだけの衝撃を受けているかは、推して知るべし。
- お盆時期を挟んでの配送にすると、お盆のあとに配送したほうが早かったんじゃね?という時間をかけられる。
広島のグランピーさんに傷補修で配送依頼した際にお盆時期を挟んでしまったのですが、横浜から広島までの配送で実に2週間!お盆期間の1週間は除外するとしても、さすがに時間かかりすぎじゃね?
折り畳み自転車で、駅構内移動をラクにする!
なぜ鉄道輪行で、重くて大きくて運ぶのがツラい荷物を運搬することになるのか。それはロードバイクを輪行しようとしているからです。
あれ?鉄道輪行のツラさの根本的な問題、実はコレじゃね?
「走行性能にはちょっとだけ目をつむって、駅での移動負荷を下げることを最優先にする」という方向性も実は大アリなのでは?(いまさら気づくなよ!というツッコミ不可)
そうなると、ある程度のホイール径があって、変速機の段数があって、折り畳みできて、畳んだ状態でコロコロ転がせる自転車が、俄然輝いて見えてきます。
▼うぉっ!まぶしっ!
車内持ち込み時のサイズは極小だし、キャスター付きの輪行袋を使えば駅構内移動時もラクチンそのものではありませんか!
…という危険な発想に陥る可能性があるので、裏輪行界にお住まいの皆様は十分にご注意ください。
まとめ!
- 機材は可能な限り軽量化!
- 駅構内で自転車を運ぶ距離を、1ミリでも減らす!事前調査必須!
- ホイールバッグで荷重を分散!
- 始発駅から乗って、最後尾席後部のスペースを着実に確保!
- 下車駅から家までは、サコッシュに輪行袋を適当に詰め込もう!
- 鉄道輪行が面倒なら、宅配便を使っちゃおう!
- ロードバイクで輪行するのやめて、ブロンプトン買っちゃ…うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp
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