なんで夏なのにアームウォーマーしてるの?
イタリアで自転車乗りに遭遇and/orサイクリング写真を見せると、いつも決まって聞かれる質問だ。
これはウォーマーじゃなくて夏用カバー、冷感素材でしかも汗が速く乾いて涼しいんだよ、と言っても、誰もが半信半疑の眼差しを寄越す。
彼らがこういう反応をする理由はただ一つ。夏用アーム・レッグカバーがヨーロッパ市場に存在していないからである。
お肌の大敵、紫外線
自転車乗り、特に美容を意識する女性にとって気になるのは紫外線。それはイタリアに住んでいる私からしても由々しき問題なのは変わりない。
参考 女性がサイクリングにハマりきれないのはなぜ?(コメント紹介)
イタリアは日差しが強い。3月初旬にビーチでビールを飲んでいたら、スニーカーソックスとジーンズの間のちょっとだけ晒されていた隙間が、ヒリヒリするレベルで日焼けしたくらいだ。
とにかく焼き付けるような日差しが、3月から11月くらいまで続く。個人的には、湿度が低い分日光がダイレクトに地面に到達するからではないかと推測している。専門家の方、詳しい解説がありましたら補足をお願いいたします。
そんな強い日差しの中で活動するには、サングラスが必須だ。こちらの人は通勤でも普通に使用する。日本で車通勤でもない同僚がサングラス着用でオフィスに現れたら、きっと皆「お前遊びに来てんの?」と思うかもしれない。だがこちらでは、格好をつけるためではなく、単純に必要なのだ。
ヨーロッパにお越しになる予定の方、例え冬であっても、何がなんでもサングラスをお持ちになることをおすすめします。
日焼けに必死になる人々
さて、そんなイタリアでは、いや、私の知る限り恐らく欧州の北から南まで、日焼けが良しとされる。
金持ちはバカンスで海に行く金銭的・時間的余裕がある、という認識から生じたものらしい。イタリア語翻訳者の田丸公美子氏の著書を始めとして、多くの文献で言われているので、これが真実なのだろう。またアルプス以北は冬の日照時間が短いので、夏はここぞとばかりに太陽を求めに行く、というのもよく聞く話だ。
私の住むピサには近くにビーチがあるので、皆そこに行く。夏になると、他の地方からの旅行者もやってきて、大変な賑わいようだ。一方で内陸にあるミラノでは、夏になると、いや、天気のいい日は、公園の芝生の上に水着姿の男女がトドかセイウチの群れの如く転がっている。皆、焼けるために必死なのだ。
日焼け止めですら、「日焼け止め」と「サンオイル」の両方が店頭に並ぶ。見た限り、サンオイルの方が数が多いように思える。化粧品でも、日焼けした肌に見せるためのブロンザーというパウダーが存在する。
小麦色に焼けた肌はセクシーだ。それは私も認める。イタリアに引っ越してから、なまっちょろい色白肌より、程よく焼けた肌の方に健康的な魅力を感じるようになった(ただし日焼けサロンは除く。イタリアにも日サロはあります)。
だが、それが数10年経ったらどうなるのか? ちょっと美容知識のある女性ならご存知の通り、肌がダルッダルにたるみ、シミに苦しむのだ。
東洋の神秘? いやいや…
アジア人って若く見えるわね
現地人によく言われることの1つだ。
確かに童顔なのはある。特に東南アジア系の女性なんて、小柄さも相まって、23くらいに見える人が実は33で2児の母でした、なんてこともよくよくある。
残念ながら私は元々大人びた顔つきなため、日本国内では中高生の頃から上に見られることが多かったのだが、イタリアではアジア人の童顔パワーを発揮して、3-5歳くらいサバを読んでも問題ない。いや、5歳はさすがに問題あるか。
ただ、年を食ってからは童顔だけがポイントじゃないだろう。年齢というのは肌に如実に出る。コスメショップで、美白用品は滅多に見かけないが、アンチエイジング用品はある。つまりイタリア人女性も、「年齢が出た」=シワ・たるみ・シミはお気に召さないということなのだろう。
ではアジア人はどうやって肌の若々しさを保つのか? 答えはシンプル。肌にダメージを与えない。すなわち、日焼けしないんだよ!
ただ、その将来の問題をうっちゃっても、イタリア人の老若男女は、今、日焼けをしたいのだ。
私の日焼け失敗談
自転車を始めた頃は知識不足による失敗をいろいろしたものだが、その中の一つが日焼けだ。
イタリアはミラノから南に40km離れたところにパヴィアという小さな町がある。ここへは運河沿いにそこそこ整備された平坦なサイクリングロードが続いている。
私は自転車1年目の6月、ちょっとした観光&冒険のつもりでここを往復したとき、計4時間くらいのサイクリングで、ふくらはぎにひどい日焼け&水ぶくれをしてしまった。必死に水風呂で冷やしたけれど、治るのに1週間か2週間くらいかかり、しかもとても痛かった。
なので、同年秋に日本に帰国したとき、自転車屋に駆け込んで真っ先に購入したのが、パールイズミのアーム・レッグカバーだった。
日焼けしたくない? それなら対策グッズに投資だ
さて、私の紫外線対策についてである。
先に言ってしまうと、ものすごく普通だ。そしてある程度の日焼けは許容しているので、絶対に日焼けをしたくない女性諸姉には参考にならないと思う。
私は肌が白めで、日に長時間当たると黒くなるよりも赤く・痛くなるタイプである。そのため日焼け嫌い・海嫌いを公言しているが、イタリアでは当然「変わり者」扱いされる。海嫌いなのは別に泳ぐのが苦手だからなわけではなく、積極的に日焼けすることに意味を見いだせないからだ。
ガッツリ日焼けはしたくない、でも生っ白いのは嫌。で辿り着いたのが今のスタイルだ。
頭皮
ヘルメット下にサイクルキャップをかぶっている。蒸れよりも日差し対策優先。冬は寒さ対策で同じキャップをかぶっているので、都合常にこのキャップを着用している。
私は黒ベースにピンクアクセントのカラーリングが好きなのだが、キャップはたまたま観光先で見つけたSantiniのGiro d’Italia 100回記念のMaglia Neraバージョンを購入したら、ヘルメット(Giro Saga Women’s Helmet)と絶妙に同じ色だし、しかも今年のジロで推しチームのNippo Vini Fantini Faizanèの初山選手が特別復刻のMaglia Neraをもらっちゃったりしていて、なんかちょっと嬉しい。
髪
BODY SHOPのイタリア版、Bottega Verdeの髪用UVケアスプレーを使っているが、しばしば忘れる。その結果、しばらくぶりに会った母に「(黒髪が)染めたみたいにきれいな茶色になってるわね」と言われてしまった。パサパサするので、ライドから帰宅したらヘアマスクでのケアを行っている。
この方面に関しては日本の方がいろいろと製品があると思います。
顔
CLINIQUEの顔用日焼け止めを愛用している。どんなときでもSPF50。ただし塗り直しをするほど几帳面ではない。
腕と足
前出のパールイズミのアーム・レッグカバー。日焼け止めは塗らない。これを着用し始めてから、日焼けはほとんどしないし、涼しいし、水をかぶればさらに涼しいしで、もうパールイズミさん大好き。パールイズミさんに足を向けて眠れない。UVカットグローブもありがとう。愛してます。
ヨイショついでに一言申し上げると、毎年の桜ジャージ、なんとかなりませんか。コンセプトは素敵なのにデザインがアレなので購入意欲が湧きません。小物のデザインは悪くないのに…
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レッグ・アームカバーとも、恐らく2019年から、肌への固定が従来のソフトシリコンから硬いシリコンゴムにモデルチェンジした。
ソフトシリコンのアームカバーは、固定力が少々弱くてずり落ちてくるのが問題だった。一方で、新調したての新モデルは、しっかり固定されるのは良いのだが、着用時ほぼ毎回顎に拳をクリーンヒットさせてしまうのが目下の問題である。
最初に述べた通り、程よく健康的な肌色を目指しているので、当然多少は日焼けする。
あるとき親戚に「東南アジアに住んでた頃の私よりも焼けてるわね」と言われたが、失敬な! 日焼け対策を何もしていなかった彼女と比べられるのは非常に遺憾である。
現地の自転車乗りの紫外線対策は?
非日本人の自転車乗りの友人は男性しかいないのだが、大半が紫外線対策をしていない。皆、顔にも腕にも足にも、グローブをしない人は手首にも(スマートウォッチユーザにグローブしない派が多い気がするのはなぜだろう?)、きれいに日焼けラインが出ている。
太ももの日焼け跡なんていかにも自転車乗りという感じだし、それに、筋肉質で締まった細身だととても好m、おっと、話が逸れた。
UV対策用品はぜひ欧州にも販路を開いて欲しいところなのだが、このような状況では、需要がないだろうなぁ…と、日本のAmazonを眺めながら考える次第である。
大丈夫だ、問題ない。…今のところ。
美意識(と手間)を追求した結果、上述のような対策法に落ち着いたわけだが、結局これは、己の肉体を使った、後戻りのできない人体実験だ。
現段階で特に問題は出ていないが、20年後、30年後、どうなっているだろうか? まったくの懸念が無いわけではない。…もしかしたら、いつか考えを変える日が来るかもしれない。
その時は緊急帰国して、日本の製品をしこたま買い込もう。世界に名高い日本の美容メーカーさんたち、頼みますよ。