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東京以西の新幹線輪行に赤信号? 特大荷物は指定席予約が必須に

東京以西で新幹線輪行するサイクリストに暗雲が立ち込めています。JR東海(東海旅客鉄道)・JR西日本(西日本旅客鉄道)・JR九州(九州旅客鉄道)の3社が来年2020年5月から「特大荷物」の持ち込みを予約制にするそうです。対象となるのは東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線の3路線。

参考 東海道・山陽・九州新幹線特大荷物置場の設置と事前予約制の導入について(プレスリリース)

「特大荷物」の定義

まず「特大荷物」の定義ですが、「3辺の合計が160cm超250cm以内の荷物」。これらの荷物を持ち込むためには特定の指定席(特大荷物置場つき座席)を予約する必要があります。荷物に対して追加料金が発生するわけではありませんが、指定席に乗らなければならないので、仮にスポーツ自転車が「特大荷物」に含まれるのであれば、これまで自由席で輪行していた方にとっては事実上値上げになります。

さらに指定席を買ったとしても「特大荷物置場つき座席」でない場合、これらの「特大荷物」を持ち込むと別途持ち込み手数料1,000円(税込み)が発生します。そして荷物は乗務員が指定した場所に置かなくてはなりません。

ここまでをまとめると

  • 仮にスポーツサイクルが「特大荷物」に該当する場合(※後述)場合、自由席の最後尾座席裏に勝手に置いたりはできなくなる
  • 「特大荷物」を持ち込む場合は「特大荷物置場つき座席」という特殊な指定席を予約する必要がある
  • 「特大荷物」を事前予約なしに持ち込んだ場合、1,000円の持ち込み手数料が発生する

ということになります。こう考えると520円を余分に払って指定席(特大荷物置場つき座席)を確保するのが最も割安かつ自転車も安全ということになる… のでしょうか?

後述しますが、座席裏に自転車を置けないというシナリオも十分ありえます

荷物をどこに置くか

「特大荷物」をどこに置くかですが、これは2つあります。まず来年2020年5月から当分は下の画像の①の部分。車両最後尾の座席裏です。つまり最後尾の座席を指定する、ということになります。最後尾座席とのセット。

そして2023年からは②の部分にも荷物を置けるようになるそうです。この場合は指定席車両のどこに座っても良いということになります。

切符の買い方

切符の買い方は、ネット予約・駅の券売機ともに「特大荷物スペース付き座席」というオプションが表示されることになるとのこと。

サイクリストにとって曖昧な点

今回のJR各社による発表ではロードバイクを含む「スポーツ用品」の扱いがどうなるか、はっきりしないところがあります。それは今後「特大荷物」として扱われるのか。それともそうではないのか。

たとえばJR各社の新幹線では従来、以下のようにスポーツ用品はサイズ制限に収まらなくても「車内で立てて携帯できるものは」持ち込めるようになっています。

スポーツ用品、楽器、娯楽用品などは、長さの制限を超える場合であっても、車内で立てて携帯できるものは持ち込むことができます(専用の袋、ケースなどに収納するようにしてください)。

手回り品|JR東海 より

しかし「特大荷物スペース付き座席」に「特大荷物」の定義を超えるサイズの自転車を置かせてもらえるかどうか、現時点ではわかりませんよね。

さらに車両と車両のあいだのデッキで輪行袋を持って立つ、ということが許されるのかどうかも不明です。この場合は追加料金1,000円が発生するのか。それとも、デッキに立つことは許されないので自転車は乗務員が指定した場所に置くよう指示されるのか。

指示されるとしたら、座席裏が空いていれば置けるとしても、2023年以降に導入される「荷物コーナー」を指定されたら入らないでしょう。

座席裏に自転車を置かせてもらえない可能性も

そもそもの話なのですが、上の「荷物をどこに置くか」の項で見たように、「特大荷物スペース付き座席」は指定席車両で5席あります。

しかしこの5席の乗客全員が特大荷物をそこに置くとしたら、どういうことになるでしょうか。あなた以外の4人がそれぞれ、そこにスーツケースを置くとしたら。この場合、

座席裏に「特大荷物」サイズを超えている状態の輪行袋が置けなくなるのは間違いない

のではないかと思われます。

ところで自由席はどうなるのでしょうか。JR東海の特大荷物スペースつき座席 事前予約ページによれば、

自由席など、「特大荷物スペースつき座席」の設定のない車両最後部スペースについても、今後はその直前座席のお客さまに優先してご利用いただくようお願いいたします。

とのことなので、早く並んで自由席車両の最後尾座席に座れるのなら自転車を置けるようになるかもしれません。いずれにしても「指定席車両では自転車が持ち込めなくなる」可能性は大きいと思います。

スポーツ自転車やサーフボード、スキー、楽器といった「サイズ外でも持ち込みが認められている荷物」の扱いは今後詳細ルールが決められていくようなので、続報に注目ですね。このルール作りはかなり難しいものになりそうです。

ただどんなルールが定められたとしても、「座席裏に特大荷物サイズを超える自転車は置かせてもらえない」(というか入らない)可能性は非常に高いような気がしています。その場合は頑張って自由席の最後尾車両を狙うか「デッキで立つ」という選択肢しか残らないのでしょうか(それらが無料でも追加料金が必要であっても)。

しかしこうなると新幹線輪行にはブロンプトンがいちばん簡単かなぁ、と思ってしまいます。ブロンプトンなら2023年に導入される「荷物コーナー」にも収納できるでしょう。座席裏でも大丈夫。これがきっかけでブロンプトンユーザーが増えたりして…

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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